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CUERaider Vol.36 「レコボリリック」キュレーションレポート

先日はCUERaider「レコボリリック」回見ていただいてありがとうございました!

キュレーターを務めさせていただいたINOMUSICAです!
有意義な経験になったのでキュレーターやった感想を含めてレポートを書かせていただきます。


◆開催のきっかけ

過去にCUERaiderを見たときになにか企画を持ち込んでみたい!と思ってしたツイートが拾われ、キュレーターやってみませんか?とお声がけいただきました。

個人としてもNo_Mark主催の「それでも配信がしたい!」や主催の「OTAKU_DOORS」で配信をしていましたが、ゲスト的に他のイベントに出たかった!というのもあり、配信ならではの組み合わせでイベントしてみたかったのもあり。

テーマについてはのちほど詳しくお話するのですが、私がテーマとして持っていったり、私のDJからなにか視聴者に持って帰ってもらうならレコボリリックがいいかな・・・と。(結構先駆的に導入してたりブログ書いてたりするので)

何よりもレコボリリックって文化的な側面や技術制約等もあり現場運用が難しい技術でもあるので、VJ同士でお話しててもなかなかに導入が難しい・・・というのが本音でまず見てもらうことが必要だったり、積極的に使いたいのであればDJ側にも理解が必要になることがある技術なので今回の企画に至りました。

◆テーマ

レコボリリック、正式な名称だとRekordboxLyricといいます。

今主流のDJソフトの一であるRekordboxに月額課金すると利用できます。
(CreativePlan以上のプラン)

歌詞を可視化…(←)しながらDJできるのが特徴で、DJのプレイに合わせて数種類のキネティックタイポグラフィ的なものが生成されます。

モーションのパターンは約16くらいあり、ランダムでいろいろ生成されます。(指定も可)

やっぱりアニソン・JPOP・VOCALOID等の歌モノDJにおいてボーカルや歌詞というのはとても重要なものです。

ただ、結構歌詞をしっかり読む機会ってなかなかなくて、最近はMVにキネティックタイポグラフィを導入したり字幕があるパターンも増えましたがカラオケ等の文化もコロナ禍で減ってきたり、そこで扱われる曲も限られることもあってかやっぱり普段親しんでる曲でも歌詞を読んで曲を味わうってことはあまりしてるわけではなくなってきた、というのが正直なところです。

基準として二郎系ラーメンの画像に歌詞ツイートが添付されてることがありますがそこに書いてある歌詞でさえググらないとなんの曲だかわからない、カラオケでいろんな曲の歌詞を知るくらいではあります。

なので歌詞にフォーカスした回をやりたい!楽曲をいつもと違う視点で味わえたら面白いかも・・・?と思い今回のテーマを組みました。

◆各DJさんをお呼びしたきっかけと感想

今回のレコボリリック回を行うにあたって、人選は実はテーマとともにある程度決まってまして、具体的には上記のキュレーターやってみたいツイートをした時点で私の中でタイムテーブル含めほぼ決定してました。

全体のスタンスとして
・ジャンルが分散していること
・レコボリリックの運用法や画面構成が4人とも異なること
・歌詞に対してそれぞれの付き合い方があること
・地域が離れてて配信ならではのDJの組み合わせが楽しめること

を意識してDJさん方にお声がけしました。

①DJ 和丸


DJ和丸さんは2020年からOTAKU_DOORSを一緒にやってきたDJさんで、トークとともにDJを展開していくスタイルの方です。配信ならではの雰囲気の作り方がとても上手なので、それも含めていろんな方にみていただきたいと思い今回参加していただきました。

レコボリリックに関してはとりあえずは通常通り使用するとこんな感じ!というショーケースでもあります。(Love Phantomの前奏での技術解説もありがとうございました!)

カメラやVJと重ねる使い方もアリですが、リリックオンリーだとやっぱり歌詞がスッと入ってくるので、まずはこんな感じで歌詞が出るよ!という面白さを伝えられたかと思います。

ジャンルとしては女子向け、舞台モノ/JPOPあたりを期待してお呼びしました。JPOPでレコボリリックを使ったときのカラオケ感、そして女子向け楽曲の歌詞の文字としてのかっこよさ、また、歌詞に関するエピソードなどを語っていただけたらと思ったのがきっかけです。

とてもいいOPで、歌詞を表示する意味や、文章としてのかっこよさというものを伝えていただけたと思います!ありがとうございました!

②STANGUN

文字としての歌詞がとても重要視された文化にVOCALOIDがあるよな、というのが自分の中でありまして、レコボリリック×ボカロの枠としてお呼びしました。

あとCUERAIDERでもボカロ枠はあんまりなかったので、普段ボカロを聴かない層へのアプローチとして過去にボカクラ主催の経験もあるSTANGUNさんをお呼びしました。(VJ交流Discordでレコボリリックの話題をしたこともありVR等での使用もされてることだったので)

技術的にはカメラ×VJソフトでテクスチャを貼るスタイルだったのですが、最後のトークでテクスチャはランダムだというのにも驚きました。テクスチャ含めて見る側で意味を見出そうとする、というのはとてもいい発見になりました。

あとやっぱりボカロだと当て字の文化とか難しい語彙とか漢字とひらがなの使い分けとか独特な言語体系があると個人的に思っていて、文字としての表示にとても意義があるジャンルだと思っておりこの技術とジャンルの組み合わせは光るのでは?と思った次第です。

個人的にすごく言葉をひとつの基準とした選曲のセンスやボカロ内でのジャンルの広さもよくてとてもレコボリリック映えするDJプレイをされてたと思います!

今後レコボリリック×ボカロとかの人口が増えればこの組み合わせをピックアップしたDJショーケースやイベントがあっても面白いかもしれません。

DJ中の動きも含め、ボカクラやVOCALOIDの世界観を広く伝えていただけたと思います。ありがとうございました!

③ossa


主催陣との交流も兼ねて今回主催チームのossaさんにも声かけました。
以前CUERAIDERやあにそん幻想曲などでDJをお見かけして、カメラワークや照明、画面構成などに工夫が散りばめられていていいなぁ・・・!と思ったのがあります。

前半はチルなJPOP/声優楽曲でお部屋の雰囲気にあった選曲!でとてもムーディーなプレイをしていただきました。

技術としてはレコボリリックをVJソフトに送りカメラスイッチングを行うスタイルです。
特にアニクラ界隈ではこの使い方をすることは少ないのですが、複数カメラのスイッチングに関してもVJソフトが役に立ちます。

後半は賑やかなアニソン中心に盛り上げてくださいました!
照明を明るくしてTシャツ見せる演出も含めとても全体として完成度の高いDJを披露していただきました。

「家なんで好きにしていいんですよ」は至言です。
配信イベントのスタイル/選曲ともに自由さを伝えていただけたと思います。

また、ポエトリーリーディングRemixなども含め手広く選曲していただき、1時間があっという間でした!

ありがとうございました!

④ INOMUSICA


わたしです。トリなのでとりあえずは歌詞がいいバラードの流れに持っていきたいというのがなんとなくありました。

一応わたし自身は出演としてVJが多いのもありVJ素材としてレコボリリックを使うとこんな感じ!というのをお伝えできてればと思います

曲として何を流すか・・・と思って思いついたのが意外な曲で歌詞が取得できるよ!とのことです。

企業CMソングとかピカチュウのうたとかを使って前半は意外性という視点で攻めました。

後半はあんまりアニクラでも使うのが難しいバラード系アニソンとかを使ってエモく締めたつもりです。失恋ソング/恋愛ソングが多いもののそもそもが失恋ソングは和歌の時代から存在するものでして・・・

歌詞が切ない曲とかに持っていって、その後生きる希望が湧いてくる感じの哲学っぽい曲を並べてしみじみと締めました。

一応VJした技術的な方法は下の記事に書いてあります。

RekordBoxLyric×VJということでVJにもこだわりをもってやったつもりなのでそれも含めて伝わっていれば幸いです。

◆技術概要

詳しくはわたしのブログを見ていただくとわかるかもなんですが、現状Rekordbox Lyricを使用する方法は大きく分けて2パターンあります。

①直接投影
今回和丸さんがやっていた方法でRekordboxをそのまま投影する方法です。
簡便でDJプレイを阻害することなく運用できます。
ジャケットの色を反映するのでシングル中心に収集してるDJさんでジャケット当ててる方であれば普段どおりプレイすれば歌詞を投影できます。
一応Creative PlanであればMVなども同時に扱うことができる(RekordboxVideo)のですが、映像の自由度は低いです。DVJ(DJしながらVJ)ではこの運用になると思います。
現場運用する際には、VJミキサーでVJさんの画面を混ぜるのがいいかな?と思います。DJ側が持ち込むショーケースとしてレコボリリックを使いたいならこの方法が簡便です。
ちなみに高画質にすると負荷もあがるのが難点です。

②Spout/Syphon

後ろ3人がやっていた方法で、RekordboxLyricは自身に映像を送るときにSpout/Syphonというものを吐きます。これはソフト同士で映像を共有できる規格で、VJだと2ソフトのいいとこどりをするためなどに使われます。

ようはこのSpout/SyphonはVJソフトで取り込むことができるので、VJ素材としてリリックを利用することができます

もっと具体的にいうと・・・配信に使っているOBS Studioとか、VJソフト(Resolume/VDMX/GrandVJ)に直接飛ばす運用が可能です。

VJソフトに飛ばすと何がいいかというと、Lyricの入りきりの制御や色付け、テクスチャの張り込み、などができます。今回STANGUNさんやわたしがやっていたように画像をテクスチャとして利用できたり、ossaさんがやっていたようにカメラと一緒に制御することができます。

また、①の方法より解像度が高いLyricを飛ばすことができ、低負荷での運用が可能です。

難点としてLyricは白文字で飛んでくるのとDeck1/2の切り替えでなんらかの操作をしなくてはならないので手間はかかります。

また、視聴層のなかにも今回みんなとんでもないPC使ってるのでは・・・?という声もありましたが、わたしのPCでこんくらいです

VJPCとしてVirtualDJでVJする最低ラインくらいに近いくらいのスペックです(買った当時は80000くらい。でメモリ16GBに換装してます)

さすがにVirtualDJ+RekordboxLyric+Resolumeを使うと重くなりますが、画質設定とResolumeの組み方次第ではいけるにはいけます。

ほかのお二方のPCスペックはわかりませんが、目安としてVJに使えるくらいのスペックであれば十分運用は可能と考えています。

(2022/06/18)
なんと全員がシステムを図解してくれました!のでこちらに図解を載せます。

和丸

STANGUN

ossa

INOMUSICA

補足:1PCで完結です。Spout/NDIでResolume吐くと重いので、画面を繋いで出力しそれを拾っています。

◆CUERaiderさんについて


配信サポートや告知体制が非常に行き届いており、現場が始まりつつある2022年現在でも配信に対する意欲を感じるとてもいいプロジェクトでした!

広いジャンルやコンセプトについて運営陣がサポートしながらも楽しんだり音楽・配信技術に関する知見を広めようとしていて、とても良いコミュニティだなと思った次第です。

特に今までの企画を見てると、ジャンルレスであり主催陣も広く曲を扱ったりオーガナイザーをしているというのもあり、「はじめてクラブに来る人やジャンル外のファンにどうやってアプローチするか?」というのがとても考えられている企画だと思います。特にこの前のオーガナイザー座談会はトークという形式で行われ、雑誌のような役割を果たしており「楽しくも知見が広まる」企画が毎週行われているのがとても素晴らしい点だと思います。

今回はレコボリリックで持っていきましたが、今後もやってみたいテーマがあれば持っていったり、配信を見させていただいたり、なにか企画を持ち込みたい人がいたら勧めてみようかと思います。

◆これからの配信イベント

現場が復活してきたりするとどうしても配信イベントは後ろ手に回ってくる、というのは最近感じていることです。

どうしてもDJ自体が「現場で盛り上がろう!!」ってことが主なシーンとして語られることもあるのですが、やはり「交流する場」「音楽・DJを知る場」「布教する場」としてのDJというのはとても重要だと思っています。

特に地方にいると思うのですが、例えば仕事の都合で転勤したとして、「果たして現地のイベントに行って楽しいのか?」という不安は誰しもあります。また、他ジャンルで客層が変わってる場合や初めて現場にくるお客さんとかについてもそうで、「界隈の楽曲やDJを広く知る」というのは必要になってきます。実際現場に行くにあたって具体的に知っているDJがいないとしても、どの地域やジャンルでも面白い人がいるんだな・・・というのを知ってもらえたら、それはクラブに入りやすくなると思うのです。

そのきっかけとして、やっぱり配信イベントはとても有用な手段の一だと思います。実際コロナ禍から情勢や雰囲気が回復してきたものの、家族や仕事の関係で現場にいけない!まだまだクラブに足を踏み入れるのは怖い!という人はいます。そういう人たちにも音楽の魅力を伝えていければ、と思います。

また、配信イベントはossaさんがプレイ中に仰っていた通り自宅からの配信は自由度が高いです。自分の推しの曲でDJしたり、ちょっとマニアックな選曲をしてみたり、他のジャンルや地域のDJさんを呼んでみたり、新しい技術を導入してみたり、などまだまだ試せることがあります。

なので、現地が復活してきた中だからこそ交流面・Digの面で継続していくことに意義がある文化だと思っています。

現場・配信イベント双方に関わりのあるDJ/VJ、また、地方DJ界隈の者として、独自の視点ではありますが両方盛り上げていきたい次第です。

◆最後に

キュレーターをしてみて、いろんな発見のある回になりました!わたしとしても胸を張って「やってよかった」といえる配信になりました。

出演を快諾してくださったDJさんがた、運営の皆様方、そして見てくださった視聴者の方々、ありがとうございました!!

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