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陰キャの独白④ ~「隠す」行為と「知らないフリ」は正しいのか~

 先日、ネット上で大きな炎上があった。すとぷりの「ななもり」氏に関する一連の騒動である。この一件ではななもり氏にある女性との間に子供がいながら結婚はせず、他の女性とも関係を持っていることが明らかになった。また、その女性がキズナアイの声を務めていた春日望さんであるという疑惑が出ており、声やその他の状況証拠から信憑性は高い方なのではないかという世間での見解になっている。ただ断定はしたくないのでこれ以降この女性を告発者女性と呼ぶことにする。

 私は今回の騒動で、よくそんなに大きな隠し事を抱えながら活動していたな、と感じた。仮にななもり氏が他の女性と関係を持っていなかったとしても、突然明らかになったら両者のファンは驚き、中には悲しい気持ちになる者もいるだろう。アイドルや異性のファンを多く付ける配信者などは、もし異性との交際をしていても基本的に明かさないようにしている。またアイドルは事務所として禁止していたりするので明るみになった場合は罰則を受けるべきだろうが、そうでないなら公的に咎めることはできない。しかし、所謂「ガチ恋」のファンが多い場合は同接などの数字に直結するから、極力隠しているのだろう。

 ここで浮かんだのは、何においても「意図せずバレるより自分から明かした方が被害が小さくなる」ということだ。これには「隠す」という行為のマイナスなイメージと、自己申告という行為のプラスなイメージが相まって大きな差を生み出しているのだろう。刑事事件でも自首をした方が罪が軽くなる場合があり、覚悟や反省の色が見えるのは間違いない。しかし、当事者にとって一番最良なのは「隠し通す」ことになるだろう。その場合はダメージが0である。そして仮に自ら明かすことがダメージ5、意図せずバレることがダメージ10だとしたら、10のリスクを抱えながら0で過ごすか、5のダメージを食らうかというゲーム理論の囚人のジレンマのような状態となる。今回はこの状態を「秘匿のジレンマ」と呼ぶことにする。こういう場合にどうすれば良いのかは後の自分の人生にも少なからず関係ありそうだ。ここからは、私自身が「秘匿のジレンマ」でどちらの選択を取るべきかを考えていく。ここで扱う秘匿は、バレると大変なことになるようなものに限定する。


 バレると大変なことになるような事柄に関しては、基本的には先に明かしておいた方がダメージが小さくて良いと考えてしまうので、逆に隠した方が得だという事柄を考えていく。
 1つの例として、異性と交際をしているアイドルが卒業を考えていたとする。もし卒業までに交際がバレなければ、その後にバレたり明かしたりしてもダメージは卒業前よりかなり小さい。またそのアイドルのファン達も卒業を綺麗な形で送ることができるだろう。こういった
①「隠すべき期間が決まっており、それが長くない場合」
なら隠した方が良いと考えられる。 
 別の例として、会社に持って行くべき重要書類を忘れてしまったとき、家族などの誰かが時間内に届けてくれるなら、すぐに上司に忘れたことを伝えて叱られるよりも、何も言わずに隠している方が叱られない分マシだ。またアイドルで例えるならば、異性と交際しているがもうすぐ別れるつもりなら、そのことを明かすよりも黙って別れてしまった方が得である。こういった場合、即ち
②「バレるとまずい状態をすぐに解消できる場合」
においても隠した方が良いと考えられる。

 自身の方針としては、秘匿のジレンマに陥った場合①、②以外では基本的に明かしていこうと思う。後に良くない状態であることが露呈するよりもさっさとバラしてすっきりさせた方が身のためであるし、隠し事を隠し通せるほど私は器用ではない。不器用ながらも正直者としてこれから生きていきたい。


 これで私が「秘匿のジレンマ」に陥った場合の方針は定まった。しかし、元の話題は「アイドルなどの異性のファンを多く付ける人が交際を隠していた」ことである。その人達が隠すかどうかはその人次第であり、私が決めるものではない。ではそういった他人の隠し事に対して私はどう付き合っていけば良いだろうか。少し不審に思った際に、知らないフリを続けるべきなのか。それともそれが身近な人間であるならば切り込んでみたり、それがアイドルのような話せる間柄ではないなら追いかけるのをやめたりするべきなのだろうか。呼び方を決めたいので「嘯(うそぶ)きのジレンマ」とでも名付ける。嘯きのジレンマに関して、行動の基準点を考えてみたい。

 嘯きのジレンマに陥った場合というのは、大抵自分がその人のことをもっと知りたいという感情が発端となっている。それ故にできる限りその人と離れることはしたくないであろう。そのことを踏まえると、嘯きのジレンマの場合に取れる行動は次の4つになる。
①思い切ってその人に聞いてみる。
②気にせず、考えないようにする。盲目信者になる。
③裏切り等を覚悟した上で関わりを続ける
④その人と疎遠になる。追いかけるのをやめる。
 この4つの中で、③の状態であることは現代社会においてとても多いと感じるが、この状態を減らすことが今回の議題の解答になるのではないかと考える。③になりそうな時、可能であれば①の行動を取るようにしたいし、それができないなら②になれば良い。どうしても不信感が拭いきれなくて②の状態になれないなら最終手段として④の行動を取った方が③より精神的に良い場合が多いと思われる。結局、③になりそうな時、また③の状態に耐えられない時にするべきは①か②で、④は最終手段とするという方針でいきたい。また、②は気をつけないと陰謀論や新興宗教等にハマる恐れがあるので、危険だと感じたら④を選ぶのも躊躇わないようにすべきだ。


 今回は秘匿のジレンマ、嘯きのジレンマについてもある程度方針が定まった。誰しもが隠したいことの1つや2つ存在するであろう。その場合に、ただただ悩んでしまうよりも、それを解消できる方向へと進んでいけるように努めたいと思う。できれば私以外の人間もそうして欲しい...

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