だから、僕もこのフルーツを噛み締めたい / 糸満を冒険して(なるる)#Season2
8月8日。第3回目のフィールドワークでは、沖縄県糸満を冒険してきました。フィールドワークでは、U-18の「やってみたいかも?」をみつけるために、全6地域を冒険し、その未来をつくるアイデアを考えることに挑みます!
このnoteでは、
1・どんな地域に行ったのか?
2・どんな人に出会ったのか?
3・U-18のシェアで感じたこと!
を書いていきたいと思います。
今回の冒険先、沖縄県糸満(いとまん)は、那覇市よりもさらに南にある沖縄本島の最南端にある市です!
8月の沖縄は、爽やかな晴天が広がっているイメージですよね。
ワクワクしてきました!
沖縄県の冒険は、地域を案内してくれるナビゲーターで、沖縄ミライ企業プロジェクトの、小野間 昌和さんの粋な三線でスタートしました!
(三線でinnovationGOを盛り上げてくれる小野間さん!美しい音色!)
小野間さん曰く、糸満市の天気は、前日まで降水確率80%という状況だったらしいのですが、innovationGOの熱気のおかげか、見事に晴れに天気が変わったとのことです!!恐るべし!!
そんな糸満市は、農業と漁業の有名な町。特に漁業は、「海人(うみんちゅ)の町」とよく言われているそうです!それだけ多くの漁業を営む人が住んでいるということですね。
ところが、今回の冒険ではどうやら「パッションフルーツ農家」さんに話を伺うそうです!
多くの人が知っている糸満市の「海人の町」の世界ではなく、農業の世界を垣間見る冒険になりそうです!!
今回、沖縄県でお会いしたのは、冒頭で三線を弾いてくれたナビゲーターの小野間 昌和さん(写真右)、同じくナビゲーターで沖縄ミライ企業プロジェクトの上間 祥吾さん(写真左)、そして、地域で活動をしてるローカル・プレイヤーの野原 祥行(よしゆき)さん(写真真ん中)に出会いました!
(左から、上間さん、野原さん、小野間さん!手に持っているのはパッションフルーツ?!)
野原さんは、農業を営まれている方です!大勢のU-18を前に緊張しているとのことでしたが、ジョークを交つつ場を和ませてくれました!
インタビューは、野原さんがパッションフルーツ農家になったきっかけを話すところから始まりました。
野原さんは那覇市の出身。大学卒業後は、沖縄県でハーブを栽培している会社に就職し、ハーブを使用した健康食品の販売に従事されていたそうです。
その仕事をしている内に、野原さんの中にはある想いが出てきます。
「(健康食品という製造されたものではなく)素材から栽培していきたい」
健康食品は体調を整える効用を期待して服用しますが、健康を素材の面からきちんと作り上げていきたいと野原さんは感じたのでしょうか。
野原さんは10年ほど働いたその会社を辞め、ハーブをつくりたいと農業を始めます。
(インタビューに答える野原さん[左]、インタビューをする小野間さん[右])
そんな野原さんのお母様が今回の舞台、糸満市出身。系譜を辿ると200年近く糸満の福地(ふくじ)という地区で農業を営んでいたとのこと。
そういう理由から、野原さんも小さい頃から畑や農業に親しんでいたそうです。
最初は、ハーブを栽培しようと思っていた野原さんでした。ですが、野原さんが会社を辞める20年ほど前からパッションフルーツの栽培をしており、まずはその手伝いを始めたとのことです。
その手伝いをしているときに、パッションフルーツの栽培の魅力を取りつかれ、ハーブを栽培することからパッションフルーツを栽培することに決心を固めました!
パッションフルーツ栽培の魅力とは、15cm程の挿し木から成長し、無数のパッションフルーツが取れるという感動!さらに、挿し木は一年毎に継ぎ足していくそうなのですが、その次世代への継承の感覚に高揚感を覚えたとのことでした。
野原さんはその感動を、「何もないところから生まれてくることにすごいと思った」と語ってくれました。また、一年毎に挿し木を継ぎ足していくのが、「自分がいなくなっても、その苗は何百年も続いていくのが面白い」と教えてくれました。
(挿し木のデモンストレーションをしてくれている野原さん)
収穫の時期は過ぎてしまったので、今はパッションフルーツがついていませんが、1トン強のパッションフルーツが収穫できるそうです。
パッションフルーツ1個が大体90グラムなので、1万個以上でしょうか。すごい量です(笑)
パッションフルーツは、自然落下してくるそうなので収穫はもぎ取るというより栗拾いに近い感覚とのこと。1万個以上を拾うって、相当な労力ですよね・・・。収穫の際には親戚総出で行うそうです。
(パッションフルーツの中身を見せてくれました!)
紫色の皮に、中身が黄色。サツマイモを想像させてくれる外見です!
中身にはタネも入っているそうですが、タネも一緒に食べることができるらしいです(タネをそのまま飲み込む人と噛んで食べる人がいるそうです)。
採れたての味は酸味が強いらしいですが、しばらく置いておくと甘みが出てくるとのこと。その味は、キウイに少し近いと仰っていました。食べ方も様々で、中身をヨーグルトにかけたり、かき氷にかけたり、アイスクリームに混ぜて食べる人もいるそうです!
このパッションフルーツはチーズケーキともコラボしたらしいです!
詳細は以下のリンクから。
野原さんは、これからのビジョンについて、まずは栽培の基盤を盤石にしていくことを大事にしたい、その上でパッションフルーツのコラボ商品を打ち出したり、若手の農家を集めて農家の人となりがわかるよう音声メディアで発信を行ったり、パッションフルーツが身近なフルーツになるように発信を行ったりしているそうです。
(これからのビジョンを語る野原さん!優しい瞳の中に熱い思いを感じます!)
パッションフルーツのパッションは情熱ではなく、パッションの花の雄しべ、雌しべが十字架に見えることから、キリストの受難を意味するパッションのことらしいです。
一方で、野原さんはその意味のパッションではなく、情熱のパッションでもいいのではないかと独自の見解も持ち合わせています。
一つの作物にかけるパッションが、その作物を食べる人の笑顔につながっていく。そんな思いを感じ取りました。
非常に濃いインタビューでしたが、U-18は一体何を感じ取ったのでしょうか。それについてもぜひ見ていきたいと思います。
インタビューで、地域のこと、ローカル・プレイヤーの活動のこと、を知った上で、自分たちの考える未来をワークショップで考えていきます。
今回の冒険先では、パッションフルーツを切り口に農業のあり方、農業という生業の面白さを語ってくれました。
U-18はこの話を聞いてどういう部分に好きやワクワク、「やってみたいかも?」を見つけたのでしょうか。
ある大学生メンターはチームでのワークショップをこのように振り返っています。
本当に回を重ねていくごとに発表とアイデアのクオリティが良くなっていて、驚きました。その理由には、U-18が段々とイノベーションとはどのようなものかの理解が深まっていっているからと、アイデアに対する思いが大きくなっているからだと思いました。アイデアに対する思いが大きくなっているのは、地域のナビゲーターの方の話が面白く、充実したものだからだと思います。
今回は3回目の冒険。その中でイノベーションへの理解が高まっていき、アイデアの完成度も上がっていきました。さらに、作ったアイデアに対して「やってみたいかも?」と思えるようになってきたのではないかという振り返りでした。
アイデアを「やってみたいかも?」と思うのは、U-18の純粋な感性によるものですが、この大学生メンターも指摘しているように、「やってみたいかも?」を感じるためには、話をしてくれるローカル・プレイヤーの影響も少なくありません。
ローカル・プレイヤーが、情熱をもって自分の体験を話してくれているからこそ、U-18の純粋な感性を刺激し「やってみたいかも?」と思わせてくれるのでしょう。
そして、そんなワークショップから出たアイデアの数々です!グラレコは、Akita Graphic Recorders!のみなさんによるものです!
多くのチームがパッションフルーツを軸にアイデアを考えてくれました。
どれも実現したら面白そう!と思わせてくれるものばかり!!
パッションフルーツを身近なものにしたい!という野原さんのビジョンもしっかりと伝わっていたのだなと思います。
今回は沖縄県糸満市を訪れました。
その町には、何もないところから作物ができることに感動を覚えている人がいました。
その町には、作物が何世代も継承されていくことに喜びを感じている人がいました。
その町には、自分の育てた作物がもっと身近な作物になることに情熱をかけている人がいました。
パッションフルーツのパッションは受難の意味です。
でも、僕は思います。そういう受難や困難なときこそ、自分の情熱が試されると。一つの作物を作ることも決して平坦な道のりではないでしょう。だからこそ、情熱を忘れずにつくり続けることが大切なのだと思います
情熱という言葉から少し遠ざかっていた自分。
だから、僕もこのフルーツを噛み締めたい、そう思った冒険でした。
なるる
<この記事を書いた人>
なるる。武蔵野美術大学造形構造学部に在学中。innovationGOの運営をするi.clubでインターンをしており、大学生メンターとしてinnovationGOに関わる。普段は、社会とデザインをどう結びつけるか、を考えている。森や川、海、山など自然の創り出す空気が好き。実は・・・なるるが本名ではない。
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