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ITエンジニア向けコミュニティを2年運営した知見とノウハウ

TechCommitというサービスを開発・運営している井上です。

今回は、TechCommit Advent Calendar 2020 の25日目として、コミュニティを運営している人や興味がある人、また現在TechCommitに参加いただいている方向けに、改めてどういう思想でどういった活動をしているのか、また運営のノウハウなどの参考になるようまとめていければと思います!

特にコミュニティ活動に興味がある方・運営されている方の参考になる部分があれば幸いです。


前提:どんなコミュニティを運営しているのか?

TechCommitはITスキルを中長期的に学び続けて、楽しくITエンジニアとして成長し続ける環境を提供しようと運営しているコミュニティ型のサービスです。

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WebアプリケーションとSlackをAPIで繋いで、情報の蓄積や相互扶助の仕組みを作っている他、毎週末にイベントを行ったり、毎日夜にもくもく会で皆で勉強したりといったことを行っています。

現在提供しているプランでは月額1000円で、初学者の方もいますが、現役のITエンジニアの方も同様にいらっしゃいます。

現役の方には勉強会等のイベント開催側としても協力して頂き、報酬もお支払いして、教えることで技術学習のモチベーションアップにも繋げていただいており、コミュニティ内での学びのライフサイクルを育てています。


TechCommitの思想

TechCommitにはいくつかの機能郡があり、このあたりは省略しますが、基本的には相互扶助を根底に置いています。

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https://doc.tech-commit.jp/tutorial/about/ 

コミュニティ内で他の人を助けたり、勉強会開催などの活動を積極的に行う人が、友だちが増えたりはもちろん金銭的にもある程度リターンがあるようにして、楽しく得意分野で助け合える空間づくりを目指しています。(来年度にはこのあたりの報酬系の見直しを強化されるリニューアルを行う予定です!)


なぜ運営しているのか?

正直高額のプログラミングスクールでもやってた方が儲かるんですが、ITエンジニアとしてスキルアップしていくのは終わりが無く、また中長期的に自身で学習することが最重要だと思っているので「学習環境」にフォーカスして自己実現をしていきやすい場所を作っていこうと考えています。

特にITのスキルアップにおいて求められることは

A. より短期間でスキルアップする『効率化』
B. コツコツとより良い情報を得ながら学習し続けられる『継続性』
C. Webの情報などでは学びづらい『経験的・慣習的知識』

あたりが主だと思っており、その中でも「B」と「C」についてコスパ良く使える場所があればもっと色んな人がやりたいことに近づけるはずだよなーと考えて、TechCommitの運営をはじめていたという経緯があります。

それでは前置きが長くなりましたが本編に入っていきます。


コミュニティ運営のためにやっていることと工夫やノウハウについて

書きたいことが山程ありすぎて書ききれないのですが、今日は普段の運用や特にいま力を入れていることなどを紹介していこうと思います。

特にメンバーの方もコミュニティの運営の背景などを知って頂く機会にもなれば嬉しいですし、別のコミュニティ運営をされている方も参考にしていただいてよりよいコミュニティが増えれば良いなぁと思っております!


(1)お互いを尊敬・尊重出来る空間を徹底する

大前提として会社や部活やサービスなどのどんな種類のコミュニティでも人間関係がギクシャクしたりすると、居心地の良い空間などになるはずがありません。

そこで、利用規約とは別に思想などを明記したガイドラインを制作して、その方針を徹底して守るというのが重要だと考えています。

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TechCommitのガイドライン

特に気を使っているのは、禁止事項の3「他のサービスやコミュニティ、特定の技術などに対して攻撃をしないこと(手段としての批評や議論に留めること)」という内容です。

いろいろな立場・価値観の人が参加する場を提供していますので、特にチャットやサービスでの批判に気分を害する人もいるかもしれません。(特に特定のサービスの中の人などがいれば嫌な気持ちになるでしょう)

(もしdisり芸をしたい場合は、Twitterででもしててもらえれば…と思っています!内部では気になる表現などは個別に注意を促しに行きます。)


(2)話題が生まれる流れを設計してキッカケを提供する

いつきてもある程度賑わっているコミュニティでは「常に話題が提供されている」と感じています。

TechCommitでも運営が話題を降るというのはもちろん、イベントの成果や他の人の活動をヒアリング(観測)した内容を共有することで、刺激を受けたり交流が生まれたりするキッカケを作っています。

特に、成果物(個人アプリ制作・案件に関する相談)などは見た目にもわかりやすく、有識者からのアドバイス等は周りの人にも有益な情報だったりするので喜ばれているようです。


(3)SlackのAPIを活用しまくる

以前別のところでも書きましたが、TechCommitでは現在はSlackをクライアントアプリの1つと位置づけています。Slackを採用している理由は、ITエンジニアはSlack好きな人が多いというのもありますが、APIやスラッシュコマンドが優秀だからです。

例えばTechCommitのQA広場(質問掲示板)では、技術などのカテゴリーに応じて、投稿時に該当のSlackチャンネルにも通知が飛ぶようになっています。

自己紹介用のスラッシュコマンドなどもあり、今後要望に応じて追加していくことで、コミュニケーションなどの促進を図っていきます。

また、運営メンバーなどの発言数やリアクションの反応数等をデータとして取得できるため、運営改善のヒントとしても利用することが出来ます。


(4)会話などの参加の敷居を下げる

チャットなどを利用するにあたり、(特に参加したばかりの方や輪に入っていくのが苦手な方は)何を話していいのかわからないという方も多いです。

そこでTechCommit内で「ひとりごと」という部屋を作ったところ、Twitterのように皆気軽に好んで発言してくれる人が増えました。

趣味や晩御飯の話から、数学やIT技術の話など振れ幅が大きく、色んな話をするキッカケにもつながっています。


(5)趣味などを通じて別軸でも仲良く慣れるようにする

また、ITのスキルアップをし続けたい人のためのコミュニティではありますが、全く関係ない「遊びや趣味の活動」を入れるというのも今年やってよかったことの1つかなと思っています。

具体的には「麻雀」や「ボードゲーム」などの遊びを行う部活を行ったところ、縦だけではなく横の新たな接点が出来る機会が増やせました。

業務・キャリア・技術などについての相談・フィードバックなんかも、やはり顔見知りが何人かいるような場所での方がやりやすかったりするものです。


(6)中級者以上も含めたライフサイクルの構築をする

最近力を入れているのは勉強会をメンバーにも開催して頂くことです。

餅は餅屋ではないですが、やはり様々な分野に精通している人というのはそこまで多くはないですし、自分の業務で使っている技術や得意分野で勉強会を開いてもらうことで、運営のスキルセットに依存しない幅広い知識を得る機会の提供もできます。

また、実際に勉強会を開催いただいた方の感想を聞いてみると、勉強会の開催自体が登壇者の学習のモチベーションアップにも大きく貢献しているようでした。ファシリテーションや人にわかりやすく説明するなどIT技術以外の学びも有るようで、運営が開催を取り仕切りつつイベントを通じた学習のライフサイクルを作っていくところは価値が高いと感じています。

▼ そうさんの「Docker入門の勉強会」の開催感想

▼ Shimamotoさんの「Webpack入門の勉強会」の開催感想


(7)ユーザーインタビュー・データ分析を強化する

今年は色んな機能追加や運用改善を行ってきましたが、個人的にプロダクトマネジメントの下記の本を読んで戦略的に行えていない部分もあったと反省があったので、特に最近はユーザーの声の収集の強化もしています。


ユーザーインタビューについて

TechCommitは下記の内容のように、喜んで頂けている方も多そうです。

「TechCommit」に支えてもらったと思っているので、私にとって「TechCommit」といえば浮かんでくることを記事にして、感謝の気持ちを伝えたいです。
TechCommitのおかげで、学習が習慣付き、TechCommitの学習日報に記録した学習時間が1000時間を越えました。挫折しそうな時も、もくもく会に参加して他の方が頑張っている様子に刺激されたり、とてもすごい制作物を見せてもらって負けてられないという気持ちになったりして、ここまでやってこれました。


ただ、不満や本人も意識していない要求を含む、より深い様々な考えや習慣などを深く知るには、色々な方の声を聞かないと自己満足な機能提供や運用改善などの要素が多くなってしまうなと実感しています。

そこで、コミュニティでは声がかけやすいという利点を生かして、現在進行系でヘビーユーザーの方、特定の機能を多く使っている方、最近あまり見ない方などなど、いろいろな方のお話を聞かせてもらっています。

新しい気づきも色々有り、来年の活動計画に大いに参考にさせていただいております。


NPS計測(Wootric)について

最近TechCommitではWebアプリにWootricというNPS(あなたがこのサービスを知り合いにすすめる可能性はどのくらいありますか?と11段階で聞くやつ)を導入できるサービスを入れました。

目標設定などの指標と出来るのはもちろん、「あ、こういうところ気に入ってくれてるんだな!」という気付きにもなって、もっと早く導入しておけばよかったです。


GoogleAnalytics+利用データでの利用分布分析について

こちらも最近本格的にやり始めたのですが、GoogleAnalyticsでどのページがどの程度使われているのか、機能別に集計して利用状況を分析しています。

今後は機能追加によりこの値がどのように変化していくのかなども毎度レポートを取れるようにして、管理画面での利用状況表示の機能などとともに、機能や運用改善の指標としようとしています。


TechCommitの今後の方向性

現在ユーザーインタビューやデータ分析も進めているところですが

● 勉強会や個別の相談に乗る学習ライフサイクルの構築
● 目標設定やそれを管理するコーチング要素の強化
● 報酬要素等の見直しによるゲーミフィケーション機能の強化

あたりは価値検証を進めていこうかと考えています。

コミュニティを名乗っていますが、コミュニティ機能というのは提供している機能の1つで、学習をするために組み込むフレームワークのような形に進化させてければなぁと思っています。


さいごに

オンラインサロンみたいなビジネスモデルの「コミュニティ」にはちょっと宗教臭が強いものや、ギラギラしたものが多く、コミュニティというと現状敬遠される方も多いのではと思っていますが、個人的にはビジネスモデル自体は(すぐに辞めやすいので)悪くないと思っています。

有料でも無料でも、様々な自分の思想を持つ人のより良いコミュニティが増えれば、参加する側もいろいろな学習環境を選んだり、複数のコミュニティを比較して居心地がよい自分のあった場所が見つけられるようになる為、今回の情報も加味して他のコミュニティの環境も改善してもらえる部分が1つでもあったなら本望です。

TechCommitではメンバーももちろん、勉強会を開くことに興味がある人など広く募集しておりますので、興味があればぜひ遊びに来てくださいね!



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