0秒のストーリー | デザインの科学③
ちょっとカッコつけた言い方をすると、
広告は0秒で伝えるショートフィルムなのだ。
と言っても、今日では簡単な動画編集なら、誰でもつくれるぐらい一般的にになったし。
SNSを見ていても、信号待ちしていても、タクシーに乗っていても、動画の広告ぐらいは珍しくないでしょうから、フィルムと言えばフィルムなのだろう、と思うかもしれません。
僕が今回話したいのは、平面媒体と呼ばれるポスターとか新聞広告などの、動かない広告のこと。
なので0秒ってことです。
じゃあフィルムじゃないじゃん!って、
まぁ確かにそう、じっと見つめていても動かないし、屏風の虎であることは間違いないんですけどね。
でも、つくる時の考え方は、同じだと思うんです。
なぜなら、平面であろうとキャラクターと台本が存在しているからです。
つまり、グラフィックとキャッチコピーがある訳なので、この2つの要素こそが、それなのである!と言いたいのですが、
納得が行かない人は、少し置き換えてみて欲しい。
まず、グラフィック要素など、表層の部分を考えるときには、多くの人は無意識にキャラクターの設定を行なっているんですね。
そのキャラクターは、どんなテンションで、どんな性格で、どんな気持ちでいるのか?
非言語的な感情に、演出を加えてグラフィックをおこしているんです。
一方で、キャッチコピーなどの文字要素は、シナリオをリードするための台本です。
ビジョナリーなことを語る時、事実をそのまま伝える時など。
その内容にあわせて、ドラマをつくるのか、リアリティショーをつくるのかが、大きく変わってしまいます。
キャラクターと台本。
2つの要素が絶妙にマッチすることで、素晴らしいストーリーが生み出されます。
「そうだ、京都にいこう。」
と言って、慌てて新幹線に飛び込むシーンをビジュアルにしていたら、きっとあの名作のような広告は無かったでしょう。
しっぽりとした京都の風景をシンプルに使うことで、心の故郷かのような感情が生まれます。
もう、バランスが絶妙すぎるでしょ。いつかそんな広告がつくれることにメチャクチャ憧れていました。
今では、別の目的ができたので、広告づくりはしていませんが。
では、現在の仕事ではキャラクターも台本も無い仕事をしているのでしょうか?
そんなことはありません。バナーづくりでもLPをつくっていても、もちろんキャラクターと台本が存在します。
「ペイペイ、100億円キャンペーン」
ド派手な台本には、ド派手なキャラクターの演出が必要になります。
これは極端な例ですが、お祭りみたいなキャンペーンバナーにもキャラクターと台本が存在しています。
最近は、年末の仕込みに追われ、バナーづくりばかりの今日この頃かもしれません。
キャラクターと台本を思い浮かべてみてください。少し楽しく思えませんか?
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