クワイエットゼロの嘘

14話で明かされたクワイエットゼロ計画の内容、そこに多分に嘘と思われるものが混ざっていたので、怪しいと思っている部分を指摘していこうと思う
当然ながら現時点でのことであり、15話が放送されれば崩れる部分もあると思う

「書き換える」の嘘

いきなりだが、これは「エアリアルでは不可能だった」に基づくので「クワイエットゼロでも不可能」かは不明

14話でソフィが抵抗して、紫のパーメットのあざになって絶命したが、あれを「データストームの押し付け」ではない、と前回書いた
押しつけではないが、オーバーライドしようとしたのはあるかもしれない。どう違うんだ?と言われれば説明できる材料はないので、同じだと思うなら思ってもらってもいい

ともかく、エアリアルのレベルではソフィを「従わせる」ことや「上書きする」こと、果てはオカルト派がずっと唱える「魂を取り込む」こともできなかった
最終的に死んだから取り込んでいる、という可能性が残っているけども、少なくとも現段階では「支配下に置く」事は抵抗された

それができないのに、クワイエットゼロで世界全部を支配下に置いたり、人間全部を「取り込む」ことなどできるか?
クワイエットゼロはもっと規模が大きいから!と思うかもしれないが、規模がでかかろうがベースはエアリアルのパーメットスコア6のネットワーク構築パターンを使ったものにすぎない。つまり規模が大きくてもタネは同じなわけだ、なら巨大化でごり押ししたって結果が大きく変わると思えない

むしろパーメットの性質の元となったであろう量子力学では、ミクロな世界だとマクロな世界での常識が通用しない。ということで、未だに謎が解明されず研究されている
そう考えると、モビルスーツのレベルでできなかったことが、巨大化したクワイエットゼロでなら実現できるかは疑わしく思える

ただ、これに関してはスコア6でアンチドートをオーバーライドしたことから、プロスペラ自身は「できる」と確信している可能性はある。実際できるかどうかは上記の理由で疑っているし、プロスペラ自身もわかっていてその上で、デリングたちを騙すのに使っている可能性も

エアリアルの中にいる説

プロスペラが「スレッタのすぐそばに」と言い、ベルメリアが「人間がモビルスーツに…」と言っているから
「エアリアルの中にエリクトがいる」という結論に至るのだろう

が、そばと言ってそれがエアリアルとは限らず、モビルスーツに…とは言っているが「モビルスーツに取り込まれた」とまでは言っていない

この件に関しては「遠隔操作ではないか?」と疑っているので、単にエアリアルの中ではなく別の場所だ、という主張であり、結果エアリアルを通じてスレッタにも接触しビットを操るという意味では「中にいる」説とほぼ変わらない、ので細かい部分は置いておく

ともかく、エリクトがエアリアルを通じてビットの操作などを請け負い、データストームの膨大な情報の処理を引き受けている。遠隔操作と考えるのはデータストームの仕組みで、モビルスーツが機体外部のパーメット情報まで取得(身体拡張)し、それをパイロットが受け取る、という構造自体は変わらない、なぜならそれを媒介するコンピュータがシェルユニットで、それを搭載している以上、モビルスーツの中に「何か」がいるならそこを介する必要などないだろう、と考えるから

エアリアルのシェルユニットが通常のものと同じなのは、4号がエアリアルに乗って試した際、パーメットスコア2でリンクできたことで確定している

決闘を利用したこと

決闘を利用してエアリアルを最適化する。これも怪しい話で、創作物ではよくあるイヤボーン、ピンチになると覚醒するを狙った、というと、アニメを見ている人間にはなじみ深くてなるほど!と思ってしまうものの、現実で考えればそんな話はあり得ないわけで

だからこそ、信じていたデリングが倒れてしまうとグループの人間が聞いても「なんだその荒唐無稽な話は」となって凍結される恐れがあると
「凍結」であって「廃棄」ではない。予断を許さない状態だろうがデリングが生きている限りそれはないが、死なれたら

だからミオリネを巻き込んだ?単純にそれだけだろうか…

ともかく、決闘を利用して死なない程度の安全な状態で戦わせる、と語る一方で、同じ回で学園ではそのルールを無視した死闘が始まり、プロスペラの考えが甘くて笑っちゃうとなった人もいるだろうが、1話の時点でミオリネが手を引かなければスレッタは飛んできたブレードアンテナで死んでいた、その描写は物語当初から突き付けられていたのだ

「おどろいて体が動かない」と小説で書かれたスレッタ
手を引かれなければそのまま死んでいただろう

スレッタだけでなく、エアリアルがファラクトのコクピットブロックをかすめる攻撃をするなど、決闘のルールなら死なないと限らないことを匂わす描写はこれまでもあった

コクピットブロックが焼けている

じゃあプロスペラは決闘は安全だと高をくくっていたのか?それなら9話のグラスレー戦を緊張の面持ちで見守ってた事と相反する
決闘で追い込まれることでエアリアルが覚醒する、それ自体は本当ではあるが、決闘自体が安全かは別。それでも5話と9話以外決闘を見守る様子は描かれなかった。5話に至っては次の対戦相手ながら、娘スレッタの決闘ではない

そこまで無関心を決め込めるほどエアリアルが強いか?否、強くはあるが毎度のようにどこか破損している。エアリアル自体を覚醒させるならある程度の破損はやむを得ないと思っていても、そのコントロールができない状況下において何一つサポートしない(修理の手伝いも寄こさない)のがどうにも腑に落ちない

それを解決するのが「エリクトがエアリアルの中以外にいる」説

これであれば決闘でいくら壊されようが問題はない。肝心のエアリアルを動かすキーであるエリクト自体は一切傷つかないからだ

データストームの呪いの問題

エリクトはプロローグで青いパーメットのあざを見せ、苦しむ様子がなかったのにビットを動かした。つまりスコア3相当のパーメットリンクを構築したが、データストームの「呪い」が一切現れなかった

これにより「エリクトは呪いを受けない」と思い込まされているが、その理由やからくりについては何一つ説明がないのだ、だから「エリクトがデータストームを引き受けているから平気」とするのは安易すぎる

また「エリクトにもう肉体がないから平気」というのも納得しにくい。確かにソフィが「あたし生きてる!」と言った時に訴えた痛みは肺、心臓、胃と身体側であり、脳へ直接手を突っ込まれるような、という4号の感想とは違っている
とは言えデータストームが超高密度情報体系であり、それで「空間そのものを掌握」する情報を得て人体に伝達する以上、脳へかかる負担がないはずがない、いかに情報だけの思念体になろうと情報量が大きすぎる

プロローグでは「18mもの巨大な非生物機構と人体を無理やりリンクさせる」ことでデータストームは起こる、とされた
これが正解かも怪しいのだが、言う通りの問題ならばデータストームは「モビルスーツの身体よりはるかに巨大な周辺情報を無理やりリンクさせる」ことになるわけで、上記の理屈だとその情報がモビルスーツやその中に取り込まれたら、やはり人体へのデータストームと同じようなことにならないか?

それだけ膨大な情報を扱うだけの巨大なコンピュータでもないと…

戦いも、失う悲しみもない世界

デリングが「争いのない世界」を望んでいた、これ自体が眉唾である
彼は元軍人で、引き金を引き命を奪う覚悟を説き、ベネリットグループという、いわば「死の商人」の総帥。どう考えても立場上そんな平和を望むとは考えにくい
が、同時にグループに知られれば凍結されかねない計画であり、ミオリネの母ノートレットの発案でもあるとのこと(これ自体も怪しいが)
だったら、普段のデリングらしからぬ計画でもあり得そうでもある

しかし、デリングの思惑はどうでもいい。プロスペラが、事の黒幕が真に何を狙っているのかが問題だ、事実ベルメリアは「総裁の計画だけならあそこまでのスコアは必要ないはず」と言っている

これに対しプロスペラは「世界を書き換えたいの、エリィが幸せになるために」と言った

ここから、恐らくデリングの狙いはオーバーライドによる「敵兵器の無力化」くらいのことだろう
それなら一方的に相手を倒せるし、そのための兵器も必要だからグループそのものがなくなる、ということもない。そんな一方的に押し付けるシステムであれば、奪われれば大変なことになる。ラジャンが警戒し、デリングが「今は私の計画だ」と釘をさすのもわかる

これに対しプロスペラの計画は更にその先、そしてエリクトの「幸せ」となること、そしてエリクトは「データストームのその先で私達を待っている」

「待っている」エリクトを「引き戻す」のか「そこに行く」のかで大分話が違ってくる。が「世界を書き換える」というのなら、引き戻して肉体に戻す方ではなく、世界そのものを書き換えて、エリクトに都合の良い世界にする方と思う
ので「そこに行く」方…、でもないな、エリクトのいる世界と地続きになるといった感じだろうか

もし言うようにヴァナディースの意志でもあるなら、カルド博士の言った「赤子が衣服を着る」ように、肉体は無くしてモビルスーツという「衣服」をその都度まとうように動かす、のかもしれない
いずれにしろまだ情報が少ない

理解しているということは前例がある

理性的に考えれば「そんな都合のいい乗っ取りシステム」となるわけで、ラジャンがプロローグで体験したにしても、そんなうろんな話をデリングが信じるとも思えない。いくらノートレットの発案としても

となれば、プロスペラは実証してみせたのではないだろうか

当然、それを発現できるエリクトを使って

それでデリングはそれを信じ協力を引き受けた
そして実験を重ねる過程で、追い込まれることでスコアが上がることを確認した。だから学園という決闘の場に送り込んだ
そして同時に、エリクトを実験の過程で失ったのだろう

関係性の前後は定かではない、尺のないことだから3つの事柄は一度に起こった可能性もある。だがエリクトを使い実験し、それによってデリングが信じ、エリクトを失った、そう考えれば説明がついてしまう

これは復讐譚である

デリングの妻ノートレットがクワイエットゼロ計画の発案者であること、それ自体が眉唾ではあるが、プロスペラは完全な嘘は言わず、事実の一部を伝えるなどして誤解を招く、といった手法を取る
これは尺がないということもあわせて、嘘を否定して真実を明かすより、足りない事実を明かす方が手間がないからだと思う

となれば、ノートレットが発案者であること自体は事実。ただしそれを吹き込んだのがプロスペラ自身でない、とは言い切れない。そんなところか

そしてノートレットは死亡している。事によるとクワイエットゼロを計画してしまったために命を狙われた可能性がある。というかまた尺というメタな話で申し訳ないが、そうであれば話が早いのだ

そして父と母の意志であるから受け継げ、とミオリネに迫った。確かに怪しすぎる計画を怪しすぎる人物、それもグループ最下層の者が進めようとしたってグループから承認が下りるわけはない。ましてかなり巨大で金のかかるプロジェクトと思われる

となればミオリネを巻き込むのは当然だ
だが、都合が良すぎないか?

プロスペラは復讐を狙っている。その内容も対象も不明だが、プロローグで彼女を不幸に追い込んだ御三家のうち、最初に手袋ならぬ義手を投げつけたヴィムは死亡、レンブラン家はノートレットが死亡、デリングが重体、それにより担ぎ出されたミオリネもまた、クワイエットゼロという計画に巻き込まれている
サリウスはシャディクによってだが追い込まれている、そう考えればすべての相手にリーチがかかっているわけだ

改修されたタイミングと実戦の都合良さ

エアリアルが改修されたのは9話でボロボロにされたからだが、教えてもらった情報によるとエアリアルは量産不可能、とプロスペラに言われるも、実のところ部品のほとんどはベネリットグループの既製品を流用しているとのことで、今まで地球寮だけで修理できた理由もそこにある

となれば、資金かパーツを送れば、今までのように地球寮だけでエアリアルを修理することは可能だったとなる

なのに、今までさんざん放置して修理の資金も部品もスタッフも送ることがなかったのに、突然クエタに運ばせて改修させた
そして改修した途端にクエタが襲われ、また、都合のいいタイミングでスレッタ達がそれを受け取りにクエタへ居合わせた

そして改修された途端に、その性能に見合う「実戦」決闘を超えた戦闘に巻き込まれた

あまりにもタイミングが良すぎる、まるで狙ったかのように

更には襲撃でデリングが重傷となり、復讐したいだろうレンブラン家の娘をクワイエットゼロ計画に巻き込むこともできた

クエタを襲ったフォルドの夜明けのことも、率いていたガンダム2機のことも知らないからゴドイに調べさせたが
果たしてそれすら本当に知らなかったかの保証はない

そもそもエリクトはそこにいるのか?

これは今回14話で、ソフィやスレッタの反応を見て思ったこと
ソフィは「あたしを殺そうとするきれいな声」を聴いているが、声の主がエリクトだとして、幼女の声が「きれい」というのも表現として引っかかる
感じ方は人それぞれだから断言はできないが「優しい声」なら老若男女当てはまる表現だけど「きれいな声」となると、家族を求めていたソフィの、母親役のぬいぐるみがハロというAIに置き換わっていたのが象徴的すぎて

お母さんハロ、お父さんが手まで添えて

これは他の人の意見だが「スレッタがプロスペラに洗脳されてるの、エアリアルがスレッタ全肯定で考えさせなくしてるから余計まずい」というもの
特に14話最後でのフォローはまさにその感じだったが「ゆりかごの星」の地の分であるエアリアルは決して全肯定、というわけでもなかった

ソフィが母を求め、生き死にをかけた戦いを望む中、聞こえたのは「あたしを殺そうとするきれいな声」
スレッタが母への疑いを持つ中、聞こえたのは「母の言葉「進めば2つ」を肯定するであろう声」
プロローグで瀕死のナディムが見たのは「愛娘とのパーティーの続き」

10話でミオリネはガンド医療の特徴として「装着者の意図の抽出」と説明している
プロスペラはエリクトが「データーストームのその先で」待っていると言っていたが、それ含めて「願望を抽出してかなえている」ように思える

21年間誰よりも研究し続けているプロスペラが、ミオリネでも知っていることに気づかないとも思えないので、やはり薄々気づきながらも、それでも娘を諦めきれないのだろうか


と、プロスペラの発言からクワイエットゼロ計画、それを語った時のプロスペラの嘘と思われる発言を中心に考えてみました
情報は少ないし、2クール目で終わると言われているので、今更そうフェイクが入るのかなあ、とは自分でも思いつつも、最後まで魂が取り込まれた、などのオカルト路線は可能な限り否定しながら考えていきます
水星の魔女は推理ものではないけど、推理ものの鉄則は「オカルト理論に頼らない」ことなので。それがまかり通ったら何だってありになっちゃうんで可能な限りはね

とは言え初代ガンダムの時点でニュータイプにサイコミュというオカルトに半分足を突っ込んでいるけどな!そこはご愛敬

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