毒親育ち視点で見るジャンケットバンク 戦いの合間編
ドコドコ ドコドコ ドンッ!
村雨が思いやりに目覚めたので、それを記念して「第一回思いやりクイズ」が開催された。開催にあたって、画伯真経津による「レイジ」「ユミヒコ」の肖像画(?)も貼られている。それはまるで、5月や6月辺りにスーパーの壁に貼られがちな◯の日に向けたお絵描きのようだった。
思いやりクイズは、獅子神による「だからなんでオレんちでやるんだよ!」とのツッコミ通り、獅子神邸で開催された。舞台セットは誰が組み立てたのか、それは謎に包まれている。セットを組む作業まで手伝った上で、あのツッコミを入れていたら、獅子神自体にもツッコミが入る。
何処かで見たことのある「アメリカを感じる帽子」を被らされた村雨と、効果音担当の天堂。そして、楽しそうに出題される思いやりクイズ。
バレンタインデーのお返しに、意中の相手に渡すのは「1500円のクッキー」か「100本の薔薇」か。村雨は、先ず「送られた側が、どれ位の期間薔薇を観賞出来るか」を慮り「薔薇の生花はどの位もつのか」を出題者に聞いた。獅子神のツッコミは物理的に封じられ、村雨は医者の視点で「アレルギーの有無」をも問う。小麦粉や卵アレルギーのある相手に、それらの材料が含まれた食品を渡すのは「思いやりに欠ける行為」だし、花粉アレルギーのある相手に花束を渡すのは「思いやりに欠ける行為」と言うことだ。
おそらく、村雨からすれば「マヌケめ、一体どれだけの子供がアレルギー対応を誤ったことで命を落としてきたと思う」と言うことだろう。 実に、経験を積んできた医者の「思いやり」に満ちた判断力である。
これは、どれ位論点がズレていくかを楽しむクイズであって、村雨が正解するか否かは重要ではない。村雨が薔薇を呪物扱いしようと、論点がズレていった方が面白い。どんなことでも楽しんでいくスタイル。それが「他のギャンブラー達には有って、獅子神に欠けている何か」である説が浮上した。
贈り物として、消え物を選ぶこと自体は間違いではない。むしろ、消え物だからこそ気軽に送り合える。時期により催事売り場に並んでいる品からして、お中元やお歳暮の主力は、普段は高くて買えない食材か、洗剤等の日用品だろう。感謝を伝えるには、「もし、相手の好みで無かったものでも、消費していけば何時かは消える物」が良い。結婚式の引き出物に、「新婚二人がプリントされた食器」などは、持ち帰るのが重い上に捨てにくい呪物。プレゼントに消え物を選ぶ、それもまた「思いやり」である。
100本の薔薇など、魔術列車の消失トリックに使うレベルだ。抱えて持ち帰るのも難儀する。仮に、ホワイトデーに合わせて宅配を頼んだとしても、相手の家に「100本もの薔薇を飾ることの出来る花瓶等やスペース」が必要となる。加えて、生花はきちんと手入れをしなければ虫がわくし、花瓶の水を適時取り替えなければ異臭を放つ。枯れたら枯れたで、ドライフラワー等に加工する余裕や技巧が無ければ、その地域に合わせた処理方法に従って呪物の成れの果てを処分しなければならない。その上、地域によってゴミ袋の値段は変動する。送られた相手に掛かる負担は、如何ばかりか。
100本もの薔薇を愛でる、その行為が出来るのは存在しない令嬢か、はたまた金銭的にも精神的にも余裕のある淑女か。
何にせよ、様々な思いやりを鑑みて出された村雨の結論は、叶からすれば気持ち悪く、真経津からすればウミガメのスープのようだった。
村雨の育ちの良さと、叶と獅子神との育ちの差を匂わせる描写を挟みながら、最終的な解答はなされた。そして始まる村雨と天堂の口頭バトル。天堂は薔薇のなんなのだ。しかし、どちらも贈り物をしたことがないと言う。情熱の赤い薔薇そしてジェラシー。
そんな中、真経津はケーキを要求し、獅子神から「クソガキ」扱いを受ける。そして、返した言葉は悪いが、真経津の為にケーキを切り始める獅子神。最初にケーキを2等分し、自分とダチの違いを比べて悩み出す。最終的に、ケーキは細かく切り分けられ、それを真経津に指摘された。乗せられたイチゴの数よりも多いピースにしたら細かいし、なんならそれが出来るのは器用だ。
ケーキを細かくカットしてしまう程に悩み苦しむ獅子神に対して、真経津はイチゴの乗ったピースを摘まみ上げて「そのままで強くなりなよ」と返す。獅子神は呆気にとられた様子だったが、それは後々何かに役立つアドバイスになるだろう。
幸運にも備えろ
ピーキー・ピッグ・パレス戦に勝利した宇佐美班は、またしてもパーティーを開いていた。権利を買えば勤務時間中に職場でパーティーも出来るホワイトなカラス銀行。そして、真経津の勝利を見据えてガンギマリしている御手洗。
御手洗はガンギマリしながら次の戦いに備えていたが、宇佐美主任から「敵から見える場所に重要な情報を置いておくことはない」と諭され、一先ず憑きものが落ちた。しかし、酸いも甘いもかみ分けていそうな渋谷の様子からは、不穏さが漂っていた。
片伯辺主任と白金主任
ギャンブラー達が思いやりクイズで楽しんでいた頃、白金主任は苛立っていた。ワンヘッド戦のシヴァリング・ファイアでは人死にが出たものの、ピーキー・ピッグ・パレスでは神による恩赦が発動して全員生存。しかし、それだけで白金主任は苛立っているのだろうか?
さては、ライフ・イズ・オークショニア戦でも誰も亡くなっていないな? 山吹が服に引っ掛けていた時雨の眼鏡は、獅子神と村雨を揺さぶる為のアイテムだったな? だからこそ山吹は「オメーだけは常識を無くすなよ」と獅子神にツッコミを入れてしまったし、山吹の揺さぶり目的を読んだ村雨はそれも含めて「啖呵を切った後に」と獅子神に言ったのか?
白金主任の苛立ちに対して、次のゲームでは「全員が笑顔になる」と告げる片伯辺主任。それは、どんなゲームなのか、結末はどうなるのか? ただ1つ分かるのは、2戦目には、宇佐美班からは獅子神が出場すると言うこと。そして、対戦前に揺らぐ獅子神は、お世辞にも強者とは言えないことだった。
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