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『海賊の時間』2024版 稽古場レポート No.2

こんにちは!イン・ノート演出助手の寺腰です。
8/16(金)~8/18(日)、駅前劇場で上演される劇団イン・ノート第10回本公演『海賊の時間2024』の稽古場をレポートしていくこの企画。
今回は第二弾、あら通しを控えた現場に密着していきます!

▼ 🏴前回の記事はこちら🏴 ▼

前回の記事と併せてお読みになるとよりお楽しみいただけます。
ぜひご覧ください!

7月20日 稽古、あら通し

今日も稽古場は和気あいあいとしています

前回のレポートから一週間と少し経ったこの日。
用賀区民集会所、階段を下りた先の大会議室に続々と稽古場メンバーが集まってきました。
今日は19時からあら通しです。
最初から最後まで芝居を通すのは、この稽古場では初めて。心なしか、役者の皆さんも少しそわそわしています。

アップを終え、早速シアターゲームに移行。
この日行われたのは、とあるシーンで使うアクトの練習でした。
一人の役者を囲むように円を作り、役者はその中をふらふらと歩き回り、選んだ人の前で倒れ込む。一見穏やかなようですが、この時役者は全ての力を抜いてもたれかかるんです!
もちろん、これで終わりではなく、倒れ込んでくる役者をしっかりと支えてこそこのシアターゲームは成立します。
片方は全ての力を抜いてもたれ、もう片方は適度な力でそれを押し返す。
確かな実力と信頼感がないと中々できない練習ですね……。

この練習が劇中の演出にどう効いてくるのでしょう。
今から楽しみでなりません……!

静止画だとなんでもないようですが、
実際に見てみると少し怖いです

その他、いくつかのシアターゲームをやった後、シーン練習開始。
といってもあら通しを控えた皆さんの動きはほぼほぼ完成しきっており、後は細かい調整の時間という雰囲気。

「ここでゆっくり音楽が入ってきます」「ここで雷!止まります」

演出の芝原れいちさんの合図に合わせて、序幕の稽古が進んでいきます。
身体性を存分に発揮するイン・ノートらしい、大胆ながらも繊細な演出。
荒々しい海と亡霊たちの踊りが見えたかと思えば、次の瞬間には波に揉まれる海賊たちのがなり合いに変貌。さらにはそのまま凪いだ海に……と、驚く間もなく次々と転換していく場面に心を鷲掴みにされます。

残念ながらシーン稽古なので、どれだけ迫力のある場面でも途中で演出さんのクラップが入ってしまいます。
あら通しになれば最後まで観られる、そこまで我慢……!という気持ちで稽古を見守っていました。

荒々しく動き回る役者たちの奥には、舞台図がちらり

シーン稽古が終わり、やがて個々人での復習の時間に。
傍目から見ればなんの問題もなくやれているようでも、やはり役者さんたちは「物凄く不安」であるらしく、シーンごとのメンバーに分かれて復習が始まります。

ただ、復習と一口にいっても皆さん色々なやり方がありました。
単純に字面を頭に馴染ませる―――いわゆる台詞覚えだけをするのではなく、その場面でキャラクターはどういう感情を抱いているのか、その感情がどう働いてどういうふうに動くのか、まで考えている方々も。
劇中、ボードゲームで白熱の戦いを繰り広げる海賊を演じる中川大喜さんと幡美優さんのお二人は駒の動かし方について考察をしていました。

基本的に小道具を使わず、全て「あるというてい」で進めるイン・ノートでは、こういった一挙手一投足も疎かに出来ないんですね。
実際、考察をする前と後では手の動きから何から意識の違いがはっきりと見えました。
役者の一人一人がこうした意識を持っているからこそ、素舞台に近いステージでも迫力が出るのだな、と強く感じました。

「ゲームで負けた記憶を思い出して再現する」と豪語し、
表情から再現してみせた中川大喜さん(左)

シーン練習、復習と終わり、いよいよ19時。
あら通しの始まる時間となりました!
ステージングアドバイザーの小林ららさんをはじめとする多くのスタッフさんたちも見学に来て、稽古場の熱気もいよいよ最高潮に。
芝原れいちさんによるスタッフさんたちへの舞台図の説明が終わったのち、遂にあら通しが始まりました……!

静かでありながらも威圧的なオープニング曲から始まり、シアターゲームで何度も練習したあの動きへ。役者たちは穏やかに、時に激しく揺れる波となり、気が付くと物語の始まりへと繋がっていきます。

「嵐だーーー!嵐が来たぞーーー!!!」

大見祥太郎さん演じる海賊の一声で一気に場面は緊迫。
単純な大声の応酬ではなく、怒鳴り合いの中にも個々人の性格による細やかな動きやテンションの違いがあるのが面白いところです。

スタッフたちも真剣に見守っています

流石に初めての通しということもあり、途中で台詞を忘れて詰まってしまったりする場面もありましたが、その違和感を覚えさせるまでもなく勢いに飲まれるように場面は進んでいきます。
物語の筋運びは、イン・ノートらしい悪人のいない明快なコメディ。
海賊たちの真剣ながらも馬鹿馬鹿しい"民主主義的"会議には思わずクスリとさせられますが、さっきまで笑っていた人々の暗く寂しい一面が語られる瞬間にはぞくりとさせられます。

絶望や苦しみを抱えながらも笑って過ごす海賊たちの、その生きざまを2時間真正面で浴びせられました。
役者さんたちの感想は「やり切れて良かった」「ほんとうに疲れた」「まだ全然ダメ……」とさまざま。けれどもどの方も、活き活きとした本当に素晴らしい演技でした。

7月もあと1週間ほどで終わります。
駅前劇場で海賊たちの会議が開かれるのも、もうそろそろ。
ぜひぜひ、ご予約ください!!


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