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ムーンダイスの計算式について

はじめに

 こんにちは、インコマンです。今回は重めの記事です。自分の検証ライフの中でも、(まだ公開できてない)暗殺検証に並んで重く、価値のある検証になったと思います。ムーンダイス、俗にいう月のダイスの計算式について、検証しましたので、記事として纏めました。

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発端

 こちらのツイートはあーらんさんのもので、時間太陽の際に攻撃速度95%上昇(最大値)ぴったりで62ウェーブ64ウェーブでボスの能力発動まで(2秒間)に処理できないのに対し、そこから時間のダイスを1つ追加した66ウェーブでは能力発動前に処理出来ているという内容のツイートです。

 攻撃速度上昇は95%がキャップ(上限)と言われていた。でも、95%が上限ではなく、95.5%や96%が上限なんじゃないの? という考えが生まれたわけです。

 実はこの疑問、ちょっと前から聞くようになっていた話でもあります。主に月太陽界隈から。ただ、改めて検証しても攻撃速度上昇の上限は95%のままであり、クリティカル発動などの誤差が生んだものなのではと、私個人は考えていました。

 そこで引用のツイートに戻るのですが、こちらの記事によると、62ウェーブのボスの体力は約850万66ウェーブのボスの体力は約1200万です。

 これ、おかしいですよね? いくらクリティカルの誤差があっても、同じ95%上昇の攻撃で850万を突破できずに、1200万を突破できるってのは明らかに不自然です。

 というわけで、改めて時間について、検証を行うことにしました。

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検証方法

 検証するといっても、月太陽で検証すると攻撃速度が速すぎるから攻撃のカウントも難しいし、スプラッシュがあるからダメージをカウントするのも難しいです。

 というわけで攻撃速度が遅いダイスで検証を行うこととしました。攻撃速度が遅く、弾を出すダイスと言えば感染のダイスです。その攻撃速度は驚異の5.00s!!

 と思ったんですけど、感染のダイスは感染状態異常付与した後は後続の敵に順繰りに異常付与していくんで、適切ではないと気付き、候補を2つのダイスに絞りました。

 召喚のダイスと、養分のダイスです。

 共に攻撃力10攻撃速度1.50sの火力としては弱いダイスです。この内、サブ垢で所持している召喚のダイスを用いて検証することにしました。

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召喚のダイスの攻撃速度検証

 検証を開始するにあたって、ふと頭をよぎったのは原子の周囲を回転する原子エフェクトが、カタログスペックではレベルマックスで3sなのに実際は2.5sという事実です。

 もし「ランダムダイス内の時間の流れは現実世界と異なる」のだとしたら、非常に困ります。

 というわけで、最初に行ったのは召喚のダイス自体の攻撃速度の検証です。方法は簡単で、出目1の召喚のダイスが盤面にありそれ以外の攻撃ダイスが存在しない状況を作ればオッケーです。

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 計測の結果、大体90F間隔で攻撃しているという結果になりました。録画も編集も60fpsで行っているため、90Fというのは1.50sに相違ありません。

 良かった、ランダムダイス内の時間の流れは現実世界のそれと同じだったんだね……。

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仮説を立てる

 前準備は整いました。本格的に検証に入っていきます。

 ですが、網羅的な検証(クラス7~15の月、時間の各レベル、各出目、各個数の組み合わせでの検証)を行うのは現実的ではありません。ここは、ある程度の仮説を打ち立て、ポイントを絞った検証を行う必要があります。

 自分が冒頭のツイートを見たときに考えたのは、以下のようなことです。

攻撃速度上限が95%より高い位置にある
・月あるいは時間あるいはその両方の計算式が間違っている
クリティカル運

 ただ、速度上限が95%より高いというのは、追加検証も行われていて俄かに信じがたいところでもあります。また、クリティカル運のみで62ウェーブ不突破66ウェーブ突破を言い張るのもやや無理があります。

 というわけで、計算式の誤りを探しつつ、95%ぴったりのときの攻撃速度の検証と95%超過のときの攻撃速度の検証を行うという方針に落ち着きました。

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月単独検証

 月の計算式が間違っているにしろ、時間の計算式が間違っているにしろ、どちらか片方の検証の後、複合の検証を行えば良いです。まずは月の検証を行いましょう。

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 非活性化クラス7月出目3レベル1に隣接した召喚のダイスの攻撃速度を計測します。

 ちなみに月の計算式は以下の通りです。

(7%+1%×クラスアップ)×出目+2%×パワーアップ+3%(活性化)

 サブ垢の月はクラス7なので、7%×3=21%の速度上昇のはずです。

 90F×(1-0.21)=71.1Fです。では実際の攻撃速度を計測してみると……70.7Fでした。1Fの誤差もなく、計算式通りの数値が出ているように思えます。

 次は、この状態の月をレベルアップさせて計測します。

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 非活性化クラス7月出目3レベル2隣接です。計算式によると、7%×3+2%×1=23%の速度上昇。90F×(1-0.23)=69.3Fになります。では実際の攻撃速度を計測してみましょう……69.5Fでした。計算式通りの数値が出ていますね。月の計算式は間違ってないのかな。

 以下、月のレベル3、レベル4、レベル5も確認しましたが計算通りの計測結果になっただけなので、割愛します。

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95%速度上昇と95%超過速度上昇の比較-前半

 こうなると95%ぴったりに合わせた状態での計測と、95%を超過した状態での計測を行うしかありません。ここで自分が考えたのは以下の2パターンでした。

・95%丁度で95%にならず、95%にするために95%超過する必要がある
・95%丁度で95%になっているが、95%超過で95%より高い数値が出せる

 いずれの場合でも、95%ぴったりの状況と95%を超過した状況を作れば事足りるので問題はありません。自分のサブ垢の月のクラスは7です。メイン垢の時間のクラスは9です。そのため、95%ぴったりを作る組み合わせは以下のようなものが考えられます。

月レベル2出目3非活&時間レベル5個数6
月レベル5出目2活性&時間レベル4個数7

 本当は、組み合わせはもっとあります。ただ、月の高出目や時間の14個15個は現実的ではないので、今回は「月レベル2出目3非活&時間レベル5個数6」と「月レベル5出目2活性&時間レベル4個数7」の計測と、それぞれに時間を1つ足した盤面の計測を行おうと思います。

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 作りました。月レベル2出目3非活&時間レベル5個数6の盤面です。計測すると、4.55Fでした。では計算値はどうかというと、90F×(1-0.95)=4.5Fです。誤差はほとんどありません。つまり、95%ぴったりの盤面で95%の速度上昇が効いています

 では、時間を1つ増やし95%超過盤面にします。

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 作りました。月レベル2出目3非活&時間レベル5個数7の盤面で、時間7個で84%、ただし時間の上限が80%のため合計が103%となり95%超過、従来の考えだと95%上限として計算を行っていましたが……?

 計測すると、4.58Fでした。これは95%速度上昇の4.5Fほとんど誤差がなく、95%が速度上昇の上限と考えて問題ないように感じます。

 ちなみに参考までに、95.5%速度上昇では4.05F96%速度上昇では3.6Fであり、やはり95%速度上昇の数値に見えます

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95%速度上昇と95%超過速度上昇の比較-後半

 やっぱり速度上昇の上限は95%だし、計算式が間違っている様子も無いと思いましたが、もう1パターンの計測もして確認したいと思います。「月レベル5出目2活性&時間レベル4個数7」の盤面で再確認します。

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 作りました。丁度95%の盤面です。計測すると……6.77Fです。

 あれっ!? 95%なら4.5F付近が出るはず……。6.77Fという数字は、92%速度上昇=7.2F93%速度上昇=6.3Fの大体中間、92.5%速度上昇=6.75F程度の数値です。どうしてこうなるのでしょうか。

 確認のため、時間の個数を1つ増やしてみます。

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 作りました。月レベル5出目2活性&時間レベル4個数8の盤面で、月25%+時間80%で105%、ただし95%上限で95%速度上昇と考えられる盤面です。計測すると、4.66Fです。今度は、95%速度上昇=4.5Fとの誤差が小さい値になりました。

 次は、月レベル5出目2活性&時間レベル4個数7の盤面で92.5%程度の速度上昇効果しか得られなかった理由について考えます。

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活性月と非活性月

 95%ぴったり盤面である月レベル2出目3非活&時間レベル5個数695%速度上昇として矛盾しない攻撃速度が観測されていて、同じく95%ぴったり盤面である月レベル5出目2活性&時間レベル4個数792.5%程度の速度上昇を観測しました。

 この2つの盤面の大きな違いは、ずばり月の活性化、非活性化の違いと判断しました。そこで、双方の時間効果を省き、月の効果だけを見てみます。

月レベル2出目3非活&時間レベル5個数6:95%

月レベル2出目3非活:23%
月レベル5出目2活性&時間レベル4個数7:92.5%程度

月レベル5出目2活性:22.5%程度

 こうなります。月の計算式は、

(7%+1%×クラスアップ)×出目+2%×パワーアップ+3%(活性化)

 ですが、最初に検証したように月単体での効果やレベルアップ時の検証も計算式通りの結果が出ていたため、

(7%+1%×クラスアップ)×出目+2%×パワーアップ+3%(活性化)

 この太字の部分がおかしいように感じます。

 「月レベル5出目2活性:22.5%程度」というのは、計算式としてみると、

7%×2+2%×4+3%(活性化)=25%

 となりますが、実際には22.5%程度の数値でしかありません。活性化の「+3%」が誤差を産んでいるなら、そこを省いてやりましょう。

7%×2+2%×4      =25%

 残っている部分を計算すると22%です。ここに3%を足せば25%になりますが、実際には22.5%程度にしかなっていないわけです。

 ここで一度ゲーム内の説明を振り返ります。

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 しっかりと記載があります。「攻撃速度もさらに3%上がる」と。であるならば補正の仕方が違うと考えるべきでしょう。

 そこで仮説を立てました。従来活性化は

7%×2+2%×4+3%(活性化)

 このように加算していましたが、割合増加と考えるとどうでしょうか。

(7%×2+2%×4)×(100%+3%(活性化))

 この計算式を解くと、(7%×2+2%×4)×1.03=22.66%です。実測値の22.5%に非常に近い数字が出てきました。

 振り返ってこの盤面。

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 計測すると6.77Fでしたが、92.66%速度上昇として計算すると6.6Fとなり、矛盾しないように感じます。

 では仮説の検証に移ります。

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活性化効果の検証

 先ほどの検証は時間込みで行っていたため、次は活性化月のみで検証を行います。

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 活性化月出目1レベル1です。計測すると、83.75Fでした。

 従来の計算式だと、7%+3%=10%速度上昇=81Fになるはずです。仮説の計算式だと7%×1.03=7.21%速度上昇=83.5Fです。

 従来の計算式から求められる数値が、実測値から大きく乖離しているとまでは言えませんが、仮説の計算式の方がより誤差が小さいです。

 ここから月のレベルを上げていきます。

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 活性化月出目1レベル2です。計測すると、81.67Fでした。

 従来の計算式だと、9%+3%=12%速度上昇=79.2Fになるはずです。仮説の計算式だと9%×1.03=9.27%速度上昇=81.7Fです。

 仮説の式の数値が実測値に非常に近いことが目立ちます。

 つづけて月のレベルを上げます。

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 活性化月出目1レベル3です。計測すると、80.75Fでした。

 従来の計算式だと、11%+3%=14%速度上昇=77.4Fになるはずです。仮説の計算式だと11%×1.03=11.33%速度上昇=79.8Fです。

 やや仮説の式が実測値から外れましたが、それでも1Fの誤差もありません。対して、従来の式の方はここまで常に仮説の式より大きい誤差を示しています。

 月のレベルを上げます。

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 活性化月出目1レベル4です。計測すると、78.75Fでした。

 従来の計算式だと、13%+3%=16%速度上昇=75.6Fになるはずです。仮説の計算式だと13%×1.03=13.39%速度上昇=77.9Fです。

 従来の式は続けて3F以上の誤差が出ていますね。仮説の式誤差を1F以内に留めています。

 最後のレベルアップです。

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 活性化月出目1レベル5です。計測すると、77Fでした。

 従来の計算式だと、15%+3%=18%速度上昇=73.8Fになるはずです。仮説の計算式だと15%×1.03=15.45%速度上昇=76.1Fです。

 やはり従来の式は大きく誤差を示し、仮説の式は誤差をほとんど示しません。

 以上の検証から、仮説の計算式が正しいと考えられます。

 すなわち、従来の計算式である

7%×2+2%×4+3%(活性化)

 は誤っていて、仮説の計算式である

(7%×2+2%×4)×1.03(活性化)

 こちらの式が正確な計算式であるということです。

 ちなみに、ここまでの内容は検証動画としても纏めました。ほぼ同じ内容ですが、一部記事で省略した部分もあるので、興味のある方はご確認してください。

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考察

 さて、振り返って冒頭のツイートの考察でもしましょうか。

 62ウェーブ64ウェーブを能力発動前に突破できなかった盤面は、「活性化クラス8月出目3レベル5&クラス9時間5個レベル5」です。

 計算式は、

  (8%×3+2%×4)×1.03+(4%+2%×4)×5
=32.96%+60%
=92.96%

 このようになります。太陽の出目3が4個がメイン火力ですが、活性化太陽の攻撃速度は0.60sなので、出目3太陽はそれぞれが12Fに1度攻撃する計算です。

 92.96%速度上昇では、これが0.8448Fとなるため、1つの太陽はボスが登場して能力を発動するまでの2秒間に142回程度攻撃します。太陽の基礎ダメージをXとすると、クリティカルを考慮しなければ5112Xのダメージを与えることになります。太陽は4個なので合計20448Xダメージです。

 続いて、66ウェーブの盤面、すなわち「活性化クラス8月出目3レベル5&クラス9時間6個レベル5」では、

  (8%×3+2%×4)×1.03+(4%+2%×4)×6
=32.96%+72%
=104.96%

 となり、速度上限95%として計算されます。

 出目3太陽は95%速度上昇では0.6Fに1度攻撃するため、1つの太陽はボスが登場して能力を発動するまでの2秒間に200回程度攻撃します。太陽の基礎ダメージをXとすると、クリティカルを考慮しなければ10100Xのダメージを与えることになります。太陽は4個なので合計40400Xダメージです。

 以上のことから、件のツイートの状況で時間5個→6個にするとボス登場時から能力発動までの火力としては1.98倍程度となっています。

 時間5個62ウェーブのボス(約850万HP)が突破できず、時間6個66ウェーブのボス(約1200万:62ウェーブの約1.43倍)を突破できることは全くもって自然なことでしたね。

(20/10/28 13:30追記※へくさんの指摘で活性化太陽が攻撃速度2倍であることを失念していたことに気が付きました! 修正済みです!)

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おわりに

 今回は、月の正確な計算式を発見しました。従来の式と比べると、活性化の恩恵が少ない計算となります。

 ただ、このことが環境に影響するかというと、そこまで大きな影響は無いと考えています。

 というのも、月の活性化というのは速度上昇の追加効果のみのものではなく、攻撃力上昇クリティカル確率上昇などの恩恵もあるため、活性化の価値が下がったといっても、若干のものであると考えるためです。

 とはいえ全く影響がないわけではありません。

 例えば時間太陽においては厳しいSP管理を行うことが高ウェーブに到達する条件だと思いますが、そのためには速度上昇95%に到達する最低限の時間個数を盤面に並べる必要があります。従来の計算式だとX個で良かった時間個数が、新しい計算式だとX+1個必要だということになるなど、それに応じたパズルの最適化も期待できると考えています。

 また、月のみで最高速度95%に到達するにはクラス12が必要と考えられていましたが、活性化クラス12月出目7レベル5では94.76%速度上昇にしかならず、最高速度を得るためには月クラス13が必要ということが判明しました(とはいえこちらはほとんどのプレイヤーには関係のないことではありますが……)。

 いずれにせよ、正確な計算式を把握することは対戦においても、協力においても、1つのアドバンテージになると思います。

 この検証、この記事が皆様のランダムダイスライフの一助となれば幸い、ということで〆させていただきます。

 ではでは。


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