マーダーミステリー制作で心がけていること② 殺人事件によって動き出す物語にする

ひとくちにマーダーミステリーといっても、作り手によってその作風は本当に様々です。

どれくらい様々なのかと言いますと、マーダーミステリーと言いつつ殺人事件に比重が置かれていなかったり、そもそも殺人事件が起きなかったり(その場合はそのように、注意書きが書かれていることが多いですね)するものが結構な頻度で見受けられます。(もしかすると、むしろ大多数がそういう傾向にある、と言っていいのかもしれません)

僕のマーダーミステリー制作に置いて、特ににその物語を作る上でとても好きな概念があります。

手塚治虫の「長編漫画の構成」という樹が描かれている図がありまして、これは長編漫画に限らずあらゆる作品に当てはまる素晴らしいものだと思っています。
これには中央の幹について「大きな一本のテーマが太く堂々とはじめからさいごまでつらぬいている」と書かれています。

この「大きな一本のテーマ」をどうするか。マーダーミステリーと言うからにはやはり、殺人事件とするのが一番納得感があるのではないか、王道なのではないか、と僕は思うわけで、これを制作する上での僕の流派としています。

枝が幹から均等に美しく生えている、というのもとても大事なポイントでして、マーダーミステリーにはサブストーリーがつきものです。できることならば、それも本筋の殺人事件と上手いこと関係している(幹から枝が生えている)というのが望ましいのかなと思います。

あとは各キャラクターの設定。
マーダーミステリーの個人目標には、しばしば「殺人事件は起きたけれど、それはそれとしてこれをやりたい」といった個人目標が各キャラクターについていることがあります。これについても、できれば本筋の殺人事件と何かしらの関係があるのが良いと思います。

例を挙げると「恋愛を成就させる」ってはしばしばあると思うんですけど、タイムリミットがあるなど、事件によってすぐに達成せざるを得ない状況を設定してあげたりすると、話としても美しくモチベーションも持たせてあげられるのかなと思います。

その結果、全体の物語が、キャラクターたちの目標や行動が、発生した殺人事件をトリガーにして起こったもの、という形になること目指しています。

殺人事件にこだわる理由としてはいくつかあるのですが、僕は割と「名前が示していること」を大事にしたいと考えています。マーダーミステリーというからにはマーダーでミステリーしましょうよ、というのは自然といえば自然ですし、美しさのようなものを感じているからです。ラーメン屋に入ったら食べたいのは、やっぱりラーメンではないかと。

それと、(もちろんフィクションにおける)殺人事件というのは題材としてはキャッチーでして、そこから派生する物語にあらゆる可能性を感じているため、というのもあります。要は非日常を感じてもらうための要素としてとても分かりやすい、ということですね。

このあたりは恐らくいろんな考えの方がいて、得手不得手あるでしょうから、それに合わせた自分のスタイルを持つことが、各制作者の個性となると言えます。

いろんな流派の方がいてこそ、創作界隈というのは発展するものと思っています。僕はラーメンの美味いラーメン屋を目指していきたいと思いますが、餃子や、デザートのマンゴープリンが売りのラーメン屋があったってよいですし、ラーメンっぽい別の料理屋を開店してもいいわけです。僕の作風とは異なる作品に刺激を受けつつも、自分の軸のようなものは大事にしていきたいと思っています。

今回は以上です。

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