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僕の好きな食べ物はカレーです【週報】

今週の週報です。

2024/12/15 800年後も見てくれるかな

タモリさんに学ぶ人生後半のたたみ方、的な本を書店で見かける。確かに学びたいところは多すぎるものの、タモリさんが「人生後半」だと判断するのは誰にもできないのではないだろうか。あの感じのまま800歳くらいまで生きるかもしれないだろう。

だとしたら、まだまだ人生もチュートリアルレベル。800年後、人類の数が極端に減った地球で新宿ALTAの跡地に立ち、「明日もまた、見てくれるかな」とつぶやいたりする。


2024/12/16 mixi2

mixi2がネットの海に突然浮上。多くのX乗組員たちが飛び移る。mixiは既に退会してしまって、書いていた日記やらなにやらは消えてしまったのだけど、なんで退会したのかよく覚えていない。なにか嫌になったに違いないが……。人はちゃんと忘れる生き物なのだなと実感する。mixi2は楽しくやっています。「傾いている店(物理)」というコミュニティを作った。物理的に傾いている店の写真を載せています。


2024/12/17 訴状通知サービス「訴」

なんらかのよくないことで訴えられた会社を取材した新聞社が、「訴状が届いていないためコメントできません」と言われている記事をよく見る。

なんで訴状が届いてから行かないんだろう。シンプルにいつ届いたかわからないからだろうか。訴状が届いたことを教えてくれるサービスがあったらいいのにな。特定の会社をフォローしておくと、その会社に訴状が届いたときに、記者のデスクトップの右下隅で「訴」という四角いアイコンがピカピカ光るのだ。アッオーってICQみたいな音も鳴るといいな。ピンクのクマが訴状を持って家を訪れてくるのも見たい。


2024/12/18 本日の司会はオードリー若林

NHK『本日の司会はオードリー若林!』がよかったんですよ。

若林さんが会社の会議とかに呼ばれて司会を代行するバラエティ。重たい空気の和らげ方、参加者への話の振り方、広がった風呂敷のまとめ方など、バラエティ司会スキルが一般社会でも大活躍するし、普通に社会人としても勉強になる。若林さんの司会によって議題がほぐれて参加者に笑顔が増えていくのもすごくよかったなぁ。

仕事上、座談会を仕切ることがよくあるので、個人的にもすごく勉強になった。座談会を仕切るのって好きなんですよね。よく話す人とそうでもない人のバランスを取ったり、激しく相づちを売っている人に話題を振ったり。長らくテレビでひな壇バラエティを見てきた成果が活かされています。


2024/12/19 5日でお答えください

よく衝撃映像番組で、VTR中にスタジオの出演者にクイズを出し「このあとどうなったのか5秒でお答えください!」と振られることがある。

あれが「5日でお答えください!」だったら大変だろうなと思う。スタジオを出て、海を渡り、衝撃映像の撮影者を探し、さまよい、犬に追いかけられ、たどり着き、回答を得て、成田に引き返し、タクシーでテレビ局に戻る。それで結局答えるのが「マンホールが飛んだ」だったりするのだ。


2024/12/20 プレゼントエコシステム

誕生日である。野田秀樹も虚淵玄もユリ・ゲラーもおめでとう。ユリ・ゲラーと同じ誕生日のおかげで毎年1回必ずスプーン曲げのことを思い出す。

年を取ったものの、いやむしろ年を取ったからには運動を続けなくてはならぬとフィットボクシング3を起動したら、トレーナーの人に誕生日を祝われた。思わぬサプライズ。

カチューシャは「みんなでクリスマスっぽくしてみました」だそう
なんかもらったぞ!

プレゼントだ!と思って、メニューに戻ってから何をもらったのか探したのだけどどこにもない。しかしトレーナーの衣装がいくつかアンロックされて、銀の手袋とか銀のシューズが増えている。これかプレゼントって。自分が使うものあげるんだね。よく言うとエコシステム。実態は堂々巡り。


2024/12/21 僕の好きな食べ物はカレーです

お誘いされて編集・ライターのみなさんの忘年会へ。ありがたいです。人と話すのは楽しいですね……。終わったあと「自己紹介もっとちゃんとすればよかった」など反省する時間もありました。自己紹介苦手界隈。

忘年会の道中で古賀さんの『好きな食べ物がみつからない』を読み終わる。

「好きな食べ物はなんですか?」という問いにうまく答えられない、と悩む古賀さんが、一念発起して自分が好きな食べ物を探求し続けるエッセイ。

そんなのパッと思いつくもの答えたらいいじゃん、という雑な考えを古賀さんは許さない。なぜなら、食べ物をリスペクトしているから。おはぎを求めて仙台まで食べに行ったり、寿司を食べながらオムライスに思いを馳せたり、デパ地下で瞳孔が開きっぱなしになったり。その特異な解像度で食べ物と自分を凝視しつつ、古賀さんは逡巡と巡行を繰り返す。ひとつ見つけては「本当にこれでいいのか」と悩み続ける。

この本、誰しも読みながら「そういえば自分の好きな食べ物ってなんだろう……」と振り返ると思うんですよ。僕は長らく「好きな食べ物はカレー」と言っていたのだけど、「本当にカレーなのか」「特に名店を食べ歩いたりとかしないし」「もっと好きなものがあるんじゃないか」「とりあえずカレーで妥協することで選択から逃げているのではないか」という言葉が頭の中でずっとこだましていた。

もともと、食べ物についての解像度はかなり低い。グルメ記事は全然書けないし(「おいしい」しか言えない)、食事は空いた時間にチェーン店で済ますことも多い。ゼルダの伝説でもそうだ。さまざまな食材を組み合わせて料理が作れるため、娘のリンクはシチューやアップルパイなどを作り豊かな食生活を謳歌しているのに、僕のリンクときたら肉を焼いて食ってばかりである。たまにキノコも一緒に焼く。完全に食事がライフ回復の手段でしかない。どうなんだそれは。

読んでいる途中にあまりに思い悩み、カミさんに「僕の好物はカレーではないのかもしれない」とこぼしたら、力強く「いや、あなたの好物はカレーです」と断言された。家でカレーを作ると必ず食べ過ぎるし、どんなバイキングでもいの一番にカレーを取ってくるじゃないかと。そうだね。そうだよね。20年僕を見てきた人の言葉を信じよう。

そんなこちらの逡巡はなんのその、最後に古賀さんがたどり着いた結論はとても清々しい。あんなに長いトンネルをくぐっていたのに、パッと青空に出るものなのか。他人事ながら誇らしさおぼえる。好きな食べ物を決めることは、自分を肯定するカードを手に入れることなのだ。それは食べ物だけではなく、世のあらゆるものに対して「好き」のカードがあることを意味する。荒々しく表現すると「好き」で武装すると言ってもいい。自分もちゃんと言っていこう。僕の好きな食べ物はカレーです。

……そうそう、最後にこれだけ言わせてください。古賀さんが「食べて泣いちゃったことがある」という金華サバ(P.226)、紹介したのは僕です……!そのときの記事がこちら。泣くほど喜んでもらえて本当に嬉しかったです。


また来週です。

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井上マサキ
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