FF12のジャッジマスターの名前を考察してみた

突然ですが各ジャッジマスターの名前の由来を考察してみました。
きっかけはTwitterで

「ジャッジマスターの名前ってみんなスで終わるけどベルガだけ違うな~」

というつぶやきを見たことです。

接尾語は「ス」と発音するものが比較的多いので、おそらくは接尾語が関連しているだろうと予想しました。
私は予想したら検証したいタイプの人間なので、少し調べてみました。

インターネット上の情報のみをソースにしているので、間違った情報が混じっている可能性があります。
あくまで解釈の1つの可能性として、ご了承のうえでお読みください。

各ジャッジマスターの綴りは海外のWikiを参考にしています。

https://finalfantasy.fandom.com/wiki/Archadian_Judges

なお、この記事で参考URLとして挙げているサイトはすべて海外のサイトです。
「海外のサイトにアクセスするのは怖い!」
という方はクリックしない方がいいと思います。

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ガブラス

綴りはGabranthです。
-thはラテン語などで性質を表す接尾語なので、gabranの部分に意味があると考えました。

調査の結果、おそらく以下の人物が元ネタと思われます。

Gabrán mac Domangairt
またの名をGabránthe traitor
(traitor:裏切り者、売国奴
https://en.wikipedia.org/wiki/Gabr%C3%A1n_mac_Domangairt

6世紀頃のDálRiata(ダルリアダ)国の王だそうです。
ダルリアダは現在のスコットランド西部(イギリス)にあたります。

この人物の記録はネット上に少なく、なぜ「裏切り者」と呼ばれるようになったのかはわかりませんでした。無念……

ガブラスが祖国を滅ぼした帝国についた設定を考えると、おそらくこの人が元ネタではないかと考えられます。
散々バッシュを裏切り者と罵るガブラスが裏切り者の名前を背負っている……エモいですね。

ちなみに本名の「ノア」はヘブライ語に起源をもちます。「休息」という意味があるそうです。
男性にも女性にも使える名前で、一番有名なのは旧約聖書の洪水と方舟のエピソードに登場するノアでしょう。
FF12の世界(イヴァリース)にも未来で大洪水が起こることになっていますが、ガブラスは作中で没してしまうので方舟があったとしても乗れませんね……聖書ネタは関係ないかもしれません。

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ドレイス

綴りはDraceです。
結論から言うとドラゴンを表すdra+英語の接尾語ceのようです。

これで検索すると真っ先にクロアチアの地名が出てきますが、「ドラチェ」という発音になるのでこれではなさそうです。
こういうときは「"調べたい単語"+meaning」で検索します。日本語で「〇〇 意味」で検索するのと一緒ですね。「"」(ダブルクォーテーション)で囲むことで、完全一致検索ができます。

出てきたのは海外の赤ちゃん名付けサイト。
draceの綴りはもともとdrayceだったそうです。
ジャッジ・ドレイスは女性ですが、現実世界では男性に多い名前のようですね。

drayceは古い英語でドラゴンのこと。
そう言われてから見ると、ドレイスの鎧はなんとなーくドラゴンっぽい意匠が入っているように見えてきます。
語源は同じですが、ドレイク(drake)という名前の方が、様々なジャンルでキャラ名としてより頻繁に使われていますね。
ちなみに英語のcがkになるのはドイツ語ではよくあることなので、ドレイクという発音はドイツ語圏から来たのかな、と思ったり(現在ではかなり広い地域で使われているので、多分名前を付ける人の好みで決めてると思います)。

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ザルガバース

綴りはZargabaathです。

かなり苦労しました。
私は英語と日本語しか読めないので、日本で一般的でない聖書の地名はお手上げでした。古代ギリシア語もヘブライ語も無理……。

自信はないですが、おそらく
zar(?)+gabaath(火山の名前)
かと思います。

最初は、ガブラスと同じくthは接尾語かな? とアタリをつけました。しかしzargabaってなんぞや。
検索しても2009年リリースのPCゲームの地名Zargabadがヒットするばかり。
数十分試行錯誤しましたが、これはおそらく区切る場所が違う……。

他の区切り方として、とりあえず
zar+gabaath か
zarga+baath が考えられます。

zarは意味がいっぱいあったので後回しにして、gabaathを調べます。
いくつかページを見ていくと、聖書に登場する人物と火山にgabaathという名前がついているようです。

どっちかわからないので、名前がデザインに反映されていることを願ってザルガバースさんの全身画像を振り返ります。
そういえばザルガバースさんの鎧の金属部分には赤いラインが引いてありますね。
他のジャッジマスターは基本的に金属部分に色はついていないので、これはザルガバースさんの鎧に特異的なデザインと言えそうです。
赤いライン……きっと火山の溶岩をイメージしているのでしょう。たぶん。
というわけでgabaathは火山のことだと解釈します。

zarの意味ですが……これは1つに絞り込めませんでした。
アラビア語で「見る、訪れる(see, visit)」
オスマントルコ語で「サイコロ(die)」
クルド語で「言葉(word)」
クロアチア語の反語っぽいやつ
イタリア語、ドイツ語、ロシア語では「皇帝(kaiser)」
など……
どれもしっくりきません。

語感かなあ……FF7の攻略本でユフィの名前は語感で決めたって書いてあったし語感で決まることもなくはないはず……。

zarga+baathの場合も一応考えてみます。

zargaという単語を持つのはハウサ語というナイジェリアで使用されている言語くらいしか見つかりませんでした。
意味は「批判する(criticize)」で、けっこう貶す感じのニュアンスみたいです。
ヴェインを疑って憚らないドレイスを批判する場面はありますが、ザルガバースさんは基本的にいい人なのでニュアンス的にはあまりイメージには合わないですね……。

baathはというと、アラビア語でルネサンス(renaissance)と同じような意味があるようです。
「再生、復興」などの意味合いでしょうか。
ジャッジマスターの中でただ一人生き残り、復興に尽力したであろうザルガバースさんの姿が浮かびますね。

というわけで、ザルガバースさんの名前は前半部分が謎ということがわかりました。
結論が出せず申し訳無いです……。

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ベルガ

綴りはBerganです。

人名として比較的一般的なようです。
ドレイスはファーストネーム(下の名前)でしたが、ベルガはファミリーネーム(名字)のようですね。

ノルウェー発祥の名前のようで、「ノルウェー南部のさまざまな農場に住む人の居住地名で、ノルウェー語で『山』を意味する」とのこと。
ドイツ語だと「山の住人」という意味になるようです。
日本の名字にあてはめたら「山田」さんみたいな感じですかね。

以下のサイトで、アメリカ在住のベルガさんが何の職業に就いているかまで載っています(本当かわかりませんが……)。
男性は農家が多いみたいです。畑を耕すベルガ……うーん想像できない。
https://www.ancestry.com/name-origin?surname=bergan

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ギース

綴りはGhisです。

これも難しかったです。
「ギース」という名前のキャラは他のゲームにもいるので(e.g. FE外伝、封印の剣など)すぐわかるかと思っていましたが甘かった……。

ghisの意味を検索して最初に出てくるのは、アジア南部で料理に使われるバター、「ghee」の複数形。
バターってことはないと思われるので除外。

Ghisという人名は現実にもいることにはいるみたいなのですが、由来がまったく見つからない……。
著名なGhisさんにはベルギー国王アルベール1世の本を書いている(共著)Ghis Desmeth氏という人がいるようです。

あとはヒンディー語でghisと発音する単語(घिस)があるみたいです。
英語に翻訳するとcollapsed(崩壊した)またはeroded(浸食された)という意味になるようです。
https://www.wordhippo.com/what-is/the-meaning-of/hindi-word-979143598213451b17b4445cfa9aaeb21ea47d18.html

他には「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作『氷と炎の歌』にOld Ghisという帝国が登場します。

Old Ghisはグラズダン大王によって設立された。その紋章はハーピーで、女性の胴体、腕の代わりにコウモリのような翼、鷲の脚、サソリの尻尾をもつ。その爪には落雷(のマーク)があった。

とあります。
https://awoiaf.westeros.org/index.php/Old_Empire_of_Ghis

また、銅が豊富で青銅の武器を使用していたとあります。
「青銅」というと青く錆びた剣などの発掘品を想像される方が多いと思いますが、青銅は銅と錫の合金で、錆びたり酸化したりする前は配合により赤金~黄金色をしています。
たとえば、10円玉は錫が多めの青銅です。

ギースの鎧だけ他のジャッジマスターと違って金に近い色をしていることを考えると、もしかするとこのOld Ghisが元ネタかもしれません。
下半身の布部分が他の人と違って若干膨らみがある感じなのも、なんとなくOld Ghisの紋章であるハーピーの足に似ているような気もします。
鎧の肩当てのところもハーピーの顔と羽をイメージしてるのかな、なんて思ったり。

ちなみにOld Ghisの奴隷商人の男性は、髪をねじったりけば立てたりしてファンタスティックなスタイルにすることで知られていたそうです。
ギースの髪型はもしかして……。

というわけで語源は判明しませんでしたが、ギースの名前についてはおそらく『氷と炎の歌』が元ネタということで解釈しようと思います。


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ゼクト

綴りはzechtです。

綴りを見てなんとなくドイツ語だなと予想がついたので、「zecht ドイツ語」で調べました。
「戦い」という意味だそうです。
一番結果が出るのが早かった……。

ついでにレダス(Reddas)も調べました。
ラテン語のreddōの活用形らしいです。
意味は「降参」「あきらめ」「(信念などの)放棄」「報復」など。
他にも意味はいっぱいあるみたいですが、レダスの境遇を考えるとこのあたりが元になっていそうです。

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というわけでジャッジマスターの名前の元ネタを考察してみました。
考察というかほとんど「調査」ですが……。

当初の仮説どおり接尾語が関連していると言えそうなのは
ガブラス、ドレイス、レダス
と半分なので、あたらずとも遠からずという感じです。

仕事がら最近は毎日のように英語で調べものをしているのですが、趣味の調べものは楽しいですね。
また気になることが見つかれば考察(調査結果?)をまとめてみたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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