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「二度目の告白」


彼女の名前はアユミ。クラスでも目立つ存在で、金髪に透き通る肌が一際目を引くギャルだ。

アユミは見た目だけじゃなく、性格も明るく積極的で、誰に対してもフレンドリー。しかし、彼女が特に気にかけているのは、僕だった。

僕は、どちらかと言えば陰キャ寄りの存在。教室の隅っこにいるのが落ち着くタイプで、クラスメイトともほとんど話すことはない。そんな僕に、なぜかアユミはよく話しかけてくる。


「今日はどんな本読んでるの?」

彼女が毎日のように僕の席に来るのは、もはや日課のようになっていた。

「…別に普通の小説だよ。」

小さな声で答える僕に対して、アユミは無邪気に笑う。彼女の笑顔を見ると、つい心が落ち着くのがわかる。とはいえ、僕は彼女のような派手なタイプとはまったく縁のない人間だと思っていた。


そんな日々が続く中、学校の終わり、アユミから突然メッセージが届いた。

『ねぇ、今日放課後に会える?話したいことがあるの』

彼女が何を話すつもりなのか、僕にはまったく見当がつかなかった。ただ、胸の奥で高鳴る鼓動が止まらない。僕なんかに、アユミが真剣に話したいことがあるなんて思えない。

僕は放課後、教室の裏手にある小さな公園へ向かった。そこは人通りが少なく、静かな場所。アユミはすでにベンチに座り、スマホをいじっていた。


「あ、来た来た、こっち!」

彼女は手を振って僕を呼び寄せる。僕は少し躊躇いながらも、彼女の隣に腰を下ろした。

「何、話したいことって…?」

「実はさ、ずっと君のこと、気になってたんだよね。」

アユミは軽く微笑んで、さらっと言ってのけた。

「え…僕のこと?」

「うん、ずっと。なんかさ、クラスで目立たないけど、そういうとこが逆にカッコイイって思ってたの。周りに流されないで、自分を持ってる感じ?」

僕は言葉を失った。そんな風に思ってくれる人がいるなんて夢にも思わなかったからだ。

「…なんで、僕なんかにそんなこと…」

小さな声でつぶやく僕に、アユミはさらに距離を詰めてきた。

「ねぇ、もっと自分に自信持ってよ。私、君のこと、好きなんだよ?」

彼女の言葉が頭の中でぐるぐると回り続ける。まさか、あのアユミが僕に告白してくるなんて信じられなかった。僕はどう返事をすればいいのかもわからず、ただ混乱していた。


それから数週間、アユミは以前にも増して積極的に僕に接してきた。休み時間には必ず僕の席に来て、一緒に過ごすようになった。最初は周囲の視線が気になったが、次第にそれも気にしなくなっていった。

ある日の放課後、僕は再びアユミに呼び出された。場所はいつもの公園だったが、彼女の顔つきはどこか真剣だった。

「今日は本気で話があるの。」

彼女の声はいつもの軽いトーンではなく、少しだけ緊張しているように聞こえた。

「実はね、私、今度アメリカに行くことになったの。」

「アメリカ?」僕は驚いて彼女を見つめた。

「うん、家の事情でね。でも、どうしても言っておきたくて。」

僕の胸は一瞬で締め付けられるように痛んだ。彼女が遠くへ行ってしまうことが信じられなかった。

「だから…これが最後のチャンスだと思って、ちゃんと言うね。」
「私、やっぱり君のことが好き。遠くに行っても、ずっと忘れられないと思う。」

アユミの言葉が胸に突き刺さった。彼女がこれまでずっと本気で僕のことを想っていてくれたなんて、まったく気づけなかった自分が恥ずかしかった。

「でも、僕なんか…君に釣り合わないよ。アメリカに行ったらもっといい人に…」

「そんなことない!」アユミは僕の言葉を遮って強く言った。
「君だからいいの。君じゃなきゃダメなの。」

彼女の真剣な表情を見て、僕は言葉を失った。こんなにも自分を想ってくれる人がいたことを、僕はずっと信じられなかった。でも今は、彼女の気持ちが痛いほど伝わってくる。

「ありがとう、アユミ。でも、僕も…ずっと君のことを好きだった。陰キャだから、言えなかったけど。」

僕の告白にアユミは驚いたような顔をして、すぐに柔らかく笑った。

「そっか、ならよかった。これでスッキリしたよ。」

彼女は笑顔を見せたが、その瞳は少し潤んでいた。


それから、アユミはアメリカへと旅立った。彼女がいなくなった後の学校生活は、やけに静かに感じた。でも、彼女との思い出は僕の心にしっかりと刻まれていた。

彼女の積極的な言葉と、僕を変えてくれたあの笑顔。そして、いつか再び会えるかもしれないという淡い期待。アユミがくれたものは、僕にとって大切な宝物だった。


「二度目の告白」

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