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あったかもしれない可能性の夢想【サイドオーダー】

本記事は、『スプラトゥーン3 エキスパンション・パス サイド・オーダー』のネタバレを含みます。

長らく『スプラトゥーン3』から離れていたが、『サイド・オーダー』が来たので、久々に遊んでいる。かなりハマってしまった。

全パレットクリアはもちろん、虹バッジも取ったし、カラーチップコレクションもコンプリートしたし、ハッキングを全て解禁し、ユメエビの露店も枯らした上で、シンジュを9999個溜めてカンストさせた。

『スプラトゥーン3 エキスパンション・パス サイド・オーダー』 ©Nintendo
『スプラトゥーン3 エキスパンション・パス サイド・オーダー』 ©Nintendo
『スプラトゥーン3 エキスパンション・パス サイド・オーダー』 ©Nintendo
『スプラトゥーン3 エキスパンション・パス サイド・オーダー』 ©Nintendo
『スプラトゥーン3 エキスパンション・パス サイド・オーダー』 ©Nintendo
『スプラトゥーン3 エキスパンション・パス サイド・オーダー』 ©Nintendo

おおむね遊びつくした感じがあるので、プレイしてきた感想を書く。


ストーリー面

『スプラトゥーン2 オクト・エキスパンション』の既プレイヤーをメインターゲットに据えつつ、未プレイの人を置いてけぼりにしないような配慮が多く見られた。その配慮のためか、『オクト・エキスパンション』ほどの激しい衝撃展開はなく、割と予定調和的に終わってしまった感がある。『オクト・エキスパンション』が異例だと言ってしまえばそこまでなのだが、残念ではある。

特に、4号についての描写が「4号のパレット」と「イイダの開発日記」くらいしかなかったのが肩透かしだった。一応、イカイノカノンの姿がスプラ2の4号と連動しているらしいが、4号本人として出てきてほしかった。というか、絶対最上階で4号が立ちはだかるだろうと思っていた。物言わぬ中ボスの一人として利用されているだけとは……。

あと、ミズタ絡みで一波乱あるだろうと思っていたが、それもなかった。普通にテンタクルズのツッコミ役だった。イイダの過去を知る唯一のキャラとして、あるいは唯一コミュニケーションの取れる消毒経験者として、何かしらデカい見せ場があるのではないのか!?

思うに、ローグライクというジャンルが、プレイヤースキルによってクリアまでの時間が極めて大きくブレるせいで、あまり複雑なストーリーラインを敷けなかったのではないだろうか。「最上階のオーダを倒さないと世界がヤバい」くらいの認識で遊べば十分になっていて、クリアに何十周かかっても覚えていられそう。

どんでん返しがなかった分、イイダとヒメの魅力は存分に描かれていたので、それは嬉しかった。『スプラトゥーン3』メインストーリーにシオカラーズとすりみ連合が登場する中、唯一テンタクルズだけが追加の描写を得ていなかったので、ファンとしては待ちわびた供給だった。イイダのエンジニアとしての側面が深掘りされつつ、ヒメちゃんが持ち前の適応力と先輩力で大活躍していて最高だった。

『スプラトゥーン3 エキスパンション・パス サイド・オーダー』 ©Nintendo


システム面

『スプラトゥーン』と「ローグライク」、全く異なるジャンルを組み合わせるという新たな挑戦を綺麗にまとめていて、流石は任天堂という感じ。ローグライクはコアゲーマー向けになりがちだが、かなりカジュアルに遊べるように調整されている。

イイダを助けるためのストーリーの中で基本システムを学ばせ、そのまま周回後の永続強化(ハッキング)まで無理なく繋げているチュートリアル構成は、もはや美しい。「ローグライク」の「ロ」の字も知らないプレイヤーへの配慮が行き届いている。

ハッキングもかなり強力で、ライフを増やしてダメージを抑えてドローンを育てれば、『スプラトゥーン』が苦手なプレイヤーでもクリアできるように作られている。ハッキングのコストも(MAXを目指さなければ)かなり安く設定されており、序盤で何度も死んで前進を感じずドロップアウトしてしまうのを防ぐ意図を感じる。

『スプラトゥーン3 エキスパンション・パス サイド・オーダー』 ©Nintendo

一方で、これだけ遊んでおいて言うのもアレだが、やりこみ要素については物足りなく感じた。『オクト・エキスパンション』の「心の中の3号」に比べれば「ハチのパレット」のハッキング極小攻略は簡単だったし、その後できることはひたすら収集である。新たな高難度モードやエンドレスモードのような、ローグライクあるあるのエンドコンテンツの追加はない。

一応、ハッキング縛りで塔を登ることで報酬が増えるようになってはいるが、ハッキングマシマシで同色チップを連続獲得する報酬ボーナスの方が強いため、縛りに見合った成果は得られない。縛りプレイなんて自己満足の領域だろと言ってしまえばそこまでだが、やはりやりがいは欲しいものだ。

「サーモンラン」に並ぶコンテンツになることを期待していたのだが、流石に高望みだったようだ。せっかく「ローグライク」というコアゲーマーとの相性の良いジャンルを採用したのだから、突き抜けたエンドコンテンツは用意してほしかった。

『オクト・エキスパンション』からの『スプラトゥーン3』ストーリーモードの流れを見るに、DLCを次回作に向けての実験場としている気配もあるので、『スプラトゥーン4』に期待したい。




苦言も書いたが、3000円の価値は十分あった。クリアというゴールがあったおかげで、無限に遊んでしまって人生が壊れる事態に陥らずに済んだので、これで良かったのかもしれない。「もっと欲しい」と思うくらいがちょうど良いとも言う。

シンジュカンストまで遊んでしまったのは、無心になって収集作業を延々とできてしまう程にプレイフィールが良いおかげだ。小粒ながらも完成度が高く密度の濃いゲームだった。

ありがとう任天堂。ありがとうイカ研究所。ありがとうテンタクルズ。

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