マネーフォワード京都拠点を支えるチームビルディングの技術
こんにちは!井上(@ino_dev)です。
「MoneyForward Kyoto Advent Calendar 2020」の7日目担当としてお送りします!
私はマネーフォワード京都拠点で1年ちょっと前から、業務委託のバックエンドエンジニアとしてRailsアプリの開発をメインにお手伝いしております。
今まで個人事業主としていくつかのスタートアップ企業などで開発をしてきたり、法人化した後に自社の案件で小規模なアプリ開発や開発コンサルなんかもしていたりします。
そんな自分の立場から客観的に見て、「マネフォ京都拠点の優れていると思うチームビルディングの取り組み」を紹介していけたらなと思います!
より強いチームにしていく為に参考になるものがあれば幸いです。
1. そもそも良いチームビルディングとは何か?
はじめに、チームビルディングの考え方について少し整理して、各取り組みがどのような意味を持つのか見ていけるようにしましょう。
1.1. タックマンモデルについて
チームビルディング、といえば鉄板の「タックマンモデル」は心理学者のタックマンが唱えたモデルです。
簡単に表すと、下記の図のように段階を追ってチームが機能していくようになるという考え方です。
お互いの考え方や目的の共有が行われることで、段階的に『機能するチーム』になっていきます。
この「機能するためのチームになる段階を、出来るだけ加速させる」のは良いチームビルディングだと言うことができます。
2.2. 正しい心理的安全性について
最近組織づくりなどにおいて使われる『心理的安全性』という言葉は、よく(都合が良いように?)誤解されがちですが、上記タックマンモデルで言うところの「機能期」の状態を表しています。
お互い様子見をしている「形成期」の延長線上での『ぬるま湯』ではありません。
「全員が同じベクトルで成果を出すために動いている」という前提があり、「共有している目的のためならば遠慮なんて無用だぜ☆」というのが真の心理的安全性です。
機能するチームを早く形成するというスピードも重要ですが、「より挑戦しやすい環境を用意して、自発的な行動や議論を促す」というのも良いチームビルディングでしょう。
2. FFSの活用
そんなより良いチームビルディングを行うためにも、マネーフォワードでは人事の方などの主導により、「FFS」を活用したチームビルディングなども行われています。
2.1. FFSとは
FFSは Human Logic Laboratory, Inc. の提供する組織形成のツールです。
公式サイトでは、
FFS(Five Factors & Stress)理論とは、「ストレスと性格」の研究において開発されたものです。人が恣意的、無意識的に考え、行動するパターンを5因子で計量し、ストレス値においてポジティブな反応か、ネガティブな反応か分析します。その結果、その人が保有している潜在的な強みが客観的に分かります。
と説明されています。
2.2. FFSの学びと活かし方
マネーフォワードにはFFSのワークショップを開催出来る方・テストのスコア付が出来る方がいらっしゃるので、チームや部署内で開催してもらうことで成果の出やすそうな人の組み合わせや、自分に求められる(成果が出しやすそうな)役割を知ることが出来ます。
FFS理論では人を5つの因子とストレスで数値化し、その人の思考行動を把握します。因子によってそれぞれストレッサーが異なり、ポジティブ反応、ネガティブ反応があります。
マネーフォワードでは採用後に、FFSの診断テスト(及びワークショップ)で相性の良い、個性を活かせるチームを作るための取り組みを行っています。
また(個人が了承すれば)診断内容などを開示して、チーム内でお互いの特性などを深く知る機会を得ることが可能となっています。
2.3. FFSを実施して良かったと思うこと
京都拠点では存外皆さん特徴がバラバラでしたが、比較的弁別性の高い(何でも白黒ハッキリと判断したがる)人が多いようでした。
京都拠点でFFSをやってよかったなと個人的に感じたのは以下の3点です。
● マイノリティな特性・価値観を持つ人が分かり配慮しやすくなったこと
● チームで成果を出す為の自分の役割や弱点を意識できるようになったこと
● 価値観に関する共通言語が出来たこと
1on1などでもこの共通言語を用いて、どういうところにストレスを感じるのかなども相談しやすくなるのではないでしょうか。
2.4. マネーフォワードの全社的な取り組みの詳細
人事としてFFSを導入された経緯の動画がYouTubeに上がっておりましたので、気になる方はこちらも合わせて御覧ください!
3. ストレングスファインダーの活用
マネーフォワード内の取り組みとして、「ストレングスファインダー」を部門内全員で行い、お互いの理解に努めようという取り組みもあります。
3.1. ストレングスファインダーとは
公式サイトの説明で、
クリフトンストレングス・テスト (以前のクリフトンストレングス・ファインダー)は、34のクリフトンストレングスの資質.について、あなた固有の順位付けを明らかにします。
とある通り、診断テストを受けることで34種類のうちの強み(また上位プランもやると弱みも)を出してくれます。
下記の「さあ才能に目覚めよう」の書籍でもおなじみですね。
※ちなみに、診断テスト用の使い切りコードが書籍に付いていますので、書籍を買う場合は中古は避けましょう!なお、34個フルで出るものはWebの方から購入しましょう。(追加購入すると値段が上がります)
3.2. ストレングスファインダーの学び方と活かし方
「FFS」はチームとしての立ち振舞や相性についてメインに扱っていますが、「ストレングスファインダー」はより個々人の価値観に注目した内容になっています。
上位の才能は下位の才能の10倍負担なく活かしやすい反面、逆にそれが脅かされるとストレスになるということで、自分の立ち振舞や今後のスキル面の伸ばし方などについてより戦略的に考える材料になります。
テストの診断結果だけでも、それを材料に内省するだけでも十分効果はあるかと思いますが、ストレングスファインダーの資格(?)保有者による勉強会やコーチングでより深く学ぶ機会も得られます。
マネーフォワードで主導されている方の勉強会にも参加してみてより多角的に他の人の価値観やストレスを感じるポイントなども知ることが出来ました。
3.3. ストレングスファインダーを実施して良かったと思うこと
個人的にストレングスファインダーをやったのは2回目でしたが、今回は新たな気づきが多かったです。
自分の得意とする分野の活かし方を、より戦略的に今の業務や役割に即して考えられるようになりました。
(なお余談ですが、自分は「着想→個別化→分析思考→親密性→学習欲」の順に高く、色々なアイディア出しや個々人の活かし方を考えることに喜びを感じたりします。)
京都拠点のチームでもお互いに見せ合いっこ&ワークショップをして、チームとしての考え方や人材としての特徴などを話し合えてより踏み込んだ話がしやすくなったのではないかと思います。
あと単純に話題のネタとしても面白いですw
余談ですが、マネーフォワードでは「個別化(1人1人の違いを活かそうとする才能)」の高い人が多いそうです。このような取り組みに力を入れていることからも組織的な特徴が伺えますね。
4. スキルマップの作成
マネーフォワード京都拠点での取り組みとして、不定期にメンバーでスキルマップ作成なども行っています。
4.1. スキルマップについて
皆で「スキル」を定義・分類してから、それぞれの現状のレベル、及び今後到達したいレベルをまとめたものです。
下記は京都拠点のフロントエンドでのスキルマップ作成で使用していたものの一部です。(これとは別にそれぞれの伸ばしたいスキルの記入もあります。)
4.2. スキルマップのやり方と活かし方
スキルマップ作成は、前半でブレインストーミングを行ってスキルを洗い出し・カテゴリーに分けていきます。
その上で後半で「レベル」を定義して、皆に「それぞれのスキルの自己評価でのレベル」を記載していってもらい、最後に今後伸ばしたいスキル及び到達したいレベルを記載してもらいます。
スキルマップ作成のワークショップを開催して、SpreadSheet(Excel)などでまとめて共有すると、お互いの興味や今後やっていきたいこと(歩みたいキャリア)の理解がはかどります。
実際の進め方などは「MoneyForward Engineers' Blog フロントエンド勉強会@Nkzn 〜主催者レポート編〜」にもブログ記事が書かれていますので御覧ください。
スキルマップ作成をすることで、社内のどの案件にどんなロールとして関わりたいかなど、1on1だけでなく普段のチームメンバー同士でも意識がしやすくなります。
(もちろん会社として求められることはやっていく必要はありますが、興味の強さによりロールを中心に調整しやすそうです)
4.3. 京都拠点での例
スキルマップ作成で「興味があるスキル」だけでなく「興味がないスキル」も認識できることが重要だなと感じました。
ストレングスファインダーで「学習欲」の高い人が多いこともあり、広い分野で学びたいという気持ちを持っている人が多いようですが、とりわけITエンジニアでもプロダクトオーナーのような役回りに興味がある人ない人が結構分かれるところなどが面白かったです。
5. ポジティブな文化づくり
他にも色々書きたいことはあるのですが、個人的にチームビルディングという文脈で、良いなと思う文化を3つだけあげたいと思います。
5.1. 自発的な文化
月次の会議などで「ミッション・ビジョン・バリュー」の共有が毎回行われていますが、それとは別に京都拠点の "Give it a try!" というコンセプトがあります。
京都拠点Webサイトのメインヴィジュアルにもなっているこのコンセプト。
「最初の一歩を自ら踏み出すことを、最も大事にしよう。失敗も成功も全て受け止めて、前に進み続けよう。」
という内容を皆で共有してそれぞれ実践していくという文化の醸成がとてもうまく働いているなと感じます。
5.2. ありがとうの文化
Slackと連携してありがとうを伝えられる「Unipos」などのツールも導入されており、(特に一部の方は)なにかあるたびにマメにありがとうメッセージとシステム内ポイントのプレゼントをされています。
マネーフォワード内のピアボーナス制度により、「ありがとう!」のポイントを貰っている人はそれに応じた分半年に一回、給与に上乗せした支給があります。(ここだけの話、業務委託である自分も対象になっていて頂けたので少し驚きました)
昔仕事をしていた某所スタートアップなどでは、こちらが「おはようございます!」とあいさつをしても全然返してくれなくてびっくりしたことがありますが、マネーフォワードはその逆で「エモい」施策が多くてとてもよい空気感を作る仕組みが多いなぁと感じます。
5.3. イベント化・お祭り化の文化
個人的に面白いなと思ったもので、何かと「イベント化する」という取り組みもあります。
例えば、現在自分は『マネーフォワードクラウド会計Plus』という、経理部の内部統制を支援する機能によりIPO準備・上場企業の効率化をサポートするプロダクトの開発に携わっていますが、こちらのリリース前に別の部署の人なども巻き込んで動作確認をしていく「バグバッシュ」というイベントの開催などもされていました。
別の部署含む沢山の人がリリース前のプロダクトをひたすら触ってバグを見つけるイベントで、開発チームがリアルタイムに見つかったバグの影響度などから得点をつけていきます。(より多くの問題になりそうなバグを見つけた人が入賞することができます)
なお、このようなイベントが何度も開催されているためか、経理部の人がXSS(クロスサイトスクリプティング)などの技術的な知識やデバッグ方法を知っていて思わずニッコリしてしまいました。
さ、流石ッス!w
最近はオンライン中心なので少なくはなっていますが、「VPoE/CTOと交流するカフェ会」「社員が企画するGolang勉強会」その他「輪読会」などなど自発的に開催されるイベントも多く、マネーフォワードらしさが感じられる文化かと思います。
6. まとめ
マネーフォワードではチームビルディングの為、FFSやストレングスファインダーなどのツールを惜しみなく使い、それぞれの能力が発揮できる環境を作ることに全力で取り組まれているというところがとても良いなぁと感じています。
特にこれらの内容が業務委託やインターン生も対象としており、全社でよりよくしていくぞ!というもはや執念すら感じます。
放って置いても絶対にチームをより良くしていくという方向には向かわないので、チームビルディングはしっかりと仕組み化していくことが重要であり、なにかひとつでもこの記事からヒントが得られたことがあれば幸いです。
7. 最後に
「MoneyForward Kyoto Advent Calendar 2020」の7日目担当井上でした!
また、京都開発拠点で引き続き正社員やインターンも積極採用を行っているそうです。(最近また人が増えてくる予定があるそうで楽しみ…)
ご興味ある方は是非チェックしていってください〜(*˘︶˘*)
▼ 中途採用:株式会社マネーフォワード京都開発拠点
▼ インターン:株式会社マネーフォワード京都開発拠点