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子どもたちに贈る12章 ~真弓貞夫 87

薬を出さない小児科医
真弓貞夫先生をご存じでしょうか?
先生は2021年、90歳でこの世を旅立たれました。

わたしは真弓先生に、今から25年ほど前に出会い、
そしてわたしのイノチを救っていただいた命の恩人なのです。
その恩人からの学びは、わたしのこの25年をひっくり返すものとなりました。
特にここに掲げる
「子どもたちに贈る12章」
この本を手にしたときの衝撃はありませんでした。
自分がどこか疑問に思っていることを、
丁寧にわかりやすく書き綴られていたから・・・。

そこでこの大切な思いを沢山の人に知ってもらいたくて、
この本を簡単にまとめてみました。

12章からなるこの本の、5章までを動画で作ったのでまずはそこからどうぞ。

6章からは文にしてみようと思います。

第6章「寿命」とは何か


日本人の平均寿命は大幅に伸びています。
その寿命を規定しているのは、遺伝要因が25%・環境要因が75%とさています。
日本の平均寿命が50歳を超えたのは昭和20年以降。

また、新生児の死亡率が戦後60年の間で1/16にまで減っています。抗生物質の登場によって、亡くなる子供が減ったのは事実。昭和30年代には二十歳頃の肺結核で若死にする人がたくさにましたが、今ではほとんど結核で命を落とす人はいません。こうした若者の死亡率が減ったことも、平均寿命をあげているひとつ。

体質や免疫力など、いわゆる健康の元となる部分というのは、大体成人になるまでに決まるといわれています。
また、長寿の条件として
1,水・空気の質が良い
2,気候がやや酷しい
3,労働がややきつい
4,ストレスが少ない
5,大食いをしない
6,美食をしない
7,野菜の摂取量が多い
だそうです。
皆さんの環境はいかがですか?

平均寿命が延びたのに健康な人が減っている現代。
子どもたちの60・80歳はどんな大人になっているのでしょうか?

第7章「生きる」とは何か

【原点は出産時にある】
人生において、生きる原点は出産時にある。
言うまでもなく、出産に際しては母と子が密接な相関関係を保っています。
しかし現代では、その主体性は子どものようにあるようです。

「生まれる」
  ↓
「産む」
  ↓
「産ませる」
へと変化した現代。

啐啄という言葉があります。
鳥の出産が近づくと卵の中の子どもがからの内側を突いて負荷の時期が来たことを親に伝えます。
その情報を親がとらえて殻を割ります。

人間も同じ。
子どもから生まれる合図を母親に伝えます。
それを受けて母親側は、ホルモンの分泌や自律神経のバランスを整え出産に備えます。そして陣痛がおこり出産へと流れていきます。
つまり「産む」よりも「生まれる」という要素の方が強いのです。

現代では、昼間の間に、土日祝日を避けるようにと、大人の都合で「産ませる」病院出産が増えている。
明らかに子どもの「生まれる」から、大人の「産む」傾向に変わってきています。つまり、子どもの生きる力が人生のスタートから減弱させられていることになります。

母乳から人工哺育への転換は、子どもの心に歪みを生じさせます。
本来おっぱいを抱いて飲ませる利点の一つとして、胎児から慣れ親しんだ母親の心音に接することで心の安定が得られます。
また、おんぶと抱っこをすることは子供の手の力をつける上でも大いに役立ちます。最近の手の不器用さはここにあると考えます。
母乳から人工哺育への弊害ですね。

そして現代の咀嚼力の弱さは、母乳とミルクの差がいわれています。
母乳は乳首の硬くて穴も極めて小さく、それを飲むために努力を要します。それが吸啜力や将来の咀嚼力を育む要因になります。
一方、ミルクは柔らかい哺乳瓶の乳首は穴が大きく簡単に飲むことができます。
この母乳とミルクで育った子供の吸啜力の差は60倍だそうです。

子どもの生きる力を養うには、単に体が大きいとか、栄養学的に優れているとはばかりではなく、もっと包括的に育児を考える必要があるのではないでしょうか?

人が人として、ひいては人間として生きていくうえで、乳幼児期の育児法がいかに重要な役割を果たしているかがお判りいただけたと思います。
それから、「もう遅い」「もう間に合わない」という方がいますが、決してそんなことはありません。気づいたその日が吉日。自分の頭でしっかり考え実行に移していくことが肝心なのです。

真弓先生が伝えている言葉
育児はその人が生まれる20年前から始まる

第8章 「食物」とは何か

【三里四方の食べ物を食べる】
食料自給率が41%と著しく低下した中、これを実行するのはとても難しいことになりました。が、この考えはわすれてはならないことです。
また、年中同じ野菜が手に入るようになり俊がわからなくなっている人もいます。四季に合わせた旬なものを口にすることも忘れてはなりません。
食養家の石塚左玄は「春苦味、夏は酢の物、秋辛味、冬は油と心して食え」といいます。
そして咀嚼力。よく噛む習慣をつけるために、食材及び調理法に工夫がいりますね。噛むことで唾液の分泌が盛んになります。唾液には抗菌作用や抗ガン作用、免疫力を高め癌などを含め病気の予防効果があります。また老化防止ホルモンのパロチンが含まれているのです。

第9章 「家族」とは何か

人は平等であるということを福沢諭吉は提唱しました。
「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず・」
これが人との間に垣根を作らない基本となります。

小林正観さんの「き・く・あの実践」という本を読み、心から共感しました。
「き」競わない
「く」比べない
「あ」争わない
家族や周りの人々に接するうえでの重視すべくことです。

【お互いを尊重して語り合う習慣】
今、向き合ってじっくりと語り合う場が設けられているでしょうか?
どの時代になれこのコミュニティーはとても大切なものだと感じています。

【見えないものの大切さ】
この世には「見えるもの」と「見えないもの」が存在します。
家族にとって大切なものは見えないものであると思います。その考え方を家族である子どもたちに小さいうちから伝え、譲り渡していくべきだると考えています。
人間本来無一物、数々の思い出に織りなされた心の鏡こそ、何物にもかえがたい宝物であることが最も幸せであることに気づきたいです。

第10章 「子ども」とは何か

元ソニー会長の井深大さんが、ある実験をしました。
3歳・4歳・5歳児を後ろ向きにしてそれぞれの子どもに、後ろから新聞紙を丸めたものを黙って振り下ろし、それを子どもたちがどの位よ蹴られたかという実験です。
結果は、
3歳児は100%よけ
4歳児は88%よけ
5歳児は68%
という結果です。
人と言えども4000種類を超える哺乳動物の一員に過ぎません。野外生活をしている人以外の哺乳動物が、他の動物に後ろから襲われたときに、よけられなければ生命を失ってしまうことになるのです。
ちなみに成人の場合、3%の人が世蹴れるそうです。

【子どもは親の後姿を見て育つ】
子どもに言ってほしくない言葉
・しなさい
・早くしなさい
です。
子どもは親の言う通りには決してなりません。
親のするとおりになるのです。
子どもに何かをしてほしかったら、親がそれを根気よくし続け、それを黙って子どもに見せ続ければいいのです。

習い事も結果に執着しすぐることは、問題がおこりやすいです。
子どもが頑張って競うことはいいことです。
でも、
・結果に一喜一憂しないこと
・他の子どもと比較をしないこと
・争わない
です。そして継続は力なり。続けつことの大切さを伝えましょう。

【育児は生まれる20年前から】
「親は子どもの親である。子どもは親の子どもではない。」
ネイティブアメル間の人々は、7代先の子孫のことを考えて育児にあたっています。今こそ、知識ではなく親譲りの智慧によって次の世代を育てていただきたい。

第11章 「愛」とは何か

すべての人と接するうえで言えることは、特に親として子どもに対しての無私の気持ちを持ち続けなければならないということ。子どもに何らかの報いを求める心が生ずると、愛の架け橋は揺らぎ、二次もその美しい姿を消してしまうでしょう。
逆に無私の心を持ち続けて子どもに接していれば、子どももそれを察知し夕景であれ無形であれ、必ず親の似合いの喜びをもたらしてくれると確信しています。
次に大切なことは、常に子供と同じ眼の高さで接すること。
親子間の問題は親の方が自らを振り返って、それぞれの子どもたちと同じ年齢の時には自分がどうしていたいかを謙虚に振り返ったうえで、子どもたちに対応していただきたい。

【胎児期から乳児期はもっとも大切】
子どもにとって胎児期から乳児期は記憶がありません。しかし、それらは潜在意識の中に得がたい体験として刻み込まれています。

四つの愛の形
・狭く小さい愛
  自分だけは、わが子だけはという利己的な愛
・教える愛
  真に人を生かし、生命を全うする愛
・許す愛
  知性や努力だけでは制御できなくなった時それを超えた許す愛
・大いなる愛
  その人がいるだけで充分という大いなる愛

第12章 「死」とは何か

生命に関する考え方は大きく二つ。
・生命は死によって絶たれ自然に変えることで終える
・生命はつながっており死によって形は失われても生命が絶えることはない

生命が見えるものと見えないものでつながっていることを考慮した場合、生命には「生老病生」というものはなく「生老病生」であると考えています。
生は見えるものの誕生、静は見えないものの誕生。
宮沢賢治は
「生命は一つの見えるものと明ないものの多重構造によって構成されている」と表現しています。
相田みつをさんは
「生まれたときはまるはだか、死ぬときはそれさえ捨ててゆく」
そして北山耕平さんの言葉
「正しいことをしていれば、金は必ず入ってくる。正しいことをしていれば、それはすべて失われる」

最後に、「千の風になって」という歌をご存じでしょうか?あれは生者から生者へのメッセージではないのでしょうか?

わたしのお墓の前で泣かないでください
そこに私はいません
眠ってなんかいません
千の風に 千の風になって
あの大きな空を吹きわたっています
秋には光になって 畑に降り注ぐ
冬はダイヤのようにきらめく雪になる
朝は鳥になってあなたを目覚めさせる
夜は星になってあなたを見守る
わたしのお墓の前で泣かないでください
そこに私はいません
死んでなんかいません
千の風になって 千の風になって
あの大きな空を吹きわたっています

「子どもたちの贈る12章」 真弓定夫著より
  ※抜粋ようこうです



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