見出し画像

シャチバト考察#3:7人目のキボウ社員

 皆さんシャチバトの小説版はちゃんと読んでますか?(唐突)

社長、バトルの時間です!〜キボウカンパニーのとある一日〜』と題して、アプリのサービス開始前から公式ノベライズが全3回連載されていました。
 後に公式Twitterにて1話2話3話と本文が公開されているので誰でもすぐに読むことができます。アプリ版のシナリオはもう読めませんが、小説版は誰でも読めます
 シャチバトは様々なメディアミックス展開がなされたプロジェクトであり、アプリのサービス終了後もこうして無料で触れられるコンテンツが残っています。恐らくシャチバトのことが知りたいからここに来たと思うんですが、まだ見てない人はさっさとリンクから読んできてくださいね。

 で、今回はこの小説版3話に記されている謎の情報について確かめたいと思います。

 ユトリア、アカリさん、マコトくん、ガイドさん。
 そして……マリカとミネ子。
 この六人が、『キボウ・カンパニー』の大切な仲間たちだ。
 実はこの少し後にもう一人増えることになるんだけれど、それはまた別の話だったりもするのでひとまずは置いておいて。

『キボウカンパニーのとある一日』3話

 これ……一体誰のことでしょう?


今回の要点

  • 広報さんすこ

  • あれ宇宙人です

時系列整理

 小説版はアプリ版のメインシナリオを担当した五十嵐雄策先生が執筆していることもあり、メインシナリオの流れに沿って補完するような内容です。2話までは社員も初期の4人ですが、3話になるとマリカとミネ子が追加されていました。ただし、マリカが登場していない2話時点で主人公たちが社畜ダンジョンを攻略済みであるという時系列のブレが発生しています。
 3話が厳密にどのあたりの時間軸に位置しているのかを考えるには、序盤でのマリカの説明文が役立つでしょう。

 マリカはれっきとした人間だ。
 ただし年齢は十三歳で、背が低く童顔な外見と舌足らずな喋り方のせいかそれよりもだいぶ幼く見える。見た目によらず冒専を飛び級で卒業したという優秀な経歴で、つい先日紆余曲折を経て『キボウ』の一員となった。

 マリカは加入時12歳だったのですが誕生日を迎えたようです。ならばメインシナリオ最終話よりもかなり後の話である可能性が出てきますが、「つい先日」という言葉がそれを打ち消しました。

 そもそもメインシナリオではマリカが入社してからミネ子が登場するまでにも月日が経っているので、どのタイミングだろうと「つい先日」では通らないと思いますが。小説版でのマリカは社畜ダンジョン攻略後に仲間になった、という設定を貫くことでミネ子加入直後ならギリギリ許容範囲に留まるくらいですね。そうなると、実際にメインシナリオ最終話までにミネ子以降の新入社員は現れていないという事実が重たい。

 小説版とアプリ版の時系列の齟齬についてですが、小説版を連載する目的は「メインシナリオの方に興味を持たせ、読者をアプリ版に誘導する」というもののはずです。よって基本的に小説版はアプリ版の設定に沿って作られているべきですが、齟齬が出ているということは小説版が書き上がった後にアプリ版での設定が変更されたということでしょう。2話の掲載時期はリリース直前、3話の掲載時期はリニューアルアップデートの最中のため、小説版は常にアプリ版シナリオの先取りをしている形です。「仲間が一人増える」という出来事についても、当時はメインシナリオ側で実現する予定だったものと信じてかまわないでしょう。
 それが第二部以降へと時期を遅らされただけなのか、増えるというイベントごと消失したのかは分かりません。楽観的に考えればキボウカンパニーに今後一切社員が追加されないことはあり得ないので、時系列の部分はともかく「増える」のは最終的に嘘にはならないかと。

 また、この時点の主人公は「もう一人増える」と言っているため、二人以上一気に増えたり逆に今いる社員が離脱したりという事態は起きていないということを暗に示しています。社員が増えるイベントが先送りにされたならば、それが起こるまでの間は他の社員の安全も保障されると思ってもいいでしょう。

新入社員候補

 さて、新たな仲間として一体誰が加わる予定だったのか考えてみます。
 キボウカンパニーに加入するという展開がボツにされていても、その人物は何らかの形ですでに登場している可能性が高いです。シャチバトでは開発資料内でボツ扱いの種族がサポメンの中に普通にいたり、メインシナリオに出演するキャラがリニューアルで差し替えになった後、名前を変えてサポメンとして登場したりということが起きています。用意したキャラは使い切るという方針なのだと思いますので。

先代社長

アニメ版以外だとビジュアルが不明なんですよね

 わかりやすい候補が主人公の父親であるキボウカンパニーの先代社長ですね。ストーリー的にいずれ彼がキボウカンパニーに戻ってくることは決定事項だと断言できるでしょう。
 小説版3話がミネ子加入直後であると当たりをつけましたので、つまり「この少し後」はメインシナリオ最終話にて女神様を呼び出す前後のことだと思えます。本来は女神様に願うことで先代を連れ戻せるような展開だったのかもしれません。
 ただ、先代が具体的に何をしているのかは不明なものの、手紙からすると大型門に赴いているのは世界の崩壊を止めるためです。無理に連れ戻してしまえば、それに合わせてゲートピアの異変を終わらせるためにカンパニーの全員で動かねばならないでしょう。

 先代が戻ってくる時は、すべての問題が解決した時かクライマックスの戦いが始まる時かどちらかになりそうです。そうなるとここで「仲間がもう一人増えるんだけど、それは別の話だから今は置いておく」なんて言い方をするか? という疑念が湧いてきました。
 彼を連れ戻すのはキボウカンパニー全体としての目標でもありますから、「別の話」としてサラッと流せるものではないんですよね。それに先代は主人公にとっては家族でもあるし、今はここにいないから言及していないだけでもともと"大切な仲間"から外れているわけではないでしょう。「増える」という表現ではなくてやはり「戻ってくる」とかそういう言い方をすべきです。

 物語の構成としてはあり得る候補なのですが、文章の温度感的には全く合いません。次に加入するのは先代ではない、ということを示しているように見えます。

Twitter広報さん

 ならば次の候補はこの方です。
 この女性はシャチバトで最もセリフ量が多いキャラと云われる公式Twitterのガワの人でございます。(中の人はいないようです)
 彼女はなんとアプリ版のサービス開始前からキボウカンパニー内に登場しているんです! 初期メンバーと共にオフィスにいるイメージビジュアルが今も公式サイトの一番上に…………

はい

 あっ…………(滝汗)
 アーカイブで許してください……

 これは言い逃れの余地なく、初期から広報さんがキボウカンパニーに入社する予定だったことを示しています。そして彼女はアニメ版にもチョイ役で出演しているため布石も十分。プレイヤーと交流を重ねているので好感度もすでに稼いでおり、これから仲間入りするに適任の人材でしょう。

「ユトリア、僕が社長になったこと、新聞にも載ったんだねぇ」
「はい社長! 社内情報を地域社会や株主様に伝えるため、広報には力を入れてるんです」

アニメ版第2話予告

 アニメ版も広報の必要性に言及しており、広報さんがキボウに必要な存在であることを示唆してくれています。

 惜しいのは加入するべきが初期段階すぎるということです。イメージビジュアルを見る限りマリカとミネ子の加入前にここに来てしまっているんですよね。最初から入社できたのにしていないということはとっくにボツにされた展開ということで、それを今更回収しようというのも無理のある話に思えてきました。
 それに彼女はあくまで広報係であり戦えそうではないので、今から仲間になっても世界の異変で深刻化していくストーリーについてこれないんじゃないか? とか、すでにブラックダンジョンの攻略で名を上げてきたキボウを今から広報しても意味が薄いんじゃないか? と、そういった意見ももっともなんですよね。

 筆者としては広報さんにキボウカンパニーに入ってほしいのですが、どうにもタイミングを逃してしまった雰囲気があります。小説版で言及された新しい仲間とは違うものの、初期案の中では彼女の加入が見込まれていた可能性は高いということで納得しておきましょう。

リュック


 私は真面目です。皆さんマコトの背負っているリュックのことはご存知ですね?
 堂々とマジューへの興味を語り異種族とも友達になろうとするマコトのキャラ付けを、背後から覗く眼光ひとつで混沌に陥れる悪魔的存在。それがリュックです。おかしいですよねえ、マコトの人格でリュックの中を隠そうとするはずがないんですよ。これが分からない人はお話にならないのでキャラ設定とかメインシナリオとか総合的に学び直してきてください。
 筆者とてこんな存在を大切な仲間の一員として数え上げたくはないのですが、最も近くにいる味方であるが故に有力な候補として取り上げなければなりません。
 出すだけ邪魔な存在であっても、一度出演してしまったものは仕方がない。名実ともにマコトのお荷物のままなのは望ましくないので、どこかでキボウの皆がその存在を受け入れて全体で面倒を見ていく形になるしかないのでしょう。

 それを決定するタイミングとしてこの「小説版3話時点の少し後」が果たして最適なのかを考えますと、たぶんこの時点が一番マシなのかなという結論になります。
 ミネ子まわりの話では「種族が違っても友達になれる」という主張を実現させるというところに意味がありますから、ミネ子の前に言葉を話せる人外がすでにマコトの友達……友達……? になっていることを明かすと途端に価値を失ってしまうんですね。彼女が加入する前にリュックの中身が活躍するシーンはありますが、そこで仲間にするだとか正体を明かすということが構成上無理だったのです。ミネ子が加入した後でも無理では? そうなのですが、後で発覚した場合ならアカリ辺りにツッコミを入れさせてオチにすることで「矛盾が生まれてしまったのではなくオチを作っただけ」と言い張ることが可能になるので……
 それにいつまでもリュックの中を見ないふりしていてはキボウカンパニーの戦力として不確定要素が残ることになります。今後主人公たちが身を投じるバトルは世界を守るためのものになるんですから、できるだけ早くこの存在の謎を消化してカンパニーが真に団結できる状態を作るべきでしょう。
 ならば”別の話”として、本筋が大きく動いている裏で何でもないように仲間にしておくのが一番傷が浅くて済む処理方法ではないでしょうか。

 ……で、これを踏まえるとアニメ版の最終話に気になる描写があることに気付きました。
 最終話で女神様に本願を叶えてもらえなかったキボウカンパニーは代わりに社員旅行に行くことになります。(こんなのは女神を介さなくてもできるだろ)その時の様子がエンドロールの間静止画で送られるのですが、最後に撮った集合写真を見てくださいね。
 カンパニーのみんなと一緒に飛び跳ねているリュックが写っていますよね。アニメが観られない皆さんのために公式が画像を上げてくれてるから見ろ。

 元からマコトの背後で喋り放題していたとはいえ、全員が確認するだろう写真に映りに行くというのは本当に隠す気がないというか……。隠さなくてよくなったと考えてみるとどうでしょう?
 つまりこの旅行中、写真を撮って確認した際に他の社員に気付かれたのか、ミナトやマコトが話したのか、リュックの正体は全員の周知するところとなったのです。そして今もこの写真が飾られているという事実が、リュックの中身がキボウの一員として無事に認められたということを示している……そういった意味をラストシーンに見出すことができます。仲間は増えていないと思ったから候補を探したのに、実はしっかり増えていたとは……。

 否定材料としてはコレが明らかに人間ではないため「もう一人」と呼ぶのは変だということが挙げられますが、「宇宙人」なんかだったらどうですか? 恐らく皆さん同じイメージを共有できていると思うのですが。ミネ子のことも人として扱っている主人公ですから、対話ができる時点で”人”と数えても不思議ではありませんし。
 むしろ主人公が「仲間が増える」ということは言っているものの「社員」とは一言も言っていないことに注目していただきたい。人間でもマジューでもないらしいこの存在はカンパニーの仲間として認められたとしても、社員にすることはゲートピアの制度上不可能ということなのではないでしょうか。考えれば考えるほどこの説が補強されていってませんか?

 ただ、アニメ版のこのシーンは恐らくアプリ版のメインシナリオでは発生していない点に注意が必要です。
 アニメ版放送後に更新されたアプリ版のシナリオだとそもそも女神への願い事が違うので、社員旅行には行かず写真も撮らなければ恐らくリュックの正体がバレることはないでしょう。せっかくならアニメの展開を輸入しても損はないのにそうしなかったということは、メインシナリオの正史としてはリュックをここで仲間として受け入れるような描写は避けたく、別の誰かを七人目の社員にする算段があったということかもしれないのです。
 

まとめ

 三人分の評価がまとまってきました。
 アニメ版の描写を信じるならば次にキボウカンパニーに加入するのはリュックであり、その素性も明らかになるのでしょう。信じないならばリュックはシナリオに矛盾を起こすだけで役にも立たないゴミカスの立ち位置に落ち着き、他の誰かが加入することになりますね。どちらにしてもキボウカンパニーに仲間を追加するという方針をいくらか感じ取ることができました。

 まあ仲間候補はまだいるので、筆者はそんなに満足していないんですけど。
 皆さんシャチバトの漫画版Twitter漫画版はちゃんと読んでますか? これは別物で、それぞれメインシナリオとは世界線が違うらしい物語が展開されています。いずれも無料で読めるので、ここまで来た皆さんなら分かってくださいますよね。
 メインシナリオとは共存できないこれらの作品ですが、小説版のようにメインシナリオより先行して公開されたりしていますから、メインに反映されなかった初期のアイデアを共有している可能性があるんですよ。余裕があればここから仲間候補を考えていっても良かったのですが、長くなる上にリュックに打ち勝てる要素がないので割愛します。
 読んでくれている皆さんは漫画版とメインシナリオとの繋がりを考えてみてください。シャチバト考察班はいつでも新たなメンバーをお待ちしています!

 筆者も皆さんが入ってきやすいように引き続きシャチバト世界をうろついていようと思います。
 ここのところ別作品と絡めての考察にかかりきりになっているので今後noteを出せるかは分かりませんがね。

いいなと思ったら応援しよう!