スカイリム食わず嫌いに送るネガティブ要素Q&A
という形式で、書き残したこと(半分は賛辞で残りは文句)を書いていくという記事です。元々の記事はこちら。
以下はスカイリムを買うか迷っている人におすすめするという体裁をとっているが、しょせん誰もこんな記事で気持ちを決めたりはしない……This is the TRUE World……。
Q:モラルの無いゲームって、ちょっと怖いんですが……。
A:それは(ある程度は)誤解だ。
たしかにスカイリムは町人を自由に殺せるようなゲームではあるが、自由に殺すと結果として捕まったりし、そもそも得られる情報やイベントが消失するためゲームとしてデメリットしかない。
スカイリムをゲームとして遊ぶかぎり無法ではいられないのだ。特にクエストをこなしていくことは必然的にクエスト発注者に喜ばれることを意味し、普通に遊んでると最終的にめっちゃ人々に感謝される社会の名士になっていることだろう。
もちろん、すべてが善性に基づくゲームでもない。
詳しいネタバレは避けるが、たとえば世界には暗殺者ギルドや盗賊ギルドが存在する。それらはイベントが豊富で面白いので入団せずにはいられないだろうが、当然ある程度のダーティーな行為が求められる。
他にも人の悪いクエスト……誰かは必ず損をするような……そういうものも無いわけではない。
また大陸にまたがる内戦もあり、プレイヤーはどちらかの勢力に加担し終戦のため尽力するのだが(しなくてもいいが)、それはもう一方の勢力の不幸も意味するだろう。
しかし、それこそがポイントかもしれない。ここでプレイヤーが行なう行為は一方的な悪ではなく、味方する勢力にとっては英雄行為なのだ。
盗賊ギルドにせよ暗殺者ギルドにせよ、そこに救われる人間が大勢いるように作られていて後味が悪い訳ではない。
唯一、16の悪神に関わるクエストではしばしばマジモンの悪の手先となることが要求され、時には強制さえされるが、それこそプレイヤーの判断で中途放棄したり、裏切れるものなら裏切っても構わない(当然たいていクリア報酬アイテムを取り損ねるが、それも誇り高き思い出ではないだろうか)。
むろん”悪”たりたいというプレイヤーなら言われるままにすればいいし、ゲーム内なら好奇心だけで人を殺せるちょいサイコパスを気取りたい人だっているだろう。そのへんは個人の裁量だ。
私はプレイヤーキャラを自分とは区別するタイプなので、主人公はいわゆる「勇者」ではなく、豪快で荒々しい快男児をイメージして遊んだ。
殺しもスリも悪びれないし余計な事にまで首を突っ込むが、人好きがして大いに笑い意外な教養があり、己の中に許しがたいものの基準を持つ、堂々たる男だ。
ざっくり言えば『バーフバリ』を『指輪物語』で割ったようなキャラということになるかもしれない(適当)。
これがなかなかゲームと相性が良く最初から最後までキャラ崩壊したことがないので、困ったらこの性格を使ってみてほしい。
Q:そもそも今さら10年前のゲームでもないのでは
A:気持ちはわかる。
2011年といえば据え置き機ではWiiとPS3、携帯機なら3DSとPSPの時代だ。……Good Old Days(古きよき時代)……。
とは言え、スカイリムSEは2016年の高解像度リマスター版。
さすがに最初からHD向けにチューンされたタイトルと比べれば粗も大きいが、テクスチャでかなりごまかしが効いて今でも全然見れると思うし、特にあんま近くのオブジェクトに寄らない遠景……眺めのいい景色なんかはカットシーンじゃなくプレイアブルな事を考えるとビックリするほどいい。
(ただしMODが実質禁止になる以前に"Enhanced Draw Distance"と"NLA - Natural Lightning Aesthetica"を入れてあったので、多少ゲタは履いている感想かもしれない)
スカイリムの場合、たいていの眺望はカキワリじゃなく実際に近付けば歩いて登ったり入ったりできるのでファンタジックな眺めでも……こう、実在感(ゲームなのに?)とでも言うか、「マジかよ」という驚きがある。
それに町なんかは見所として作られているだけあってオブジェクト的に手抜きがなく立体構造物として複雑で(でいて地形としては意外に複雑じゃなく憶えやすい)、歩いていても飽きが来ない。
光の作る陰影はかなり意図的に計算されているようで、明るい日差しや暗がりの中の灯りはしばしばハッとするような美しさがある。
つまりグラフィックに関して言えば、10年前のゲームの5年前のリマスターにしてはかなりの出来の良さだ。
グラフィックの話が長くなったが、内容的にはそれこそ10年に1度の物量なので今でもなんら古びない。シナリオもメインの大きい物語からサブの小さなドラマまで普遍的なことを語っていて、現代になったからどうこうはないだろう。
ただしシステム的には少々古めかしい部分もある。
アクションは深い駆け引きに欠けているし、メニューの階層構造やカーソル移動などに不親切さも感じるところだ。
とはいえそこがメインになるゲームでもないし、この程度なら許容範囲だとは思うのだが……。
Q:ぶっちゃけそんなに長期間ゲームを遊びたいか?
A:好みによる。
いや何でも好みによるけどこれはそういう意味じゃなく、総プレー時間がどこまで長くなるかプレイヤーの好みに左右されるからだ。
そもそもエンディングが無いゲームなので、メインクエストと主要クエストライン6本を全部遊びきるのを「終わり」と仮定するが、そのために必要なレベル上げのためのサブクエスト消化を含めて、最短で(個人的な体感になるが)数十時間……だいたい普通のAAAタイトルで全編終わらせるくらいといったところ。
目標をメインクエスト達成に絞ればもっと極端に短くなるだろう(10時間台くらいかなあ)。ちなみに何の参考にもならないが、RTA界ではバグを使わずとも1時間12分でメインクエストがクリアされている。
早解きすればするほど取りこぼしはできるし、そういう事をしたくなければぐっと時間は増える。
少なくとも普通に遊ぶ限りは150〜300時間でざっくり世界中踏破というところだろうか、体感。
たしかに可処分時間の使い方としては十分に長いし、おじけづく人が出てもおかしくはない数字だ。
ただ個人的な持論だが、ゲームは途中で止めても何も悪くない。
ゲームは人生ではないし我慢大会でもない。ヒマな時間に遊んで楽しければそれでいいし、「こんなもんでいいか」と思った瞬間そこで止めてなんら構わないものだ。
普通にAAAタイトルのひとつくらいの気持ちで遊び始めて、その気になったらたっぷりやる、程度の感覚でいいんじゃないだろうか。
Q:オープンワールド系ってたいてい初めのとっつきが悪いんですよね
A:そうなんだよね。
上に書いたことと平気で矛盾するが、最初の方で止めたくなる気持ちはわかるものの、そこで止めるのはやっぱりもったいない。
何をやってもいいということは、プレイヤーが何をやり込むかわからないということなので、あらゆることに均等にチュートリアルが用意されてしまう──という自由度の高いゲームにありがちな問題はあって、スカイリムもそのひとつだ。
とにかく最初にいろいろ憶えさせられるし、初心者こそ自分にとって何が必要か分からないので全部憶えないといけない気になるしで最悪にテンポが悪くなる。
それでいてプレイヤーは「そんなこと普通する?」というやらかしを最初のうちは平気でやらかすものだ(できるようにできているので)。
自分も好感度の高くない家に夜間入っては自動的に戦闘になって「追い剥ぎが住んでたんだろうか……」と誤解したり、エンバーミング・ツール(ゴミ)とリネン・ラップ(ゴミ)を何か後で使えるものと思って収拾したりしていた。こういうゲームじゃないんですけど……。
実際スカイリムがゲームとして形になってくるのは最初の村と最初のダンジョンを越えて、最初の大きな町に入ってからだ。
そしてスカイリムの本来の面白さである「ひそやかな物語の発見」を感覚として理解できるのは、大量のクエストをこなしながら次の村に入って以降くらいなのだ。
これは相当のスロースターターだと言っていいだろう。
自分の場合本当に面白くなってきたのは20時間を越えてからだった。普通のゲームなら終わっててなんら不思議でない時間だが?
これを「最初の方はガマンして」とさらっと言うのは難しい。もちろんこの間でも、壮大で緻密なロケーションや「できる事の多さ」に感動することはあるのだが……。
Q:何ヶ月も同じゲーム遊んでて、イヤにならないの?
A:正直に言えば、ラスト2ヶ月くらいは「早く終わらせないと他のゲームが始められない」という焦りに突き動かされていた。
これは自分が2本以上同時に遊べない(バカなので)ことと、年末年始セールでますます積みゲーが増えたことによる。いや本当にスカイリムしか遊んでなかったこの1年でどれだけのゲームを買い、そして積んでしまったか、聞いたらわりと引くと思う。スカイリムを終わらせて心が翼を得たような解放感を感じたのも事実だ。
しかし勘違いしないでほしいが、早く終わらせたいという焦りは、ゲームの面白さとはまったく別軸の問題だ。
最後の一瞬までスカイリムの面白さそのものは衰えなかった。はたから見れば同じようなことやってるように見えるのもわかるが、実際は毎日新しいことが起こり、毎日発見があった。
……まあイヤになったとすれば、自分が遊んだ順序がたまたま悪かったんだけど(プレーした人はわかると思いますが)広い広いアルフタンドをようやく突破して広い広いブラックリーチをようやく突破したと思ったら星霜の書を取り忘れたまま出てしまいもう1回広いアルフタンドから広いブラックリーチを越したすぐ後に、広い広いソウル・ケルンに入った時はもうダメかもとは思ったし、ネットで攻略マップを探しました。
スカイリム的なリアリティラインとして広いことに意味は確実にある場所なんだが、ゲームバランスとしてはちょっとおかしかったよなあそこ。
Q:ファンタジー洋ゲーと言うと陰気な暗いダンジョンでグロキモいクリーチャーを倒し続けるイメージがある
A:それは事実です。
スカイリムの場合、ダンジョンで特に多いのが地下墳墓とドゥーマー遺跡とファルメル洞窟で、おおむね暗いか、それともうす汚れているか、暗くてうす汚れている。
そこに出てくるモンスターと言えばまあドワーフ・センチュリオン(魔法機械)は可愛いほうで、あとはドラウグル(ゾンビ)とかシャウラス(巨大虫)とかファルメル(ほぼゴブリン)とか、どうしようもない。
あとフロストバイト・スパイダー(巨大クモ)はどこにでも出てくるにも関わらずどこに出しても恥ずかしくないキモキモ怪クリーチャーで、ほんとに何考えて作ってるのかわからない。
ただ実際のところ、スカイリムの要はダンジョンではない。
スカイリムをスカイリムたらしめているのは都市や人や広大な自然であり、つまりダンジョンとは「あーやだやだほんとキモい。それに引き替え自然ってサイコー!(雪男とかは出るが) そしてこんなどうしようもないダンジョンを平気で闊歩する冒険者の私、スゲー!」という場所なので、まあしょうがない。ある程度がまんしよう、そういう場所だ。
Q:アクションゲームが苦手。まして洋ゲーでしょ?
A:そこは安心していい。
洋ゲーと言えば攻撃がなんか知らんが平気でかわされ、そしてダメージを食らい始めると一切の容赦(救済措置)なくボコボコにされて……最後に、死ぬ……。そういうトラウマがある人も多いだろう。洋ゲーすべてに敷衍するのは偏見だが、そういうゲームがそこそこあるのは事実だ。
ではスカイリムはどうか? たしかにその通りだ。
敵の当たり判定がよく分からないし自分のダメージがどこから入ったかはもっとよく分からない。そこを練習と経験でカバーしたければそれもいいが、エンジョイ勢にとってはガバガバ殺人チューニングと言っていい。
しかし安心すべきことに、スカイリムにはこのガバにさらにガバを重ねる難易度Easyと難易度Very Easyの2モードがあり、いつでもシステムメニューから変更できる。どのくらいガバかと言うと、1段階下げるごとに一律与ダメージが+50%、被ダメージが−25%される。(え?)
つまり、Very Easyだとマジでほぼこういうことだ。
正月に親戚の子をウロウロさせないための接待プレー並みのこの調整は当然バランスブレイカーだが、もう死にたくない!別にこのゲームに手に汗握るバトルを求めてるわけじゃない!という気持ちに見事に応えてもいるだろう。私も慣れないゲーム序盤はEasyで遊んでいた。
(もっともこの膨大なロケーションのあるゲームでいちいちきめ細やかな調整などやってられるわけがないとは理解できる)
別に難易度変更に限ったことでもなく、スキルを取得していくと平気で「ダメージ2倍」「防御値2倍」とか「さらに25%増」とか「隠密中はさらに3倍」とか、取っただけで世界が一変しすぎる景気の良いスキルが増えていくのでそもそもこういうゲームだと言うこともできる。
これに加えて上げた鍛冶スキルでハチャメチャに強い装備を作ってから、上げた付呪スキルでハチャメチャに強いエンチャントを付与したりすると、もはや敵が一撃で死なないだけで「こ、こいつ、強い……!」と驚くようになる。俗に言う無敵だ。
しかしまあ気持ちいいのは確かだし、そもそもそこまでレベルが上がった主人公なら既に英雄クラスにイベントをこなしてるはずなので、「英雄の強さ」として正しいリアリティと言えるかも知れない。
あといちおうマゾゲーマー向けの高難度モードもあり、難易度Hard・Very Hardを超えるLegendaryだと与ダメージ0.25倍、被ダメージ3倍になるよ。
おい、そういうとこだぞ。
Q:RP(ロールプレイ)概念とは……? 哲学……?
A:少し説明させてください。
プレイヤーの間でしばしば出てくる概念だが、分からない人には本当によく分からない概念ではないだろうか。
個人的な経験から言えば、「町から町の移動にできるかぎり馬車を使いたい」という気持ちがあった。
別に高速移動(いわゆるワープ機能、ルーラ)を使えばいいのだ。システムにある以上何のズルでもないし、馬車を使うのと結果は変わらず、むしろ厩舎まで移動して馬車を雇う手間がかからないのでいいことずくめだ。
それでも馬車を使いたい。
そんな事してるからますますゲームが終わらないのだと分かってはいるし、実際馬車のない小さな町や山に行くときは平気でファストトラベルしてもいるのにだ。
なぜこんな手間を自らかけるのか? 結論から言えば、ロールプレイとは世界のリアリティ作りにプレイヤー自ら荷担する作業と言える。
たとえば(またたとえになってしまうが)町に着いたのが夜中で店が開いてない時、即座に時間メニューを開いて強制的に時間を過ぎ去らせることはできる。
それはゲームの親切な機能だが、あえてそうせずに宿屋に泊まって朝まで眠ることもできる。
プレイヤーキャラが宿屋で眠る=ゲーム内時間の掟に従うことで、NPCたちがゲーム内時間に従い眠って起きて店を出すリアリティが、今度はプレイヤーによっても補強されるのだ。
ただ棒立ちで時間を経過させる代わりに、酒場に座って料理を食べながら時間を経過させることもできる。それは酒場という存在に、そこで働き酒を飲むNPCたちにリアリティを与えるはずだ(実際、酒場で料理を注文する機能はおよそゲームの役には立たない)。
本質的には、RPとはゲームをより”良く”する行為(何?)だとも言えるだろう。
行き着くところまで行けば、毎日3食料理して食べて(ゲームを遊んでない人に向けて説明すると、調理場と食材があれば料理ができるしそれらは好きな時に食べられる。ほとんどのプレイヤーにとって意味は無いが……)毎晩ちゃんと鎧を脱いで布の服に着替えて眠ることになるだろう。
この辺は程度問題で、ゲームをリアルだが面倒でつまらなくする危険をもはらんでいる。
ここは個人のさじ加減だ。くり返すが、私は馬車のない町では高速移動した。
作り手は面倒なことしないでいいように親切な機能を用意してくれてるのだし。
Q:カタカナ名詞を憶えられないので不安だ
A:わしもじゃ。
バトル・ボーン家とグレイ・メーン家のどっちがどっちだったか、最後まで憶えることができなかった。それでゲームに支障ないの!? どうだろ……。
さっき話したキャラの名前も次の会話に出てきた時点で忘れてるし、バーンと「お前はあの時の!」的に出てきたキャラが「誰!?」ということもあった。
しかし経験上自信をもって言えるのだが、それでもなんとかなる。
バーンと「お前はあの時の!」的に出てきたということは……たぶんあの時の、ホラ、あいつ、あーなんかいたわ!たしかに後々バーンて出てきそうだったわ! という推測はできるし、さすがにそれが実は想像もつかないあいつだった、まで捻った話はスカイリムにはあんま無いので、だいたいなんとかなる。
それと結構誰でもエピソードの一つや二つ持っているので、名前こそ憶えてないものの人となりは憶えやすいんだよな。
この画像のコルプルス・ビニウス(そんな名前だったの!?)も名前は誰だかわかんないんだけど、あの店の店主としては非常によく憶えていて、家族構成や店の成り立ちも知っている。
もちろん全部ちゃんと憶えてるに越したことはないし、知らないうちに取りこぼしてる面白いとこもきっとあるのだろうが……。
総合的にはなんとかなるし、致命的なことは、まあ、たぶんない。安心してほしい(この説明で安心できる要素があるか?)。
Q:スカイリムってキャラの顔がアレなんでしょ?
A:はい…………。
こればかりはフォローしようがない。
最初に主人公のキャラメイクがあるが、そこでまず絶望することになる。
デフォルトからいくら顔を弄ってもなんかアレになる。
基本的に顔を生成するエンジンの仕様として、美男美女が作れないようにできているのだ。
当然ゲームで出会うキャラ全員がそういうことになっている。
なんでこうなってるんだろうな、海外アートとかファンタジー映画とか見るかぎり別にこれがアメリカンな共通センスという訳でもないと思うんだが……。
世界中がおそらく同じことを思っているらしく、MODでカスタマイズすることでたやすく美男美女にできるので、PC版で遊ぶなら選択肢として大いにありだと思う。
コンシューマ版ではキャラの見た目に関するMODが原則禁止されている(裸とかの、こう、いろいろ問題があるらしい)ので、もはやあきらめるしかないだろう。
なぐさめになるかは分からないが、遊んでて慣れてくると「この世界ではかなりの美人」が区別できるようになる。
最終的にそういう相対的な美人に「ヒューッ!」という気分になるよう調教されるのでそう悪いものでも……いや悪いとしか言いようがないが……。
Q:バグがものすごくあるという噂だが?
A:この巨大なゲームならしかたない程度と言えなくはないが……いややっぱどうだろ……。
進行不能のハマリこそ経験していないが、人が壁に半分埋まっている(ロードすれば直る)系の他愛もないものから、クリアしたクエストが記録上は未クリアのまま残っているという、不便はないが非常に気持ちの悪いものまで色々遭遇はした(たびたび、ではなくそれぞれ1回ずつだが)。
おかげで単に自分が謎解きに詰まってるだけの状況でもバグを疑ってネットで検索するような猜疑心の強い子供に育ってしまった。
遊んでいて特に困ったバグを挙げると、
ダンジョンの外に連れ出すべきNPCがダンジョンを出てくれない(クリア不可)
持ち家の改装を注文したのに反映されない(再発注はできないので、この状態でセーブすると一生みすぼらしいまま)
自宅の家具が一部屋まるごと消失したり出現したりする(たぶんメモリー限界)
「盛り上がる場面のBGM」がどこ行っても鳴り続ける(この状態でセーブすると一生続く)
バグとはちょっと違うが、あるクエストの進め方がたまたま「理想の順序」じゃなかった結果、途中の重要なイベントをスキップしてなんだか消化不良のまま終わってしまった
急に強制終了(20プレーに1回くらいって感触だけど、あるんだよな〜)
というところだろうか。こうなると「セーブした所からやり直し」以外にできることはない。
さすがにあんまりだと大勢が思ったのかバグフィックス系のMODも充実しているので、PC版で遊ぶなら検討してもいいかもしれない(責任はとれない)。
アドバイスとして言っておきたいのは、セーブは分けて小まめにしろということだ。
1つのセーブファイルに上書きを続けていては、もし深刻で回復不能なバグに後から気付いてもやり直せない。そしてやり直すならバグが発生する直前からにしたいのが人情だ。
もっとも長大なゲームなので、最終的にセーブ容量上限に達することは十分に考えられる(自分はなった)。いちいち消すのも手間なので、セーブファイルはだいたい100個以下に抑えておくといいかもしれない。
たとえば具体的には、「毎日のセーブ、直近1週間分 計7個(古い順に上書き)」と「毎週のセーブ、上書きなし」を作るようにした場合、23ヶ月で100ファイルに到達する。目安にしてほしい。
Q:日本語訳がダメとよく評判になっているが
A:まあ、うん……。個人的には許容範囲だが、しかし……。
海外インディーゲームを何個も遊んでると翻訳の許容範囲が限りなくガバガバになっていくので、正直自分には判定が難しい。
そういう世界ではGoogle翻訳直通とか「一旦英語に翻訳してみれば日本語訳の言わんとすることが推測できる」レベルの翻訳もしばしばあるのだが、それよりだいぶマシな方だとは言えるだろう。
とはいえ普通に遊んでても「原語でなんて言ってるか知らんが、誤訳してると考えなければ説明がつかない」という場面はちょくちょくあるし、会話の始めと終わりで固有名詞の訳出が違う(たぶん別々に訳されている)なんてのも珍しくない。
素直にどういう仕組みでこうなるのかわからないのは、字幕と吹き替えが違う文章で、しかも吹き替えの方がはるかに自然なことだ。
吹き替え用の台本をそのまま字幕に流すわけにはいかなかったのか……おそらく何か我々には想像もつかない巨大で複雑なみずほ銀行のようなシステムがあったのだろう。
ソニーがローカライズしているAAAタイトル群などと比べれば総じて「ひどい」としか言えないのだが、それ以外の日本語ローカライズを考えるなら「全編吹き替えしてるからえらい」「そもそも日本語訳があるからえらい」とも言えてしまう。
実際問題、この巨大なソフトをわざわざ全訳する労力をいとわなかったのは冗談抜きでえらい。それを考えるとあまり悪く言う気にはなれないのだ。
Q:ローカライズがクソなんでしょ?
A:はい。
これは厳然たる事実だ。
日本では2021年3月4日以降、コンシューマ版スカイリムでMOD利用が不可能になった。
何らかのローカルな規制問題を想像するかもしれないが、そうではない。
この日ユーザーアカウントの処理がアップデートされた結果、日本語環境ではログインエラーが発生して、それが放置されたからだ。
スカイリムのMODといえば紹介文の見出しに書かれるくらいの目玉機能のひとつだ。
それが単なるアカウント処理のバグで何ヶ月も利用不能になるとはにわかに信じがたい話だが、サポートページには本当にそう書いてある。
[2022年9月16日追記:AE版の発売とともに2022年9月15日、この問題はついに解決された。しかし1年6ヶ月の間放置されていたわけで、これがどうしようもないクソなのはなんら変わらない]
加えてPC版にはPC版で色々問題が起きているのだが、これはまあユーザーでない立場であまり物を言うべきではないだろう。
ただし公平を期して言うなら、コンシューマ版に限ると世界の2%程度しか売れていないという(VGChartz調べ)日本市場にそれでもわざわざ公式にローカライズ販売しているだけえらい、とは言えるかも知れない……。
Q:古いゲームなので攻略情報が微妙そう
A:言いたいことはわかるが、そうでもないぞ。
実際いま攻略本(『ザ・コンプリートガイド』)なんかは絶版で、プレ値で買えればめちゃめちゃマシな方だ。
しかしネット情報となれば熱狂的ファンも多いゲームだけあって非常に充実している。
むしろクソみたいなキュレーションサイトが流行する以前のゲームなので、Googleで上の方に出てくるクソキュレーションは1件だけ(あいつなんなんだろうな)で非常に探しやすいくらいだ。
Andrasteとこまちゃんの宝箱はプレイヤーの視点に立って簡便でわかりやすい。初心者で困ったことがあればまず見るべきだろう。
Skyrim日本語版wikiは遊びのないつくりだが、内部情報を解析した論理的で充実した情報が得られる。何であれ詳しく正確な知識が欲しければここを探すべきだ。
スカイリム攻略情報も詳細だが、中でもマップの充実は他に類を見ない。ブラックリーチとソウル・ケルンはこう言ってはなんだが普通にタルい場所なので最初から見ながら遊んでいいと思う。
SKYRIM用語集は匿名掲示板形式だ。性質上ネタバレが一切気にされないし時々治安が悪くなるが、様々な視点で率直な感想から意外な裏話までが集まっている。自分は攻略が終わった場所やキャラをそのつど検索して楽しんだ。
スカイリム防具見た目カタログ♂版と♀版はプレーが進んで見た目にこだわりたくなった頃に必見だ。意外にこういう情報はまとまっていないし、あってもMOD前提だったりするのでこういうのは貴重だろう。
Q:EDITIONがたくさんあってよくわからないのだが?
[2022年9月16日追記:信じられないことに発売されないと思っていたAnniversary Edition(AE)が本当に発売されてしまったのでこの章はだいぶ古い情報になってしまった。AE以後の個人的なおすすめはこの章の最後に追記しておく]
A:PS4とSwitchに関して言えば1択だ。
他のプラットフォームのことはちょっと……。
そもそもなぜPC版じゃなくコンシューマ版なのか? 実際(購入当時はまさかそんな事になるとは思わなかったが)コンシューマで実質MODが使えなくなった今となってはPC版の方が上位互換なのは間違いない。[追記:今は再びMODが使用できるが、PC版と違って制限があるのは変わりない]
だが、世の中意外とゲーム向けのPCを持ってない人間はいて(あなたのPCが世界標準だと思ってはならない)、安定性能を望むならコンシューマ版もひとつの選択肢だ。
PS4やSwitchであれば、現状Special Edition(SE)しか存在しないのでどれを買うか迷う必要はない(2022年1月現在。詳しくは次の段落)。
他にSkyrim VRもあると言えばあるが、本当にPSVR専用のバージョンなのでスカイリムの勝手を知らない最初に遊ぶべきではないだろう(自分はVRを最初に買ってしまったが、本当によくわからんかったのでSEをあらためて買った)。
PS4とSwitchのどちらがいいかで言えば、ハード(特にグラフィック)性能的にはPS4、携帯できる点ではSwitch、と誰でも知ってる話になる。
他にSwitch版ではジャイロ操作やamiiboといった追加機能もあるが、このへんはゲームの規模から言えば決定的な要素とは言いがたいだろう。
ところで問題をまたも複雑にするのが日本では2022年内に発売予定とされているAnniversary Edition(AE)だ。これは最大のウリがMODなのでさすがに今回こそは日本でもMODを使える「だろう」と言われているが、正直わからない。2022年に発売されるかすら怪しいと思っている。
個人的意見だが、コンシューマ版しか遊べない環境ならヘタに待つよりも今あるSEを買った方がいいんじゃないの?(2022年1月現在)
逆にAEでMODが使えるなら、今後SEでもそれに合わせたアップデートがかかる「かもしれない」という希望的観測もあるが、期待はしない方がいいんじゃないかな……。[2022年9月16日追記:これは本当にアップデートがかかってMODが1年半ぶりに使えるようになった。1年半?]
PCでゲームがサクサク遊べる環境なら、正直MODの使えるPC版の方がおすすめだ。
MODに興味がないかもしれないが、「まず今後使えそうにない」のと「使いたいときにいつでも使える」の差は大きいし、事実遊んでて「MODが使えればなあ」と思ったことは1度や2度ではない。
AEが出ていない現時点では、Legendary Edition(LE)とSEの2つが選択肢にあって、有効なMODの数を重視してLEか、そこ以外の性能を重視してSEかに分かれる(この程度のことなら遊んでなくても言っていいだろう)。
まさかとは思うがここだけ読んで決めようというものぐさな人がいれば、その人はMOD探しに向いてないのでSE一択だ。
あとXbox One以降で買いたいような人は、こんなとこ読まなくても自分で調べるでしょ、たぶん。
[2022年9月16日追記:AEが出た現在でも、個人的にはSEがおすすめだ。というのも単純に安いから。言い換えれば、AEの新要素であるCreation Clubコンテンツにそこまで(約3000円)の魅力が感じられないからだ(付け加えるなら、AEには古いMODとの互換性問題もあるという)。実際SEを買って「こりゃ新コンテンツもやらにゃ損だぜ」と思ったらアップグレードすればいいだけだし、導入としてはSEから始めれば問題ないのでは?]
Q:他に初見プレーで知っといた方がいい事ってある?
・本は流し読みしていい。
遊んでるうちに「どこ行っても必ず見たことない本がある」事で徐々に理解する話だが、全部熟読しているとゲームが進まない。
といってお飾りなのかと無視していると、クエストの発生トリガーだったり、読むとスキルが上昇する「スキル書」もあるのでそれも大損だ。
実際のところ読んでみると面白い本も多い。とりあえず常に流し読みして、引っかかるものがあれば熟読するくらいが一番適切だろう。
傾向として、クエストに関連して置いてあるユニーク本と、スキル書はたいてい読み物として普通に面白いよ。
・このゲームはFPSではない。
ボタン一発で一人称視点と三人称視点が切り替えられるが、経験から言ってプレイヤーキャラの視点とカメラ視点が分離したTPSの方が遥かにやりやすい。
周囲が把握しやすいから道に迷わないし、敵の位置も見失わない。
ついでに言うと一人称視点だとオブジェクトが拡大されてアラが見えやすいので、没入感という点でもマイナスだ。ゲーム開始時のデフォルトがFPSモードだからといって律儀に合わせる必要はない。
ただし弓矢や魔法で攻撃する時は、三人称視点だと狙いを付けるのに自分の体がハチャメチャに邪魔になる。本棚に並んだ本を選ぶときもカーソルがどこ指してるのかわかりづらいな。
自分はこういう時は必ずFPSに切り替えるようにしていた。要はTPOに合わせ柔軟にということだ。
・何でもかんでも拾うな。
最初のダンジョンで理解できると思うが、他のRPGやハック&スラッシュの感覚で見つけたアイテムを全部拾っているとたやすく重量オーバーする。
鈍重になるだけで動けるからいいと思うかもしれないが、鈍重すぎて村に帰るのすら苦痛になる。つまり動けないのと同じだ。
ではどうすればいいか? 重量と価格の比率を意識しろ。「軽い割に高い」物が最高だ。
重量オーバーしたら要らないものから捨てろ。一旦村に帰って売りさばく方が一見アドに見えるだろうが、帰って戻っての手間と比べれば捨てた方が遥かにマシだ。基本的にダンジョンは1回で踏破するようにデザインされていて、途中で帰るものではない。リレミトの呪文的なものもないし。
・夜は寝ろ。
ダンジョンの中や盗賊プレー中ならともかく、夜間に積極的に行動すべきではない。
第一に暗い。くだらないことのようだが、暗いことは地形や敵を見逃すこととほぼイコールだ。たいまつや灯火の呪文があったとしても昼間とは雲泥の差で、これらはやむなく夜に動かざるを得ない時のセーフティにすぎない。
美しいロケーションを完全に見逃すことになるというのも、ゲームを楽しむ上では大きなマイナスだ。
夜間はNPCだって寝るという事実も忘れてはならない。会話はできないし店は閉まっている。平和なタイプのRPG感覚で気軽に家におじゃまするとダイレクトに攻撃されることもある。そりゃ中世で夜中に知らん人が入ってくればそうもなるわな。
・アイテム欄のお気に入り機能は活用しろ。
予言しておくが、ゲームを進めるとアイテム欄はゴチャゴチャする。
そうでなくとも装備の切り替え(これも絶対に発生するようになる)のたびにメニュー→アイテム→種別→…と操作するのは手間だ。
そこでよく使うアイテムを「お気に入り」に登録しておけば、メニュー階層を降りずとも⬆ボタンで登録したアイテムだけが抽出されるので大きな時短になる。
……というだけではない。
もっと重要なのはこの⬆ボタンメニュー中に、⬅または➡を長押しすると「ショートカット」が登録できるということだ。
登録した中でさらに登録することにUIの混乱を感じずにはおれないが、とにかくこうしてショートカット登録するとプレー中に⬅/➡を押すだけで登録したアイテムが装備できる。
一番わかりやすい例は、戦闘中の武器の切り替えだろう。たとえば剣に⬅ショートカットを、弓に➡ショートカットを登録しておけば、戦闘中メニューを一切開かずにボタン一発で剣と弓が切り替えられ、この上なく快適になる。
・従者が付いたらTorchを持たせろ。
上で言った通り暗闇は何かと危険だ。
そこで従者(普通にゲームを遊んでいれば、まず付くことになるだろう)にはたいまつを持たせておくといい。
自分が持つといちいち戦闘のたびに持ち替える手間が発生してやってられないが、従者なら装備すらさせずアイテム欄に入れておくだけで暗い場面には自動で灯りを点してくれる。これは大きい。
そしてTorchはプレイヤーキャラが持つと時間制限で消費されてしまうが、従者が持つと永続的に使用できる(なぜだ)。
はっきり言って持たせるだけでゲームがかなり快適になるので、少し先の話にはなるがこれだけは憶えておいてほしい。
・従者はそこそこはぐれる。
言っても従者はしょせんNPCなのでたまに変な挙動をする。
特に海辺や岩場だとなぜか追尾不能と判断することがあって、とんでもない遠回りをしたり最悪同じ場所でウロウロし続けることになる。
はぐれた従者はロードを発生(マップ切り替え中継点の「扉」を開ける、高速移動する等)させればまず間違いなくプレイヤーの傍にワープするので、はぐれたからと言ってあわてずに放っておいた方が気楽でいいだろう。
これが、ロードしても出て来ないと少し深刻な気がしてくる。たいていは強制的に別の従者が発生した時や、プレイヤーを一人で行動させないと不自然な時などイベントの都合なのだが、何の説明もなく消えるのでだいぶ怖い。
こういう時はイベント終了後に「最初に出会った町にある自宅」、自宅がなければ「最初に出会った場所」に行けば必ずそこにいる。
自分の経験上は、そうだったと思い……ます……。もっとひどいバグとかあるのかな、あまり想像したくないものだ。
・道を歩け。
びっくりするようなアドバイスだと思うが、どこに行くのであれまずは道を歩くべきだ。
スカイリムは意外に親切にできていて、ダンジョンを含むたいていの場所は道なりに歩けば到達するように作られている。もちろん大半は整備された街道ではなく獣道のたぐいではあるし、しばしば奇妙な回り道をすることにもなるが、道が分岐していればその先は必ずどこかしらに到達するようになっている。
要するに行きたい場所があればその周辺のすべての道を踏破してみればまず間違いないし、その余録として別のロケーションも発見できるしいいことずくめなのだ。(※一部の広大な平野などは除くが、そこはそこであまりに道がないためさすがにそういう事だとすぐわかるだろう)
途中までこれに気付かなかった私は何でもかんでも画面上のマップシンボルを頼りに直線ルートで探していたが、実際とても効率が悪い。たいていそういう事をすると山や谷の地形に阻まれることになっていて、強引にアタックしたところでにっちもさっちも行かなくなって時間をむだにすることになる。私はなった。
あとがき:スカイリムが終わったらどうするの?
A:しばらくは3時間で終わるようなインディー小品をたくさん遊ぼうと思う。
前に書いた通りはちゃめちゃにゲームを積んでしまったので、とにかく数を減らして心の平安を保ちたい。
そして落ち着いたら……またスカイリムを起動してソルスセイムに行く。
そう、ここまでで書いてなかったが、DLCで追加された「ソルスセイム島」の冒険を完全にほっぽってました。
公式に20時間以上のボリュームがあるとされているんだよな。何それ怖……。