スレッタのニュータイプではない成長の方向

地球寮が会話なしでの仲直りとか、宇宙世紀のニュータイプと逆に宇宙に出ることで距離ができて分かり合えなくなるとかいうメッセージでも……

と思ったけど、描写としてわかりやすく押し出してないけど、前に書いたように、会話でお互いを確かめ合わなかったせいでお弁当の件は起こった

私の分ないです!とスレッタが言えなかったこと、それ以前に、スレッタが自分の必要性を地球寮の皆に感じられなかったこと、更にその前に、ミオリネに対してそれを確認できなかったこと(あれは事実上の否定なので確認などできるはずもないけど)

当然そういう性格に育った原因が過去にさかのぼってあるだろう

ということで、地球寮の皆の仲良さはほっこりするけど、あれも「相手のためを思ってる」と思い込んでるベネリット親ズの一方的なコミュニケーションと同じ、言葉にしないでもわかるだろうの危険性では

と考えると、スレッタのあのキャラクターはそこを描くための変更?初期設定では冷徹な軍人だけど戦闘時には人が変わる、だったかな

ニュータイプ同士なら言葉なしで誤解なく解り合えるけど、それゆえ隠しごとができないので争うし、ニュータイプに覚醒しなかった人ともこれまた争う

つまり、スレッタが今後どんどんパイロットとして覚醒しようとも、他者とのコミュニケーションがうまくいかない点の解決にはつながらないのは、ガンダムという作品の性質からまず間違いないと思うわけです

これで話数がもっと多いなら、言葉がなくても分かり合えるガンダムパイロット同士で共感し、スレッタが地球の魔女たちと結託してしまう流れなんかもあったかもしれないけど、現状2クールで終わると発表されている以上、同じく「エアリアルの中の人」と共感したり同化したり、という自我をより失くす展開は、やってる暇があるとは思えない

パイロットとしてはニュータイプのような直観力に目覚め、より強くなるような描写があるかもしれないけど、多分それもパーメットやビットによる今までの強化と同じ流れ、そしてその流れでアムロとララァみたいな分かり合い方で、スレッタが覚醒してコミュニケーション問題を解決する、という展開もないだろう

スレッタが無敗なのでなろう系みたいだ、と言う意見もあるけど、かくのごとくスレッタの人間的成長の問題はずっと示され、しかもその解決はスレッタがパイロットとして強くなるという、ロボットものの主人公として当然の展開では何も解決しないことが、露骨にではないけど丁寧に描かれている

こう考えると、本作でニュータイプやそれらしい描写が少ないのも、宇宙世紀のシリーズで「ニュータイプに覚醒しても人同士の問題は何も解決しない」という結論がもう出てるので、パーメットに適応する形でニュータイプに目覚めるとしても、それで問題を解決できるかも、という流れは最初からすっ飛ばすつもりなのか

もしそうなら、たぶん同時にカルド博士の提唱した「ガンドの理想」も、形を変えたニュータイプ論で、そんなもんじゃ問題は解決しない、とヴァナディース事変を通して考えたエルノラに否定されたのか

だってあれ、明言はしてないけどサリウスもデリングも「ガンダムが完成しては手遅れ」という危機感は同じように持ってて、そう考えるくらいにはガンダムの実体を、カルド博士の理想も知ってなきゃ、期日前に強制執行しようという発想にならない

大分話がそれたけど、スレッタの問題はスレッタ自身が解決する問題で、それには手助けはいるけど決めるのはスレッタ、という、今までやってきているようで微妙にやってない問題を乗り越えること、決闘に勝ってるうちに覚醒して・エアリアルの中の人と合体して何となく解決しちゃいました、なんて世界の方からすり寄ってくる都合のいいなろう系的展開はまずもってない、とおもいます

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