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大谷川砂防タキガダン堰堤
2025年1月18日(土)
珍しく晴れている。心なしか気温も高いような気がする。こんな日に出かけなくていつ出かけるのかという強迫観念に駆られる日である。
しかしながら、午前中は歯医者に行かなければならず、夕方の6時からはちえなみきで読書会である。無限に時間があるわけではない。どうしたものか。そんなとき歯医者から電話がかかってくる。「先生の手が空きましたので〇〇さん(インローのリアルネーム)さえ良ければ早くお越しになりませんか」渡りに船である。10分後に行きますと返事して(虚しい努力かもしれないが)歯を磨いてから歯医者に行く。
予定より30分早く治療が始まり30分早く治療が終わった。家に戻り、出かける準備をする。こんな日はもう石積堰堤を見に行くしかない。モンベルのストームクルーザーとクライミングパンツ、ワークマンの防水フェストブーツ、どこかの中華ブランドのトレッキングポールを準備する。さてどこに行くか。例によって例の地図「図ー7 砂防パークづくりマップ」を参照する。一か所だけ未訪問のところがある。大谷川砂防だ。
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図中右上に位置する高倉谷川砂防については、すべての堰堤を見たわけではないので、いずれ再訪予定である。しかし広範囲に渡っていて探索には時間がかかることが予想され、また車の入って行けるところでもなさそうなので徒歩に頼るしかない。後日(というより雪解け以降)に期すところとする。
自宅から国道476号を通って、南越前町久喜へと向かう。久喜集落のもっとも山際にある正行寺(しょうぎょうじ)というお寺の前の広くなったところに駐車させてもらう。雪解けの水が路面を勢いよく洗い流している。その水量にちょっと驚く。
ここからは川沿いの林道を行くが、雪がこんもり積もっておりとてもではないが車は使えない。ブーツを履いて徒歩で挑む。人やら鹿やらその他不明の動物のも含まれているかもしれない踏み跡を歩く。踏み跡の範囲を外れると膝下までずぼっと雪に嵌まる。最初の方こそ正確に踏み跡の範囲を歩くが、そのうちふらついて何度も雪面を踏み抜く。運動不足による体幹の脆弱化がこんなところで影響する。
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堰堤の地図記号があるが、はたして…
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ちょっと歩いてみたが、バランスを失って落ちそうでとても無理
トレッキングポールを出して使用するが、結局トレッキングポールも雪面を抜くだけでありあまり役には立たない。ポールの先のアタッチメントを雪用に交換しておけばよかったのかもしれないが、川の渡捗時に使用することを想定して持ってきたものであるのでやむを得ない。それでもないよりはマシであるのでトレッキングポールを使用して歩いていると、雪面にずぼっと刺さって変な力がかかって曲がってしまった。多少曲がってしまっても、伸縮させることができなくなるだけで、トレッキングポールとしての使用には支障がないのでそのまま歩いた。
大谷川の侵食作用によってできた谷底を林道が走っており、左右には急斜面がそびえている。絶えず鹿の鳴き声がして、声のする方を向くと斜面の上に鹿がいる。複数の鹿が声を掛け合っている。ぴょんぴょん跳梁跋扈して、高いところから僕を見下ろして(見下して?)いる。白いお尻が可愛いと言えなくもないが、僕の目的は鹿ではないので、だんだん無視するようになる。
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距離にして1㎞程度だとは思うが、そんな状況であるので目的地までは40分ほどかかった。大谷川と支流の合流地点から、支流を少し遡ったところに石積堰堤はあった(現地で見る限りではどちらが大谷川本流でどちらが支流なのかは判然としないが、国土地理院地図には支流の存在は描かれていなかった。地図上に描かれている方を大谷川本流、描かれていない方を支流と措定する)。事前の参考資料は例によって田中保士氏のレポートだが、しかしレポートに掲載された写真と、目の前の石積堰堤が同じものとは思えなかった。実物は、なんというか堤体の高さが低い気がしたのだ。とはいえ、レポートに示された略図と位置はだいたい一致しており、もしや他にもあるのかと思い探してみたがそれらしきものも見当たらないので、やはりこれかと判断せざるを得ない。帰宅してから再度レポートを読むと「堤体には雑木が生え、特に天端では高木となって倒木し、石積みが崩壊しています。雑木を伐採し、流木を取り除き一部石積を整備する必要があります」とある。レポートの日付は2006年5月16日とあり、堤体が崩れるのには十分すぎる年月が現在までに流れている。現地で撮ってきた写真を見ると、堤体の下に積まれていたであろう石が転がっているようにも見える。現物を見たときには縄たるみだと思ったのだが、自分の撮った写真を見返し、田中さんのレポートの写真と見比べると、縄たるみにしてはこれまで見てきたものより凹みすぎている気がした。はじめて「焦り」のようなものを感じた。もう少しよく調べてみたいと思ったが、雪解け後の方がよいように思われた。焦ったところでどうしようもない。
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さて、ここからどうアプローチするか
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支流や堰堤は筆者が書き込んだ
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瓦解してしまったか…?
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田中さんのレポートでは「大谷川砂防タキガダン石積堰堤」と記載されている。「ダン」はおそらく「谷」の字だ。レポートが作成された当時の状況は不明だが、現在は石積堰堤の少し下流側にコンクリートの小さな堰堤が造られている。脇道から見るのは割とたやすいが、やはり正面から見てみたいので、川面に下りて左右の岸に交互に渡捗しつつ堤体に近づく。トレッキングポールが大活躍した。しかしながら途中でよろけて、身体を支えるために思いっきり右手を水面に突っ込んでしまう。濡れたのは右手だけで済んだが、手袋がびしょびしょになり、これ以降は右手は素手である。
雪のせいもあって、コンクリートの堰堤の手前まで来るのが精一杯であった。他に道はあったのかもしれないが、雪に覆われてよくわからない。とりあえず満足して、春にまた来ようと思う。
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手前にコンクリート堰堤が鎮座している
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このあたりでよろめいて川の中に右手を突っ込む
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やはり崩壊してしまっているように見える…
林道を戻るときに、もう一つ小さな堰堤のようなものを見つけた。上記合流部分から少し下流のところ、人工的に石を積んだように見えるが、いつ頃造られたものか分からない。石を積んだだけかもしれないし、コンクリート等で補強してあるのかもしれないが、なんせ水量が多すぎてよく見えないのだ。もういいやまた見に来ようと思って、その場所を後にする。探索開始が13時10分、車に戻ってきたのが15時頃であった。軽い気持ちだったのが、案外時間を使ってしまった。
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その後、車で10分ほどのオリオンベイクへ。天気がよかったのでほぼ満員だった。コーヒーとチーズケーキで休憩し、帰敦した。
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帰宅してから、田中保士さんの別のレポートを見つけたので読んだ。「未来に継ぐアカタン砂防エコミュージアム」というタイトルで、日本エコミュージアム研究会というところの機関誌『エコミュージアム研究』のNo.24に掲載されている。発行は2019年12月。おお!これまでの資料でもっとも新しい!
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そのレポートの中に、これまで手書きであった例の地図が、分かりやすく描き直されていた。そして、その地図の右上の方を見て我が目を疑った。
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今日で一通り回ったはずなのだが…
「芋ヶ平砂防」…?
増えとるやんけ!また行かなきゃ…
※Instagramには多少の動画も載せています。よろしければそちらもどうぞ。