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せっかちで心配性、飛行機に乗る

どうも自分はせっかちらしい、と気づいたのは最近のことだ。

締切を前倒して仕事を終わらせようとするし、電子レンジも残り3秒で止めてしまったりする。日曜日、みんなが「サザエさんを見ると週末が終わるって感じするよね〜」というなか、僕は『噂の東京マガジン』を見ながら「もう日曜も終わりか〜」と言っていた。あと10時間あるのに。

しかも心配性である。待合せがあるとハラハラして早めに着いてしまう。映画とか入場時間の前からポップコーンを持って立っている。旅行の計画とかまったく立てられない。目的の電車に乗るまで謎の30分とかできてしまう。

デイリーポータルZ関係者の集まりでなんとなくこの話をしたら異様に面白がられて「あれ?」となったのだった。僕、せっかちなんだ。アフタートークでもちょっと話しました↓

そんな感じなので、大変なのが飛行機に乗るとき。

新幹線と違って、飛行機は乗り過ごしたら取り返しがつかない。つくのかな。僕はつかないと思う。次に来たやつに乗るとかできないし、なんか「30分前には保安検査場に」って言われるし。怖い。早く行ったほうがいいんでしょ。

そんななか、ちょうど仕事で国内線に乗る機会ができたのだった。自分で飛行機のチケットを取って1人で現地に行かないといけない。やだこわい。

出発前日まで

わからない。

最後に飛行機に乗ったのはコロナ前5,6年ぶり。しかも自分でチケットを取るとなると、それはもう10年以上前に前職(SIer)でサーバートラブルを起こして顧客に呼び出され鹿児島県に飛んだとき以来かもしれない。

指定の便をJALのサイトで探して予約する。予約はできた。できたけど、どう乗るのだ。チケットとかチェックインとかだっけ、と思ったらQRコードをかざしてタッチ&ゴーだという。保安検査場に行くだけでいい。

なにそれ。それだけ?本当に?ちゃんと認識する?印刷もしたほうがいい? じりじりと出発の日が近づく。JALのアプリを何度も開いたり閉じたりする。

当日

予約した便は羽田空港を14:20に経つ。じゃぁちょっと早めに行ってランチを食べて乗る感じでいいのではないか。事前に乗り換えアプリで調べて家を出る時間を決めておく。

しかしすべての荷造りが終わり、することがない。無事に飛行機に乗れるのかと思うと気が気でない。なにも手につかない。遅れたら取り返しのつかないことになる、と思うと居ても立っても居られない。

もう家を出よう。そうしよう。空港に着いていればいいだろう。行けばわかると猪木も言っていた。

着いたよ

着いた。羽田空港第1ターミナル。しかし出発予定の便一覧を見ると、自分が乗る便がない。ない! ないじゃん……! あ、出発まで2時間以上あるからか……。

お昼を食べようと空港内をさまよう。案内マップを見る。上の階に登れば登るほど高い店。システム的にはスパルタンXと同じだ。5階のやつが強いのだろう。

「童心」という名のおもちゃ屋があって「いいな」と思った。

というわけで3階まで登ったのに地下1階に降りる。スパルタンXもここまで下に行くとは思うまい。カレーを食べる。

ビーフカレーを「うめぇ〜」ってら食べはじめてから写真撮ってないことに気づいたよ。

カレー屋の壁には、羽田空港開港当初と思われる白黒の写真パネルが飾ってあり歴史を感じる。こういうの飾ってると老舗に見えるけど本当に老舗なのかな(本当でした)(疑ってごめんね)

カレーを食べていたら、JALのアプリから通知が来た。

なにごとかと飛び上がった

「出発まで2時間を切りました」だそうだ。JALも僕と同じように2時間単位で気にしているではないか。感じるシンパシー。

もう羽田空港にいるから安心してほしい、と思うが、まだ実際に飛行機に乗れたわけではないので安心はできない。ごめんな。お父さんがんばるから。

カレー屋は回転が早く、店外に並ぶ人の目が怖いので早々に出る。再び3階に戻りスタバへ。

空港おじさんって言葉ありましたね

保安検査場を見下ろす位置に座る。なにかあったら分かるから。

スマホをいじりながら時間が過ぎる。保安検査場に人が吸い込まれていく。なんかみんなスムーズにいってるな。置いていかれるような気分になる。自分も行ったほうがいいだろうか。出発まで1時間以上あるけど……。

入りました。

心配していたタッチ&ゴーは拍子抜けするほどタッチ&ゴーであった。タッチしてゴーだった。へ〜簡単。JALが見たら「だから言ってんじゃん」とイラつくに違いない。

搭乗口まで歩く。そうだった。空港って目的地まで遠いんだよな。歩いても歩いても着かないんだった。だからたまに定刻ギリギリに走ってくる人がいるんだ。

途中、ラウンジの出口からビジネスマンが出てくるのを見かける。ああいうところで待つなら、1時間でも2時間でも前に来てもいいんだろうな。でも自分だったらいつ出発時刻になるか気になって、結局何も手につかなさそう。1時間前に出てきそう。

人影なし

搭乗口に着いた。乗務員の人影はないけど、周りの椅子には結構人がいる。いるな! 同じタイプの人が。ビジネスマンも旅行客も、高校生らしき制服の子たちもいる。平日の午後にみんな待ってる。

じゃぁこれくらい早く来るのは、そんなにおかしなことでもないんだな。たぶん。みんな乗り遅れたくないもんね。いいんだよ、早く来て。

そういえばJALのアプリから「出発1時間前です」って通知は来ない。もういいのかそれは。僕も知りたいよ。もう来てるけど。

曇りがちだった空は晴れ間がさして、滑走路を飛行機がシュッと通り過ぎる。ガラスのこちらには轟音は届かず、水族館のように無音。

やがて搭乗の手続きがはじまる。今さらになって自分の目的地はあっているのか気になる。むくむく出てくる不安を、トランクに入り切らない衣類を詰め込むように、両手でぎゅっと押しつぶして搭乗口をくぐる。座席に座る。ベルトを締める。機体が加速する。待てよ飛行機って鉄の塊なのにちゃんと飛ぶだろうか。

飛びました

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井上マサキ
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