見出し画像

中国のポップミュージックとガールズグループ・Gen1es

日本から西へおよそ2000キロ。飛行機に乗れば3時間ほどで到着する、ユーラシア大陸の東側にある日本とは海をはさんだお隣の国、中国。正式には、中華人民共和国。外務省によりますと面積は、日本のおよそ25倍もある960万平方キロメートル。そこにインドに続いて世界で2番目に多い、およそ14億900万もの人が暮らしているそうです。そんな多くの人を抱える中国は最近、日本と同じく消費が低迷していると伝えられていますが、エンターテインメントの方はというとメディア『チャイトピ!』の'23年9月の記事によりますと・・・

消費低迷が続いていた中国の消費市場の状況とは対照的に、コンサートやフェス、映画市場が空前のブームを迎えている。(中略)
(2023年)上半期開催されたコンサートとフェスは合計で506件に上り、総観客数は550万人を超えた。興行収入は約25億元(約503億円)に達し、すでに2019年全年の興行収入半分を超えている。この勢いが続けば、今年中にコロナ前の水準を超える可能性が高い。
西安で開催された人気アイドルユニットTFBOYSの10周年コンサートは、4億元(約84億円)の観光収入をもたらすなど、人気歌手による経済効果は著しい。(中略)
中国は2023年、物価指数がマイナスに転じ、デフレの圧力が増し、若者の失業率も過去最悪を更新している。これらの厳しい経済環境が続く中で、なぜエンタメ市場が大盛況となったのか?この理由について、以下の要素が考えられる。
・体験型消費の回復:モノの消費が低迷しても、旅行やエンタメなど、コト(体験)に関する消費が回復の兆しを見せている
・政府によるコンサート市場の支援強化:コンサートやフェスなどの審査プロセスを最適化している
・コロナで延期されたコンサートの再開:延期となっていた多くのコンサートが開催され、これらが供給を急増

チャイトピ!『中国は消費低迷でもエンタメ市場は急回復、その理由とは?』 2023-09-13

TFBOYS 「最好的那年」&「喜欢你」 成年后合体跨年首秀

中国では最近、会いたかったアイドルを観に行ったりするのが人気らしいですね。そんな中国のポップミュージックですが、中華圏の音楽が専門の音楽評論家・関谷元子(せきやもとこ)さんの文献を、畑泥棒みたいにパクりますと・・・

作詞作曲家名が明らかであり、特定の歌手のために曲が書かれ、商業的成功を目指し作られた楽曲がポップスであり、その意味での中国ポップスの始まりは1920~30年代の上海というのが定説だ。(中略)
1920~30年代の準備期間を経て、1940年代は中国ポップスにとっての黄金時代といえる。音楽制作も進化し、最大の娯楽であるラジオ局も増え、スターが続々と生まれた。(中略)
1980年代になると、中国にも人気歌手が現れ音楽も多彩になり、華やかなシーンを作り始める。一方、ロックが北京で生まれたのもこの時期。

関谷元子『チャイニーズ・ポップの歴史と現状』

中国でポップスが、バブーと誕生したのは1920年から30年代みたいですね。では、C-Popとか呼ばれたりもするらしい中国のアイドルはその後、いつ頃に爆誕したのでしょうか?音楽評論家の小倉エージ(おぐらえーじ)さんによりますと・・・

90年代に入って、香港の人気歌手の中国への登場をきっかけにポップス・シーンが活性化しはじめ、北部では北京を中心にロックが、南部では広州を中心に香港や台湾の影響を受けたポップスが盛んとなり、93年頃から艾敬(アイ・ジン)などのアイドル歌手(中略)、が登場

『アジアンポップス事典』

1993年頃にアイドル歌手が登場、ですって。その後の展開を、中華圏の音楽が専門の音楽評論家・関谷元子さんは・・・

中国ポップス・シーンをひっくり返したのが、2004年に始まったアイドル・ソング・コンテスト番組だ。湖南衛星テレビの『超級女声』。視聴者が携帯メールで投票するシステムで、この番組が社会現象になった2005年の本選では1000万もの投票があったという。1位になったのはクリス・リー(李宇春)。それまで音楽業界が輩出してきた可愛い少女風ではない颯爽とした男の子のようなキャラクターで、今現在もトップ・アイドルであり続けている。この人気は音楽業界の既成概念を覆した。その後、男性スター誕生番組もでき、続々とアイドルが出ている

関谷元子『チャイニーズ・ポップの歴史と現状』

関谷元子さんが名前を挙げた中国のテレビ番組『超級女声』については、北京で出版する日本語総合月刊誌『人民中国』も、『4億人を熱狂させた 視聴者参加番組』という記事で”アイドルの誕生”という言葉を使用しています。

それではみんな大好き、グループのアイドルはいつお生まれになったのでしょうか?中国カルチャーを20年以上ウォッチしているライターで翻訳家の小山ひとみ(おやまひとみ)さんが、バカな全俺が泣いて歓喜する文字を読まなくていい、音声のラジオで教えてくれます。

アフター6ジャンクション 特集:中国アイドル入門特集!!by小山ひとみさん

えぇー・・・、お忙しい方が多いと思うので、無職で暇なアタシが代わりに泣き虫議員のポーズで聞いて、最近流行っぽい切り抜きで文字にしたいと思います!(9:07あたりから)

80年代頃から、改革開放になってモノがやっと入ってくるようになった。80年代・90年代の中国っていうのは、独自の自国のアイドルっていうのはいなかったんですよね。そんな中、香港とか台湾のアイドルが(中国)本土で活躍するようになった。もちろん、日本のアイドルっていうのも情報は入ってきていたという状況にあります。(中略)
2000年代に入っていくと、アイドルというより歌手とか俳優がどっちかというと人気の時代。(中略)
その後、アイドルグループって一応生まれるは生まれるんですけど、今みたいな露出もぜんぜん無い感じで、存在しているのかしてないのかの様な感じで進んでしまう。
そんな中、2014年頃から韓国でデビューしていた例えばEXOとか、SUPER JUNIORにも中国の方がいたんですけど、韓国から帰国されて中国の芸能界で活動を始めるのが2010年以降。そこでもともとEXOが好きだった人は中国にいっぱいいるから引き続きその人たちを応援する・・・、そうなると彼らが中国のエンタメを引っ張るような形になっていって、それで徐々にアイドルというモノが注目されていくようになる。
2013年デビュー、中国初のアイドルTFBOYS) 初と言ってしまって「いやオレたちデビューしていたよ」と言われるとアレなんですけど・・・。なんで”初”といっているかというと、デビューしても長く続くグループがいない、TFBOYSは2013年10月にデビューして今もグループ活動しています。5年以上、(中国)本土で続いて成功している純国産、中国のアイドルっていうのが正直いなかった、それが彼らが第一号だろうって関係者からの話で言っていましたね。(中略)
彼らが所属している事務所っていうのが、ジャニーズ事務所を手本にしているっていう話はありますけど。その事務所がトレーニングをして育てたアイドルのグループですね。

アフター6ジャンクション『特集:中国アイドル入門特集!!by小山ひとみさん』

漢 a.k.a. GAMIさんばりに、とうとう来たなこの時が!2013年に、中国初のアイドルグループ、TFBOYS(ティー・エフ・ボーイズ)がデビューですって!2023年に10周年コンサートを行ったと冒頭に出てきたTFBOYSが、結成した2013年にリリースしたデビューアルバム『Heart梦·出发』のたぶんタイトル曲のMVが、YouTubeにありました。

TFBOYS 「Heart」 官方完整版 MV

ちなみに”純国産”でなければ、AKB48の姉妹グループで、中国最大の都市・上海を中心に活動する女性アイドルグループ、SNH48は中国のオンライン百科事典『百度百科』によると、2013年1月にデビューですって。

SNH48 「化作樱花树」 MV正式版

専門家の方それぞれでゲトッた情報やアイドルの定義とかに多少の違いはあるのですが・・・、中国で”アイドル”が誕生したのは早くても1990年頃、アイドルグループは2013年頃みたいですね。世界的に人気のアイドルグループやポップミュージックのグループですが、中国ではまだ10年くらいしか歴史がないみたいです。

そんな中国発の、新しいアイドルグループがデビューするみたいです!それが・・・。

Gen1es 「LUCKY BELL」 PRE-DEBUT SONG
中国のテンセントが運営するWeTVのアイドルオーディション番組『Chuang Asia: Thailand』で選ばれたメンバー9人で、2024年4月に結成されたガールズグループ、Gen1es(ジニーズ)。そのGen1esの、プレデビュー曲が光の速さでキました!所属は、中国のRYCEエンターティメントだって。メンバーは、中国出身のQIAO YI YU(イーユー)さん・WANG KE(ワンクー)さん・XUEYAO(シェヤウ)さん・EMMA(エマ)さん、タイ出身のPAILIU(ぺリウ)さん・YEAN(イェン)さん、日本出身のRUAN(ルアン)さん、マレーシア出身のELYN(エリン)さん、台湾出身のDIDI(ディディ)さんで、9人組のグローバルアイドルグループ。
プレデビュー曲は、韓国の音楽プロデュースチーム・MonoTreeのソングライターに加えて、作詞に日本のMayu Wakisakaさんが参加しています。ナイジェリア発の音楽・アフロビーツを軸に、ラテン音楽やジャマイカ発の音楽・ダブ、アメリカ発の音楽・トラップとかを加えた感じでしょうか。歌詞はぜんぶ英語で、”あたしに幸運と輝くターンがきた あたしの夢もバイブスも誰も止めらんない クイーンになるから”的なことを歌っているみたいです。Videoはメイキング的な映像ですね。中国のニュースメディア『腾讯新闻』によると、Gen1esは、異文化や東洋のリズムと世界のポップミュージックの要素を組み合わせることが活動のテーマにあるっぽいですよ。

Gen1esは、純中国産のグループではありませんし、ウィキペディアによると活動期間もデビューから3年の限定らしいです。それでもGen1esのこれからの中国圏を超えた活動&活躍で、まだ始まって10年ほどの中国のアイドルグループ&ポップミュージックグループのシーンに、新たな道やグループができると良いですね!刑務所のアイドルとか、隠し子が2人いるアイドルとか。