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息子先生のおすすめマンガ
「海が走るエンドロール」
息子先生が今は亡き彼の祖母に、無理矢理、読めと押し付けていたマンガがある。結局は、1ページも読まずに亡くなった。
結果、私がそのマンガを読まされるハメになるのだった。
夫を亡くした65過ぎの女性が、美大に入学して映画をつくる話なのだ。
それを86歳の祖母にすすめるとは…なんとも驚いた。
私の方が年齢が近いから現実味がある。私に薦めるのならわかるのだが(今さら通わないが)…86歳なのだよと言いたい。
祖母に美大に行けと言ってるわけではない。
息子先生が言いたいのは、いくつになっても知らない世界に飛び込む勇気が人生を変えるということが言いたいのだ。
彼の祖母(私の母)は、長いこと夫と子供と孫の世話を喜んで引き受けていた。
自分のやりたいことは、後回しにして、義務と責任をこよなく愛していた。
口癖は、「人様に迷惑をかけない」
「普通に生きていってほしい」
ということだけだった。
そのくせ、イチローや藤井聡太君や石川遼を息子にもった母親を羨ましがっていた。
「どうしたら、あんな素敵な息子に育つのだろうか。」と、
そして、そんな母親ではない自分を卑下していた。
十分立派な母親だったと思う。
ただ、子供の出来が悪かっただけなのだ。
それでも、育て方が間違っていたと自分を責め続けていた。病弱な息子を思って過保護に育てたことは、確かに間違っていたのかもしれない。
それでも、その時に出来ることを一生懸命していた母を私は、間違っていたとは思わない。
孫(息子先生)の姿をみて思うことが沢山あったようだ。
こうやって、無我夢中で育てた子供の育て方を反省しながら、そして孫の世話をしながら人生を終えていった。
残されたマンガは、私に押しつけられたのは言うまでもなく、イヤイヤ読んだマンガは、以外にも面白くてハマってしまったのだ。
そして4巻を読んだ息子先生が、私に言う。
「可愛いおばあちゃんになりたくて、なろうとしているだろうけど、可愛くなりきれない人だよね。どうしても個が立ちすぎる。」
「この本で、周りから優しくされるお婆ちゃんが、どんなお婆ちゃんか知るといいよ。」
?????
何?どういうこと?
私の人生、まだまだ先は長そうだ。
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