パルネオ社は犠牲となったのだ
記念すべき1話でいきなり犠牲となったパルネオ(ファルネオ)社、それを巡っての対応で三者の性格が描かれていた
性格の違う「三人の父、経営者」
この時点だとデリングは軍人上がりなだけに苛烈でワンマン、助け舟を出したサリウスがまっとうで、にらみつけ不満を見せたのち、暗殺し出すヴィムもデリングとそう変わらなく見える
総裁の座は伊達じゃない
10話でミオリネの(株)ガンダム経営に真摯に向き合いアドバイスをするデリングを見て「可哀そうなパルネオ社」という印象が変わってくる
忙しい身だ、娘の時のように懇切丁寧に指導などはしなかっただろうが、パルネオ社は「3期連続赤字」を達成したのだ、まさに「機会は与えた」のに結果は出せなかった
サリウスが「改善可能」と言ったのなら多分そうなのだろう。なのに改善せず3期連続赤字のまんまだった、無能を晒した、という見方もできる
頑張ったけどダメでした、ならわかるが、頑張ってないでダメでした、となると、そんな会社をグループに残しておくことでグループごと沈んでしまう危険にさらす判断は総裁としてできない、苦渋の決断ではないけど、多数の為に少数を切る「覚悟」と「責任」を見せたのがあれだったのでは
もう一つ言うとあれは「グループ内系列融資を停止」したのであって「会社を潰した」わけではない。融資が打ち切られれば赤字経営だから早晩潰れるのは間違いないが、それこそサリウスの言うように改善可能なのなら、必死になって改善すれば復活できる可能性はある
出来なければ倒産だが、グループに参加していなければとっくにそうなっていたはずだから、やはり機会は与えられていたのだ。むしろグループの金を当てにして寄生していた、と厳しい見方も
情が抜けきらない男サリウス
1話時点では人情があって良い人、という印象もあるサリウスだが、13話でもヴィムの死やデリングが倒れたことを使い「グループ一丸となって」事に当たろう、と焚き付けた
和を乱すことを良しとせず、一連托生がサリウスのモットーなのだろう。しかしそうなれば当然「共倒れ」にもなる
「生存確率の高い選択」デリングのやり方とは正反対とも言える、皆で助け合うことは悪いことではないが、指導者としては「選択する」責任を果たしていると言えないので、やはり失格と言える
それはプラントクエタの事件にも言えて、あれも「何でも隠さず話し合う」ことで親子が一丸となる、を実演したつもりだったのだろうが、結果シャディクはそれを利用して自分の寝首を掻きに来た
それに気づいて処罰をしたがシャディクを切れなかった。もはやあそこまでやらかしたのでは切るに切れないし、切り離した方が動向を探ることもできずに厄介になるだけだ
「改善は可能」とパルネオ社という爆弾を抱え込もうとした、あの程度ならグループにとって損失も小さいものだったろうが、シャディクというでかすぎる爆弾も抱えて、大きすぎて最早切り離すことも不可能
かつての部下であったデリングが自分を飛び越えてグループの総裁となった、そのことを恨むような素振りは見せなかったが、こうしてみればどちらがその座に相応しかったか
ヴィムとは近親憎悪
ヴィムはパルネオ社に対しては何の表明もなし。ただ「潰れる」っていうのに切り捨てたことに対しては気に入らなかった模様(睨んでた)
ヴィムも息子が大事で情がある、という意味ではサリウスに近いが、それで息子と何でも話し合う友達みたいな親子関係を築くタイプではない、その点はデリングに近いので、二人の中間のような人間かな
あのタイミングで暗殺を謀ったのは、視聴者的にはわかりやすいが実際の時系列で考えると「何者かの指金」が疑われて仕方がない、唐突に思いついた割にはすんなり爆弾を仕掛けられたし、おまけにプロスペラに感づかれてしまっている
ドラマ的に見れば「グループの会社をあんな切り方するやつのルールなんて信用できん」から、ルール変更されないよう殺したろ、という流れなのは見ててわかりやすいが、当然そうなった原因、これまでにも似たようなことをやって「やっぱりか」と思わせるような何かがあったんだろうけど、そうなるとますますあのタイミングで唐突に感が強くなってしまう
ヴィムは息子がかわいいけど、だからこそ後を継がせる気の会社のことも考えやがれ、と厳しい面も見せた、デリングは「生存確率の高い選択をしろ」と言い、パルネオ社も切り捨てたから、娘と言えどヴィムのようにビンタしてでも跡を継がせよう、助けよう、とはしない
と表で思わせておいて、結局娘がかわいいからヴィムと同じように切るに切れないで構っちゃう、とは思う
何のかんのよく似てると思うよ、だからこそ「少しの差が気持ち悪くて気に入らない」な近親憎悪の関係だったんだろうなあ
どれが正解というわけでもない(たぶん)
どのやり方が正解で、誰が一番正しいかは言えない。サリウスに任せれば皆で幸せになれるだろうし、路頭に迷う時も皆一緒だ
ヴィムに任せても可能な限りで皆の面倒は見てくれるだろうけど、俺についてこいタイプなのに肝心の俺の能力がいまいちという
そう考えると、能力は高く、皆ではないが多くを守るためには一部の損切りもできる冷静無比なデリングが全てをまとめるグループ総裁の座にいるのは、ヴァナディース事変の立役者という目立つ貢献抜きにしても相応しい立場なんじゃないか、収まるして収まった立場では
サリウスは1話でデリングが「潰れろ」と言い、それに「改善は可能ですが」と助け舟を出すことで自分をよく見せようとした(狙ったかは定かでないが)
13話ではラウダの発言を責めるペイルの発言を遮る形で皆一丸となろう!と鼓舞して自分の求める流れに仕向けた
やっていることは同じだが、サリウスが(息子だけど)何をやってそうなったのか視聴者が知ることで、やっていることが似ていても受ける印象が変わってきている
ヴァナディース事変の真相も、表向きデリングが勝手に暴走して見えたが、軍人としての信念がなければ「引き金を引く覚悟を」求めるデリングが虐殺したいだけでやったとは思えない
そうするだけのガンダムのヤバい情報を知ったから止めるべきと判断した。そしてあの状況下でそれを伝えられるのは、上司にして「何でも共有する」サリウスが、自分の掴んだ情報を漏らしたからだと確信に近いものを感じている
プロローグで驚いた顔したり「ガンダムはこの世から消し去らねばならん」とアレルギー起こしたりして被害者面してる、という意味ではニカに立場が近いな、お前が迂闊な事したからじゃろ(推測)