ドラマを一挙放送する局、特番をたくさん作る局
この年末のテレビ欄が例年より白い。
ドラマの一挙放送が例年に比べてすごい増えたのだ。特にTBS。逃げるは恥だが役にたつ、アンナチュラル、義母と娘のブルース。年が明けには99.9、大恋愛、ノーサイドゲームも予定してる。大盤振る舞いすぎる。
話題のドラマを途中から見た人には嬉しいし、録画をし損ねた人には大変助かる。そしてテレビ局側にも「働かなくて済む」という利点がある。テレビ局の働き方改革のひとつのやり方だなぁと思う。
一方、真逆のアプローチなのがフジテレビ。朝から夕方にかけて、1時間〜2時間くらいの特番がすんごいたくさん作られているのだ。
12月28日
・〜日本ここ何ロード〜この道通るのどんな人?
・料理の神様
・うちわけいただきました
・拝啓、芸能人さま〜手紙がたくさん届いてます〜
12月29日
・田舎で1000万プレーヤー
・爆買い☆スター恩返し
・芸人デカスロン〜お笑い10種競技バトル〜
12月30日
・村上信五∞情熱の鼓動
・宮根誠司の日本もうけ話
・人生2択クイズ!あの人今どっち⁉︎
12月31日
・実はカットされてました
・アナタの最愛の人よみがえらせます
・〆切カウントダウン
・追跡!あのニュースでワイドショーが諦めたコト
年末だけでこれだけある。こうした特番は「パイロット番組」と呼ばれ、レギュラー化を見越した「お試し」の要素がある。そういえば『99人の壁』も、もともと2017年大晦日の朝に放送されたパイロット版からスタートしたっけ。
これだけパイロット番組が作られるということは、新たな鉱脈を求めているということ。そして若手を育成しようという意思の表れでもある。その取り組みをそのまま番組にしてるのが、30日深夜の『テレビ特区』。
入社2〜3年目のディレクターを中心に「局内の若手ディレクターから募集したチャレンジングな実験番組や、様々なジャンルの“特区”企画」を生放送で送るとのこと。MC山里亮太、パネラーいとうせいこうなので、どんな企画でも拾ってもらえる布陣。
番組HPで木月洋介チーフプロデューサーはこう語ってる。
おそらくVTRが仕上がるのも生放送ギリギリですし、それが何分のVTRになっているのかもわかりません。面白いものになっているのかも本当にわかりません。それくらいチャレンジングで不完全な番組があったっていいじゃないか、そこで成功したり失敗したりすることが一番若手ディレクターのためになるんじゃないかと思います。
テレビだって商売だ。視聴率はどうしても気になる。でも気にしすぎると冒険できない。わざわざ「失敗できる場」を設ける意味がここにある。
いまある資産を活用して内に力を貯めるのか、新たな鉱脈を探して失敗覚悟でチャレンジするのか。2020年に向けた戦略の違いが、テレビ欄に如実に出ているのだった。