『クイズ!THE違和感』「ノブ違和感」の“無駄”な面白さ
もう1週間以上前の話なんですけど、6月29日放送の『クイズ!THE違和感』(TBS)見ました?
千鳥ノブMCによる、クイズの皮をかぶった「大喜利バラエティ」な番組なんですが、この日に出題された「ノブ違和感」が面白くてくだらなくて。
CGでノブの顔にされた有名人を当てるクイズなんですよ。
単純に顔をはめるだけじゃなく、表情まで追従しているので、ホントに顔だけノブ。クイズなんだけど、それ以前に「ノブwww」と笑いが止まらない。
さらに、ダイアナ妃来日のニュース映像の中にノブが何人いるかを探すクイズもあった。警備員や群衆がノブの顔になってるのだ。正解は「7人」だったんだけど、パネラーの大悟は思っていたノブとカウントが違っていて、「ワシ、ノブじゃないやつをノブだと数えてる」ってなってた。
日常に潜むノブ。今そこにあるノブ。
で、このCGで顔をはめる技術、以前『内村のツボる動画大賞』(テレ東)でもやっていた「ディープフェイク」である。
ディープフェイクは「深層学習」と「偽物」を組み合わせた混成語で、人工知能にもとづく人物画像合成の技術を指す。「敵対的生成ネットワーク」と呼ばれる機械学習技術を使用して、既存の画像と映像を、元となる画像または映像に重ね合わせて、結合することで生成される。
ディープフェイク-Wikipedia
『ツボる動画』がYouTubeにアップした動画では、ハライチ澤部が赤ちゃんにされている。本放送ではウッチャンがボディービルダーにされたりしていた。
だが、なぜかノブのほうが面白い。ノブの顔は他の人の身体になんかしっくりハマるのだ。人の顔のベースラインに近い顔なんじゃないだろうか。基本顔。機械学習もしやすそう。
最新技術の無駄づかいが、ディープフェイク×ノブというケミストリーを生んだ。こんな未来を誰が予想しただろう。
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「ノブ違和感」には、ノブの顔自体の面白さもさることながら、ディープフェイクをこんな大喜利バラエティに使うなんて、という面白さもあった。無駄づかいである。
人は「無駄」に面白さを感じるところがある。
思えば、「昔のテレビは面白かったよね」という回顧のなかには、「今ではコンプライアンス上できないけど」という声と同時に、「今ではあんな無駄なことできないけど」という思いも含まれていると思う。
無駄にお金がかかったセット、無駄に豪華なキャスティング、無駄に派手な爆破。
クイズをやりながらアメリカを横断したり、探検隊を結成してジャングルの奥地に赴いたり、それはそれはもう「無駄にすごい」のオンパレードだったと言っていい。海外から超能力者を呼んでスプーンを曲げるとか。
あれから時が経ち、お金や人をかけることができなくなった。効率と採算を求めるようになった。
だからと言って、あぁ「無駄」がなくなってしまった……というわけでもない。違う形で「無駄」は生きている。
『ロンドンハーツ』や『水曜日のダウンタウン』に見られる執拗なまでのドッキリも、『マツコの知らない世界』や『タモリ倶楽部』に出てくるマニアックな趣味もそうだろう。そこまでするのかよ、という「無駄にすごい」がそこにある。
そして、その「無駄にすごい」のラインナップには「技術的に無駄にすごい」もある。
最近だと『魔改造の夜』(BSプレミアム)もそうだ。トヨタや東大が技術を尽くし、トースターからパンを飛ばしたり、犬のオモチャをキメラにしたりしていた。
『99人の壁』(フジテレビ)が、コロナ禍でスタジオに人を集められないので、自分たちでリモート早押しシステムを作ってしまった、というのも「技術的に無駄にすごい」だろう。
あとは『ほこ×たて』の「絶対に穴の開かない金属 VS どんな金属にも穴を開けられるドリル」や、『トリビアの泉』の「「笑い」を研究している人達が作る一番面白くないギャグはダジャレ3連発の後に「このセメントセメント」」なんてのもありました……。
他にもっといい例があると思うんだけど、「そんなところにそんなスキルを使うんじゃない」という企画はやっぱり面白いし、記憶にも残っている。
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無駄、やっぱり大事だ。『クイズ!THE違和感』がクイズの皮をかぶった大喜利バラエティなのも、一周回った無駄とも言えるし。
また「ノブ違和感」をやってほしいけど、ノブ本人は「番組の予算をここにつぎ込んだ」と言っていたので、どうなることやら。
なんとか隙を見て予算も無駄づかいしてほしい。