近所のご婦人が4.3%に入っていた
顔を合わせると挨拶する、ご近所のご婦人がいる。物腰が柔らかくて、いかにも上品な佇まいのご婦人である。玄関先に季節ごとにキレイな花を咲かせた鉢植えを置いていて、ハロウィンやクリスマスにはかわいい飾り付けもしている。子供たちが小さかったときは、前を通るたびに食いついていた。
今日も、お宅の前を通りかかったときにたまたまいらして「こんにちは」「こんにちは」とご挨拶をした。すると「あらそうだ」と小声で何か思い出した様子。「このあいだ、テレビに出てませんでした……?あの、99人の……」と。
出てました。100万獲ってしまいました。
「やっぱり!たまたま見てたんです。すごいですねぇ。路線図お好きだったんですね」と感想を伝えられ、いやいやお恥ずかしい……と恐縮しきり。放送から1ヶ月以上経っていて、その間も顔を合わせたと思うけど、子連れだとワチャワチャして通り過ぎちゃうから、今日改めて思い出してくださったんだと思う。ご近所で顔を合わせる程度なのに顔を覚えていてくださったのも、なんだか嬉しいし恥ずかしい。
『99人の壁』放送後は、保育園時代からのパパ友さんから連絡が来たし、学童でもママ友さんから「見てました!」と声をかけられたりした。大学時代の友人からMMSでメッセージも来た(当時から何度か携帯キャリアを変えたので電話番号しかわからなかったのだろう)。直接面と向かって伝えられたときは、未だにどうリアクションしたらいいかわからずモジモジしてしまう。
やっぱりテレビってすごいなぁと思う。
僕が出た『99人の壁 夏の大花火』の番組平均視聴率は4.3%だった。ネットニュースでは10月からのレギュラー化に向けて「合格点とは言えない数字だが」とか書かれていた。それでも届くのだ。Webでたまに記事がバズったりするけど、仕事やネットのつながり以外のクラスタから「あの記事見ました!」と声をかけられることなんてない。「テレビはオワコン」「これからはネット」と言われたところで、まだまだパイが全然違うのだなぁ(お前そこまでバズったことあるんかい、と言われるとしょんぼりするしかないけどもだ)
仕事上、やっぱりバズったバズらないで一喜一憂することがある。シェアされないなぁ……とか落ち込むこともある。はてブはされてるがPVには影響していないな……と難しい顔でモニタを睨んでいることもある。
PVやシェアはひとつの指標なので、そりゃあったほうが嬉しい。でも「大量のPVやシェア=みんなに届いている」と錯覚しないようにしないとな……と、ゆるんだ自意識をギュッと締めたりした。「みんなに届ける」より「届けたい人に届ける」「届くべき人に届く」を意識した方が健康的かもしれないですね。