なぜチェイサーゲームWは多くの人を惹きつけたのか②【深夜ドラマのレベルを超えた出演者、制作者の本気】
深夜ドラマのレベルを超えた出演者、制作者の本気
【W主演の菅井友香さんと中村ゆりかさんの本気】
まず、このドラマを見て一番最初に心を奪われたのは、お2人の演技です。春本樹を演じる菅井友香さんと林冬雨を演じる中村ゆりかさんの本気に惹きつけられました。際どいシーンが沢山あるとか、そういうことじゃないんです。でも、まるで画面から媚薬でも出ているかのように、気がついたら夢中になっていました。本気は画面から伝わります。主演のお2人の熱量が相乗効果で化学反応を起こし、ここまで多くの人を惹きつけるドラマになった。
さらに、お2人の役としての相性の良さが樹と冬雨の関係性をより魅力的にさせたと思います。もちろん、ビジュアルの相性や役のイメージに合っていることからキャスティングされています。ですが、お2人にはそれを超えた相性の良さがありました。
言葉や理屈じゃない。日本だけでなく海外の人までも夢中にさせている理由は、ここにあると思います。私はそう感じました。誰かの思いが異常に強い時、奇跡的な現象が起きることがある。それが今回、発動したんだと思います。
そうじゃないと説明がつかないんです。こんなに深く自分の中に樹と冬雨が入ってきて、感情を持ってかれて、日常生活すらままならなかったあの期間。自分の深い部分にしまっていた気持ちまで呼び起こさせる力。菅井友香さんと中村ゆりかさんには、その力がありました。
SNSでは、今でもお2人の演技について多くのファンが語っています。演技についてはここでは詳しく話したくないのです。とにかく見て感じてほしいのです。前半から飛ばす中村ゆりかさんと、後半にかけて、たたみかける菅井友香さんの演技に注目してください。
【漫画「チェイサーゲーム」原作者、松山社長】
そして、他にもこの作品への思いが強いと感じる方がいます。サイバーコネクトツーの社長、松山洋さんです。ゲーム制作会社の社長であり、ゲーム業界の内情を描いた漫画「チェイサーゲーム」の原作者です。漫画「チェイサーゲーム」はドラマ化され、そのドラマの続編が「チェイサーゲームW」です。この「チェイサーゲーム」のドラマ化は松山社長自身が自ら売り込んだ結果、実現したことだそうです。
「チェイサーゲームW」は舞台が漫画「チェイサーゲーム」と同じゲーム制作会社ですが、ストーリーは完全オリジナルです。そして松山社長は原作者としてドラマの脚本や企画に携わっています。松山社長はゲームや漫画、アニメに精通しています。そのようなカルチャーの要素が「チェイサーゲームW」には入っていると思います。
ちょっといいですか。今、何回「チェイサーゲーム」って言ってるんだよと思いましたよね?ごめんなさい。何度でも「チェイサーゲーム」って言いたいだけなんです。続けます。
例えばドラマに登場する劇中漫画「天女世界」。この世界観がドラマの主人公の2人になぞられています。漫画「天女世界」は、ずっといがみ合っている白天女と黒天女が登場するという設定です。その2人の天女のイメージが、樹と冬雨の関係性や衣装にも反映されています。
このように「チェイサーゲームW」はオリジナルストーリーでありながら、設定や衣装に漫画やアニメ、ゲームの要素が散りばめられています。このことは、そんなカルチャーに親しんでいる人たちが、このドラマに惹きつけられた理由にもなっているように思います。
松山社長は、ドラマが放送している期間にXやnoteでこのドラマの楽しみ方を発信していました。樹や冬雨の魅力。樹のこういうところ魅力的だよね。冬雨のこういうところが愛おしいよね。この2人のこういう関係が好き、と。
ドラマを見始めた頃、私はとまどっていました。樹と冬雨の関係の尊さを感じてはいたものの、女性同士のそれをはっきり言葉にしてよいものか。言ってもあまり共感されないのでないかと。でも松山社長がはっきりと言ってくれました。こう楽しんでいいんだよって。原作者がそう言うならバカデカボイスで叫んじゃおうじゃないかと。樹と冬雨が尊すぎるー!!!!と。そこからは遠慮せずにポストするようになりました。
松山社長は他にもドラマ放送期間中に、様々なイラストレーターによるドラマのイメージイラストを提供したり、ファンのコメントに、いいね!したりと、積極的に発信していました。そこからも「チェイサーゲームW」を盛り上げようという強い思いを感じました。
そして、
樹と冬雨を生み出し、「尊い」を量産したのが、このドラマのプロデューサーの中村晋野さん、監督•脚本の太田勇さん、脚本家のアサダアツシさんです。
脚本作りも松山社長を加えた4人で進めたそうです。男性中心でこの尊いを作りだしたんですね・・・すごいチームです。
そして樹と冬雨をカタチづくってくれたアサダさん。当初、冬雨は日本人の設定だったそうですが、日本人以外の方が物語に奥行きがでるとの理由から、中国人に変えたことで、中村ゆりかさんが冬雨を演じることになったそうです。そのことによって、樹は菅井友香さん、冬雨は中村ゆりかさんにキャスティングされるという奇跡がぁぁ!!!ありがとうございますアサダさん!!!!
アサダさんもドラマでは描ききれない二人の関係を補足するようなポストをXで発信してくれていました。それによってさらに二人の尊さが強化されていきました。
脚本も担当している太田監督は、樹と冬雨のいきつけのカフェでの2人のやり取りをアドリブで追加したとか。パフェを食べさせ合うかわいいシーンや落ち込んでる冬雨を笑顔にさせたくて樹が氷をガリガリするシーン。そんなかわいい2人を生み出してくれました。
「チェイサーゲームW」のキービジュアルは白天女の樹と黒天女の冬雨が向き合っていて、左に中村さん右に菅井さんという位置になっています。しかし、9月にスタートする「チェイサーゲームW2」のキービジュアルは同じ白天女と黒天女でお2人が見つめ合っているのですが、左に菅井さん、右が中村さんという前回とは逆の位置になっています。これには理由があって、「チェイサーゲームW」の撮影の途中、カメラマンの藤本さんが気づいたそうです。菅井さんは右顔、中村さんは左顔の方が安心してると。それぞれ好きな顔が逆なのではと。
それ以降、2人が安心しているほうが良いシーンの時は「左に樹、右に冬雨」。逆に不安感を出したい時は「左に冬雨、右に樹」として撮影したそうです。演技する際の心理まで配慮する、この細かいところまでこだわる姿勢こそ、お2人の魅力がさらに爆発した理由なのではないでしょうか。カメラマンの藤本さんありがとうございます!!!!そして、それぞれ安心する向きがシンメトリーであったという事もお2人の奇跡的な相性の良さだったのかもしれません。
すっかり話がそれましたが、このドラマは出演者と制作者であるプロデューサー、監督、脚本家、原作者をはじめ、関わった多くのクリエイターの深夜ドラマのレベルを超えた本気が生み出した奇跡です。その奇跡が新たな日本のGLドラマのカタチを創ったのは間違いありません。
このあと、その作品の魅力を書いていきますが、もう長くなる予感しかしません。