ITエンジニアとしての生き延び方・キャリア戦略を考えてみる
この記事は TechCommitAdventCalendar 15日目として、井上(@ino_dev)が担当します。
現在ITエンジニアの為のスキルアップ環境 TechCommit を運営しております。TechCommitでは現役のITエンジニアさんも結構いらっしゃって、技術や問題解決の話の他、仕事の仕方だったりキャリアについてだったりを語りあったりすることも多いです。
そこで今回は、普段色々な方と話しながら考えている『ITエンジニアとしての生き延び方』について軽くまとめてみようかなと思います。
今後のITエンジニアとしての活動方針や戦略の参考になる人がいれば幸いです。
とりあえず基礎体力を付けながら考えよう
ITエンジニアと一言でいっても色々な人がいます。
ビジネスマンとしてITスキルを齧って、「総合力で勝負しよう!」というRPGで言うところの魔法剣士みたいなタイプもいれば、「火力極振り物理で殴る!」なバトルマスターみたいなタイプもいますが、どんなタイプでもITエンジニアとして仕事をするのであれば、下記はまず意識して身につけて行くのが良いのかと思います。
(1)業務遂行能力の習得
まず、自社(または他のどこかの会社)で評価される仕事が出来るようになることを目指します。特定の会社にこだわる必要は無いと思いますが、市場価値のある、つまりチームとして存在感を発揮できるスキルをまず身につけることが重要です。(当たり前ですが)
勿論自社や現在の業務に拘る必要はないと思いますが、少なくともどこかの会社で評価してもらえるスキルを持てるところまでいけなければ、業務としては何も積み上げていくことはできません。
特にジュニアレベルと呼ばれる入社まもない人は、まず目の前の仕事に注力しましょう。
(2)哲学・思想・工学の理解
最低限会社やチームに評価して貰えて「業務が滞りなく出来る」状態になれたら、現在のスキルなどをより抽象化するために「哲学・思想・工学の理解する」ことを意識し始めても良いかも知れません。(アカデミックな学び方をされてきた方はこちらが先かもしれません)
具体的には、
● アプリケーションやアーキテクチャの設計思想
● 組織論やチームビルディングのパターン
● コンピュータ・サイエンスなどの理論
などなどです。
例えば、「なぜ◯◯さんの生産性が高いのか?」「なぜこのチームはその技術選定をするのか?」「なぜこの設計なのか?世の中の定石はどのようなものがあるのか?」「この技術はどのように成り立ってきたのか?」というような内容です。
「作業」ができても、実践の中でその業務を具体化・抽象化して考えられないと、応用力が乏しく選択肢や活躍の幅が限定されます。
まぁ、自分も日々勉強中なので偉そうには言えませんが_(┐「ε:)_~0
(3)自分の価値観・得意分野・社会的価値の理解
「仕事が出来るようになる」「様々な思想も理解していく」ということの他、自分の嗜好性や価値観を言語化するということも重要です。(他人に見せびらかせということではないが、私はこういう人間ですと語れる必要はある。)
いくら凄いエンジンを搭載した車でも、目的地(自分の幸せの定義)が分からないのでは迷子になってしまうことにもなりえます。
「私の人生はこのためにある!」みたいな意識高い系のことは考える必要もない(考えたければ考えればいい)と思いますが、少なくとも「私はこういう状態がめっちゃ楽しいし幸せだぜ!」という状態の理解や目標の設定は必要かと思います。
ちなみに、「凄いエンジンを搭載した車を走らせること」自体が目的となる人も一定数いてそれはそれで戦略にもなりえます。ただ、そういった自分の幸福に感じる状態や目標・自分の特性の活かし方について考えたことがない方は、ちょっと想いにふけってみるのも新しい発見があって良いかも知れません。
周りを気にせず自分の戦略に沿って進もう
戦略について考える前に、前提として「キャリアに正解はない」という理解は重要です。
参考に出来るロールモデルは多いに越したことはないですが、価値観や経歴などが全く同じ人間はいないので(他人に迷惑をかけない限りは)「君はこうあるべき」と他人に語られるのもおかしな話です。
勿論、有識者の適切なアドバイスは聞いた方が良いですが、インターネット上は様々な「バイアス」や「欲求」が入り乱れた混沌とした場所だという認識のもと情報の取捨選択は必要です。
(※自分に自信がない人は、他人に意思決定を委ねたり、流されることが心地よく感じてしまうことも多いようです。)
特にSNSなどにおいては、下記3つの存在を意識しておくと良いでしょう。
● ポジショントーク … ビジネスや人間関係で有利になるような立ち回り
● 承認欲求 … 他の人に讃えられたり、立場が上だと思い込みたい欲求
● 生存性バイアス … 自分の選択がただ良いと思い込みたい心理
これらは無意識にでも、程度の差はあれ人間誰しも持っている・やっていることなので、これ自体が悪いことではないです。
「あ、この人はこういう考え(狙い)やバイアスの下発言しているんだな」と、冷静に分析・判断出来るようになることが重要です。(分析・判断できることと仲良く出来るかとかはまた別の話)
その上で、自分の戦略を下になりたい自分の方を向いて邁進していきましょう。
ITエンジニアとしての戦略のパターン
クライアント先や先輩ITエンジニアとして活躍されている人も様々なタイプがいますが、あえてカタにはめていくとしたら、
● 「役割」としての戦略
● 「道具」を活かす戦略
● 「業界」としての戦略
などを武器として、自分の仕事のやり方を切り開いている人が多そうです。
順番にどのようなものかかんたんに見ていきましょう。
役割としての戦略
「役割」は分かりやすいところで言えば「CTO(最高技術責任者)」などです。
「CTO」はその会社で一番技術力が高い人と思われがちですが、(勿論技術選定等含む高い技術力は求められますが)事業や会社の経営を技術的に支えるための意思決定をする為の役割が求められます。
(企業の規模にもよりますが)ITスキル以外にも組織作りや意思決定の為の経営の理解などが必要となります。
特にチームや組織で仕事をすることに生きがいに感じる人は、どのような役割・どのように役立てるのか?という考えの下、(情報整理が得意・人の間に入って調整するのが得意などの)自分の性質に応じてポジションを確立していけるよう進む・活動するのも幸福度が高いでしょう。
道具を活かす戦略
「プログラミング言語」や「OS」また「サービス」などを1つの軸とする考えで活躍されている方もいます。
プログラミング言語などで言えばOSSにコミットすることで、そのコミュニティの仲間が出来たり、ブランディングにも寄与することになります。
特定の技術やサービスなどを得意として「◯◯といえばあの人」という認知を獲得している人もいます。(Firebase/Flutter/Nocode/AWS などなど…)
特に特定の技術に精通している人は、その思想や哲学まで理解しているので、そのサービスや技術が死んだとしても、それを活かして別の活動につなげていけば良いだけの話です。
そもそも趣味の延長線上でやっていたら勝手に認知されるようになっていたと言うような強い方たちもいらっしゃいますが…。
業界としての戦略
業界の専門知識を求められたり参入障壁がある分野も軸になりやすいです。
例えば「会計」などの業務知識が必要となる部分や、参入障壁が高い「医療」、IT化のアプローチが難しい「不動産」などは分かりやすいでしょう。
マネーフォワードには「元会計士」でITエンジニアになって活躍している方がいたり、といった具合です。
特定の業界で必要とされる知識や人脈は獲得コストも高い為、そのまま資産として活用しやすいので、業界を軸に考えてみるというのも良さそうです。
いずれにしても学び続けることは重要
技術分野は勿論、自分の性質などをかけ合わせて、より自分らしい活躍の方向性を見定めて進んでいきましょう。
とはいえ、ITエンジニアの基盤は「技術力」です。
少なくともITエンジニアとして活躍するのであれば、業務で求められている技術と、将来使うかも知れない技術のつまみ食いなどは積極的にやり続けていきましょう!
最後に
結構エモい系の記事になりましたが、今後どうしていこうかと立ち返って考えるキッカケにでもなれば嬉しいです!
特にこの戦略は市場で考えても良いですし、社内でどうキャリアアップしていくのかと考えるときにも有効だと思っています。
もし誰かしら仕事のやり方やキャリアの壁打ち相手が欲しかったら TechCommit なども運営しているので遊びに来てみてください。
また、noteの「いいね」や「フォロー」なども頂ければ更新の励みになります!