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『薬指の標本』から見る自分の恋愛観について

こんにちは、現在大学の期末期間でバタバタ中のインターン生のしおたんです。今回は先日読み返した、私の好きな小説について書いていこうと思います。小学生のときに初めて読んだときから、今では全然違う感想を持つことに驚きながら、新鮮な気持ちで読了しました。

今回は、その自分の感想の変化という部分に注目しながら、私の恋愛観というか、物事に対する考え方みたいなものを分析できたらいいかなと思ってます。

他のインターン生とは少し毛色の違うnote(そして長い。)にはなると思いますが、これがしおたん節だと思って楽しんでいただければなと思います。


あらすじ

『薬指の標本』は小川洋子さんが書かれた、とある女性主人公の目線から語られる短編の一人称小説です。

物語は、左手の薬指の先を事故で亡くした主人公が、標本技術士という不思議な仕事をする弟子丸氏の元で働くところから始まります。

二人の仕事場である標本室にはさまざまな依頼が持ち込まれます。多種多様な物品を様々な想いと共に持ち込む依頼者たちですが、誰も顧みることはなく、弟子丸氏の標本室の中でずっと保管され続けていくのです。

主人公は、仕事を手伝ううちに次第に標本室、ひいては弟子丸氏の持つ異質な魅力に引き込まれていきます。

小川洋子ならではの不思議な世界観、そしてそこでの人々の心の交錯をしっとりと描く短編小説です。

まずはぜひ読んでみてください。

感想 (ネタバレ注意)

小学生のときの感想

初めて『薬指の標本』を読んだのは小学生のときでした。そのときの私は、大人の女性と異性との交流が持つ未知の世界に魅了されると同時に、まだ自分にはない感情を見せるこの物語に、理解できない部分が多かったのも事実です。ただ、弟子丸氏と主人公が標本室でひっそりと仲を深めていく描写は当時の私に、初めて大人の世界を垣間見た高揚感と恋愛への強い憧れを残し、長年好きな小説として印象に残っていました。

大学生になっての感想

小学生の自分には持ちえなかった様々な感情や経験を経た大学生になって改めて読み返すと、標本を依頼しにくる人々の感情により反応できるようになりました。大切にしていたモノ/ヒトに対する寂しさや悲しみなど、捨てるに捨てれない感情ってたくさんあると思います。

それを標本として丁寧に封じ込め、大切に保管してくれる弟子丸氏に引き渡せる登場人物たちに「いいなー」という思いが止まりませんでした。

また、女主人公が弟子丸氏に抱く想いやその行動には深く共感する部分が多かったです。好きな人に対して身も心も捧げたい、閉じ込められて独占されてしまいたいという感情は私の恋愛観とも重なる部分があり、噛みしめながら読んでいました。

自己分析

小学生のときの純粋な憧れと、大学生になってからの深い共感の間には大きな差があるなーと思います。

幼い頃は、恋愛を何か、きらきらした素敵なものだと考え憧れとして捉えていましたが、成長するにつれてもっと複雑で、難しいものなのだと理解するようになりました。特に、『薬指の標本』に描かれるある種、被虐的な恋情に共感するのには、自分自身の恋愛観、価値観だったりがよく表れているのではないかと思います。

私は苦しいこと、辛いことが好きというわけでは決してないのですが、何かに悩んでいる時間は、それはそれで大事にできるタイプだと思っています。もともと、そんなに深く物事を考えず、楽観的に生きているので、逆に深く悩めることや、考えることに出会ったとき、「おー、めずらしく私困ってる」ってドキドキするんですね(笑)。

「苦しくなるぐらい悩めるもの=大切なもの」という価値観が、私の中に存在しているんだなと今回改めて気づくことになりました。

まとめ

子どもの頃に読んだ本を改めて読み返すのっていいなって思います。

「あれ?こんな話だったっけ?」と思いながらページをめくると、昔の自分が考えていたことから全く変わった新しい自分が浮き彫りになるからです。小学生のときの私は、物事の表面的な部分にしか目を向けておらず、相手の気持ちの深いところまで考えることもあまりしませんでした。しかし、大学生になってからは、ある人の感情や内面に対して興味が強まったのではないかと感じています。これは私の成長っていえるんじゃないかな?

自分自身の内面の記憶や感情を見つめ直す機会になったし、自分がどのような経験や思いを持っているかを再認識できたと思います。

そんな風に、いろんな感情を私に持たせてくれる『薬指の標本』がやっぱり好きだなって思います。

しおたんでした。


<この記事を書いたひと>
しおたん。名前の由来は諸説ある。鳥愛好家。東京都生まれ東京育ち。趣味は洋画、洋ドラマ鑑賞。→大好きすぎてHULU、Netflix、アマプラなど一通りの動画サブスクに加入している。家では3羽のインコを飼育し、日々戯れている。最近は大学から始めたアーチェリーにいそしむ。お気に入りは大学の芝生、お昼寝するためにレジャーシートを持ち歩いてます🥰

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