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有漏神社再訪

 2025年1月5日。年末年始9連休の最終日。珍しく晴れている。どこかに出かけたくなった。非常に感覚的な話ではあるが、先月訪れた有漏神社に呼ばれている気がした。初詣は前日に既に済ませてしまっているものの、別に一度しか行ってはいけないわけではない(ただし「初」詣ではなくなる)。正月のこのタイミングが再訪するには相応しいような気がして、だんだん今でなければいつ行くのだという気がしてきた。前回訪問時(2024.12.15)の記録は以下のとおり。

 先日の訪問以降有漏神社についていろいろ調べるうちに、もっと気軽に行けるのではないかと思うことが複数出てきたのだ。まず山道の入口についてだが、前回は西野水道の駐車場に車を置いて、少し北のところから金網のゲートを開けて山道に入った。急登で山塊の尾根道へと出るのだが、その尾根道も結構アップダウンが激しいのだ。ところが現地の状況を国土地理院地図などでよく確認すると、前回の山道の入口よりさらに北に尾根道へ出ることができるルートがあるらしいのだ。このルートで行けば、途中越えるべきピークを一つパスすることができる。

今回の山道への入口は、前回ルートのさらに北側にある

 断っておくが、僕は山登りが好きなわけではないしそもそも歩くのがそんなに好きなわけではない。できるだけアップダウンを減らしたいし歩行距離を減らしたい。この前提を基にルートと手段を考えていることをご承知置き願いたい。おそらく、アップダウンを減らすという意味では、賤ケ岳のリフトを使って山頂まで行き縦走で南下するのが最善だが、賤ケ岳のリフトは11月中旬から4月中旬までは営業をしていないため使わない(使えない)だけである。一度検証する必要はあると思っているが、賤ケ岳リフトを利用するプランであっても、有漏神社に至るまでには少なくともピークを二つ越えなければならず、また有漏神社を参拝して賤ケ岳に戻ることを考えれば、歩行距離の点でも本稿におけるプランと比較してそこまで有利かははなはだ疑問だ。有漏神社参拝後そのまま西野水道方面に抜けることもできないわけではないが、その場合賤ケ岳山麓に駐車したであろう車などをどのように回収するかという別の問題が生じる(折りたたみ自転車をデポするなどといったプランも考えられるが複雑を極めるだろう)。

 ルートの話をもう一つ。前回、往路は尾根道を有漏神社の北側へ回り込みながら琵琶湖畔に下り、復路はそのまま湖岸を南下したが途中岩礁に阻まれ琵琶湖に落ちそうになりながら苦労して越えた。ウェブで他の人の訪問記録などを見ていると、岩礁を高巻きして有漏神社の背後に出る道があったらしく、それらしき写真も掲載されている。写真を見ればそこに道があることは明白なのだが、岩礁を越えて疲労困憊で歩いていた僕はそれに気づかなかったのだ。復路だからその高巻きの道に背中を向けていて気づかなかったというのもある(逆に、往路にこの道を採用していれば高巻きの道に絶対に気づいたはずなのだ)。その事実に気づいた僕はどうしようもなく悔しくなり、近いうちにリベンジしたくなったのだ。
 この湖岸を通る道は、先述の岩礁以外は歩きやすく、山の中に入ってもアップダウンがゆるやかで、高巻きの道があれば最強最短のアプローチになるはずなのだ。これは行って確かめねばなるまい。

西野峠を北に下りてきたところの十字路
緑の矢印は前回ルート、赤の矢印は今回のルートだ

 身支度をして車に乗って出かける。途中スタバに寄って魔法瓶に温かいコーヒーを入れてもらう。敦賀駅前に寄っても西野水道の駐車場まで車で40分ほどだ。天気が良くて気持ちがいい。こんな日が次に訪れるのがいつかはまったく分からないので、今日出かけなければ長く後悔することになったことだろう。
 西野水道の駐車場に車を置いて、山道の入口まで歩く。前回の入口よりさらに北に、平坦な道を歩く。歩いていて面白くもなんともないが、アップダウンのきつい尾根道よりはマシか。
 山道の入口に到着。前回同様「開放厳禁」と書かれた柵の扉を開けて山道へ入る。登り口から急登が始まるが前回ルートより道幅が広く、なんなら車の轍があって、道としてはずっと歩きやすい。そして距離も短くあっけなく尾根道へ出た。道を登り切ったところに軽トラが置かれていた。つまり普段から車が通っている道なのだ。ここの十字路まで、前回と比べると実に簡単に来ることができた。

山道に入ってすぐ
前回ルートよりずっと歩きやすく、なんなら舗装されている(途中までだが)
誰かが忘れた帽子。ちなみに前回訪れたときもこの状態だった
山塊の尾根の十字路。阿曽津千軒方面へ向かう

 ここからは阿曽津千軒へのなだらかな下り坂の道だ。前回ルートの復路で既知の道である。ときおり琵琶湖が見える木々の間を歩き、石垣や石垣を構成していたであろう石が散らばっているところに辿り着くと阿曽津千軒だ。ここから湖畔に出て、岩礁を高巻く道さえ見逃さなければよい。

阿曽津千軒へと続くなだらかな下り道
ほとけさんが彫られているっぽいがよく見るとよくわからない
まるで仏像のような置かれ方をしている
ときおり琵琶湖が顔を覗かせる
阿曽津千軒集落跡の石垣
阿曽津千軒から湖畔へ出る
すっくと立つ木が美しい

 お天気も良く鼻歌交じりに歩いていると、左にゆるやかに湾曲する湖岸の先端に、前回越えるのに非常に難儀した岩礁が見えた。そしてそのずっと右側に、岩礁を避けて高巻く道の存在がはっきりと見えた。いくら背を向けていたとはいえ、この湖岸を歩いているときに一度でも振り返っていれば、絶対に気づいたであろうはっきり度合いだ。むむむこれは悔しいなと思いつつも、ちゃんと道を見つけられたことに安堵して嬉しくなって歩を進める。

もう道は見えているのだ
上の写真でもうお分かりかと思うが一応念のため

 件の道に取り付き登り始める。急登であり、以前は木材等で階段を設えていたであろう痕跡が認められる。その後整備の手が入らずに荒れてしまい、かえって歩きにくくなってしまっているが、琵琶湖に落ちる危険を冒して岩礁を越えるよりはずっとマシだ。登り切ったところで振り返ると、湖北の美しい風景が目に飛び込んできた。

岩礁回避ルートを登る
振り返ると美しい光景

 道を登りきると再び木々の間に入り、道そのものは分かりにくくなるが、ルートを示す目印のリボンが木に結び付けられており、なにより有漏神社の拝殿・本殿の後ろ姿がもう見えている。急斜面で滑りやすいが注意して進めばどんなルートでも有漏神社に辿り着くことができる。ということで無事有漏神社に到着した。前回と比較すると、かなり簡単に来られたように思う。

有漏神社の拝殿・本殿の後ろ姿が見える
さらに近づく

 二礼二拍手一礼で参拝し(鈴緒はあるものの賽銭箱が置かれていない)、鳥居をくぐって湖畔へ出た。釣り人が、北側に二人、南側に一人見えた。鳥居の石段に腰掛けて、魔法瓶のコーヒーを飲む。さざ波の音や水鳥の羽ばたきなど、結構賑やかだ。

有漏神社拝殿。新しい鈴緒が付けられている
琵琶湖を見つめる狛犬
参道下から狛犬を見る
琵琶湖を間近に臨むこの角度が好きだ

 寒くなってきたので、身体が冷えない内に再び歩き出す。来た道を戻るだけであり、とくになにも考えず、風景を楽しんで歩く。何の苦労もなく西野水道に帰還する。

お日さんが出てあたたかい。しばらく座ってぼんやりする
スタート地点に戻る
冠雪した伊吹山が見える


【所要時間】 ※往復にかかるもの
(前回)2時間41分(今回)1時間56分 →45分の短縮
【歩行距離】 ※山道を歩く距離。山道入口までのアプローチは含まない
(前回)5.9km(今回)4.1km →1.8kmの短縮
【獲得標高】 ※往復にかかるもの
(前回)441m(今回)250m

前回(2024.12.15)の行程
今回(2025.1.5)の行程

 行程に関して大幅な短縮をみることができた。達成感と満足感。

※Instagramには多少の動画も載せています。よろしければそちらもどうぞ。

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