間接キス(R-18)
僕が大学4年生の頃、サークルの同期と卒業旅行をすることになり、アメリカ西部を中心に6泊7日の旅行をしました。これは旅行中にラスベガスの夜のお店に行った時の話です。
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僕が所属していたサークルはスキーサークルで、卒業旅行には男子4人、女子3人の計7人で行きました。旅程はざっくりとラスベガスに4日滞在してカジノとグランドキャニオンを、ロサンゼルスに2日滞在してハリウッドとユニバーサルスタジオを見て回るというものでした。
まだ若かった僕たち同期男子は、ラスベガスという大人の街に強烈な憧れを抱いており、カジノで遊ぶだけでなく、どうにか女子の目を掻い潜って夜のお店に行くことを企てていました。とはいえ、慣れない海外で経験の浅い僕たちがガッツリとした夜のお店に行くのは流石に躊躇われたため、ポールダンスとストリップショーのお店に狙いをつけて行くことにしました。
そしてその日はラスベガス滞在3日目となりました。夕方頃にカジノの噴水ショーを同期全員で鑑賞した後、僕たちは女子3人に向かって「ちょっと夕飯まで別行動しない?そっちも女子だけで買い物とか回りたいだろうし。」という非常に不自然な切り出し方をして男女で別れて行動する時間を作り出しました。
それから僕たち4人は限られた時間を無駄にしないためにも急いで夜のお店【ダイヤモンド(仮)】に向かいました。
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事前に調べた情報では【ダイヤモンド(仮)】は観光客や女性客も多く入るというクラブに近い雰囲気のライトなお店で、システムとしては入場料を支払って入るとテーブルに案内され、そこでお酒を注文して飲んでいるとお店の中央のステージに露出度の高い格好の女性が出てきてポールダンスを披露してくれるというものでした。さらに店内をランジェリー姿の女性が巡回していて、その人たちに声をかけたりかけられたりして、客が気に入ったら個別にお金を支払うことで別の場所に連れて行ってもらい、下着を外して目の前で踊ってくれるというものでした。
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【ダイヤモンド(仮)】に着くと、入場待ちで既に何人か現地の若者が並んでいました。若者の一人がこちらに気づいて英語で「お前らゲイのくせになんでこんなとこ来てるんだ?」というような煽りをしてきました。普段であれば外国人(この時は僕たちの方が外国人でしたが)に煽られたら適当に愛想笑いしてその場を凌ぐところでしたが、初の夜のお店、しかも海外ということもありテンションがおかしくなっていた僕は
「We are not Gay!!」と言いながらその若者のお尻を鷲掴みにし、撫で回しました。
若者グループにはややウケていました。それもあってかその後彼らに絡まれることはなかったです。
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その後、自分たちが入場できる番になり入場料支払いのカウンターに進むと店員が「Did you walk?(歩いてきましたか?)」という質問を僕たちにしてきました。おそらく駐車場やタクシーの利用を確認したかったのだと思います。そこで、サークルの幹事長で責任感の強いS君が僕たちを代表して
「No, We're student.(いえ、学生です。)」
と答えてくれました。意味不明でしたが、どうやら「walk(徒歩)」を「work(仕事)」と聞き間違えたらしく、仕事で来てるのではなく学生の旅行で来ていると伝えようとしたようです。ちょっとだけ足手まといだなと思ってしまいました。
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なんやかんやあって無事に入店できましたが、どうも夕方の時間はまだ本格的に営業が始まっているわけではなくポールダンスは見れないようで、店内の女性も片手で数えられる程度でした。
個別に女性にお金を支払ってダンスを披露してもらうほどの勇気がなかった僕は、仕方なくただただお酒を注文して飲んでいました。すると、一人の女性が営業をかけに僕たちのテーブルに来ました。年の頃は30中盤以降といったところでお世辞にも綺麗ではなく僕はスルーしていました。ところがその女性の営業の押しがだいぶ強く、あれよあれよというまに幹事長のS君と副幹事長のT君が女性に手を引かれてテーブルから連れ出されてしまいました。御愁傷様でした。
テーブルには僕と同期のK君が残されました。K君もだいぶ押しに弱いお人好しの人間ですが、運よく先ほどの女性のターゲットから逃れられたようです。
と思ったのも束の間、また別の女性が来て今度はK君を連れて行ってしまいました。その女性は先ほどS君とT君を連れて行った女性よりもだいぶ若く、まただいぶ綺麗だったので、K君はラッキーだったなと思いました。
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一人取り残されてしまい手持ち無沙汰だった僕はテーブルに座ったまま少し店内を見渡しました。すると、6~7つほど離れた店内の端っこの方のテーブルに先ほど連れ出されたS君とT君、女性がいるのが目に入りました。やや遠かったのですが、よく目を凝らしてみると、T君がソファに座っている上に女性が上半身裸で跨っており、T君の顔を自分の胸に押し付けていました。そしてS君はそれを向かい側のソファで眺めるというような構図になっていました。
好奇心が湧いた僕は、3人がいるテーブルの近くにお手洗いがあったため、そこに行く体でもう少し近くで見てみようと思いました。テーブルに近づくと、T君が赤ちゃんのごとく母性の象徴に吸い付いており、それをS君が無表情で眺めているのがハッキリと見て取れました。あまりまじまじとその場で見つめている訳にもいかないので僕は元いたテーブルにそそくさと戻り、再び3人がいるテーブルを遠巻きに眺めました。やがて女性がおもむろに立ち上がってT君の上から退くと、今度はS君の上に跨り出しました。
僕は(リレー方式なの?!!)と驚愕していましたが、おそらく一番驚いていたのはS君だと思います。あまりにも居た堪れないので、その先は目を逸らしてなるべく視界に入れないようにしました。
それから約10分後、S君とT君が解放されて戻ってきて、さらに約10分後にK君が戻ってきたので4人で店を後にしました。戻ってきたときのS君は目に光がなく、テンションが通常時の3段階下降状態でした。30代中盤のあの女性は儲けが欲しいために一人で2人を相手にしようとしたようで、T君が吸った母性の象徴を直後にそのままS君に押し当てるという形になってしまいS君が割りを食っていました。2人とも数千円という安くない同じ金額を払っていたのに酷い話だと思います。
ちなみにK君はガッツリ2万円ぼったくられていました。
こうして全員に忘れられない記憶が植え付けられて卒業旅行前半が終わりを迎えたのでした。
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