ＤＯＭＯＴＯ箱推し民が語る概念ドロボウ　４

新たな事件はクリニックから

　事件の謎解きは、警察から依頼されるだけではなかった。時には、心理カウンセラーからの依頼も舞い込むようだ。カウンセリングした側には守秘義務がある筈だが、そこら辺のことはどうなのだろうか？　アーニャが心を読んで「らすぼす」の宇宙人疑惑をが心を読めるかも知れないことを知るのとは訳が違う。ロイドは、口に出して他者に患者の悩みを教えてはいないのだから。

　ウロと心理カウンセラーはティータイムをかましつつ、クリニックで「カウンセリングを受けた内の一人」が設置していた防犯カメラの録画をチェック。しかし、幽霊扱いされた怪しい人物は、悉く「タイミング良く現れた何か」で隠されてしまう。そんなこんなで、国家権力による情報も追加される。線路に置かれた石が何かしらの被害を出すことは、そこまで有り得ないことでもない。だが、感電からの溺死は流石にレアだろう。

　そして、運の話題から思い出される子供の頃の夏祭り。存在する筈の無い記憶に対する疑問と恐怖。なお、烏賊焼きとなんか伸びる紙製のおもちゃは、ジャンケットバンクでも夏祭りのアイテムとして登場する。そして、反省も出来る全能の神を乗せた御神輿ワッショイ。

　運ドロボウが登場した概念ドロボウ二巻の巻末には、キャラプロフィールが載せられている。小学校の卒業前等に女子が集めた（年を取ってから振り返ると）一種の黒歴史とも言えるプロフィール帳。新米刑事の誕生日が、初代金田一少年と同じで何か笑う。アカン、氷室警視のようなキャラに対する、誕生日は初代金田一少年な新米刑事。何かオモロイ。

三巻に入りますよ

　最終巻となる三巻で運ドロボウは逮捕されるのだが、その前にそれまで逮捕されたドロボウ達が「どんな経緯でドロボウになったのか」を語るパートがある。存在感は、雪山の遭難で捜索隊に見つかりたかったから。理想は、生きる為の希望として。自信は、職場のパワハラからもがいた結果。

　どれもこれも、ドロボウにならなかったら死んでいた可能性が高い。雪山で発見されなければ凍死。既に首を吊ろうとしていた人物。メンタルを病んで自死を選ぶ手前だった人物。死にかけていた時に目覚めた能力自体が救いにもなっていた辺りが、何とも皮肉が効いていると言う（表現で合っている？）のかなんなのか。

　では、運を盗んでいる犯人にも、能力の開花に関わる死が関わっているのか？　ドロボウになるきっかけとしては関わっているし、それを利用してウロは犯人をおびき出した。だが、相手は幸運に守られている上に、ウロは運を盗まれてしまう。

　その後、「運がどうとかと言うレベルでは無いだろう」と言いたくなる椅子の劣化で死にかけ、流石に危機感を抱いたウロ。既に「引き籠もってもアウトだった被害者」が居たこともあって強硬手段に出た。

　運の悪さによって引き起こされるあれこれを回避しながら、廃墟となったボーリング施設で犯人と対峙するウロ。その後の展開は結構な力技だった。だが、犯人の戦意を削ぐには効果覿面で、事件は解決。

　しかし、運と言うものは厄介だ。令和七年の一月には、受験生が飲酒運転のクズによって轢かれ（即死は免れたものの）亡くなった。年齢からして、現役では無い可能性が高く、その分これまで苦しい思いをしてきたことだろう。その苦労や努力が、飲酒運転のクズによって未来毎消えた。飲酒運転のクズのせいで、十九歳の命は奪われた。道路交通法を破って切符を切られたゴミが横暴な運転を反省するどころか「運が悪かった」と吐き捨てることがある。実際、小六の時の担任は生徒に向けて愚痴った。頭のおかしいゴミでも、運が良ければ小学校で働けるとも言える。倫理観に乏しいゴミが道徳の授業もやっていたと考えると、学校教育とは阿呆らしく思える。

　何故、一時停止を守るか？　それは、その道路よりも広い側の道路を直進する全てとぶつからない為。だが、多くのドライバーは、「自分の車に他の車がぶつかりさえしなければ良い」と言わんばかりに停止線を無視して歩行者の進路を妨げる。本来ならば、免許を所持する側が気を付けなければならないことを老若男女関係なく歩行者に押し付ける。轢かれたくなければ注意しろと言わんばかりのクズドライバー達。それらを、ろくに取り締まらない神奈川県警。受験生が飲酒運転のゴミカスの被害に遭ったことで、より一層、交通事故は運の良し悪しが残酷なことを物語った。取り締まりが緩いせいで野放しになっている（道路交通法違反の）犯罪者。そいつらの被害に遭った人の全ての運。対して、ながらスマホをして周囲を見ないくせに全く痛い目に遭わない奴の幸運。なんとも不公平な世界だろうか？

　そして、運ドロボウの事件解決後、ウロの足の治療から新たな謎が投げられ、最後の事件の幕開けとなるのだった。