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音楽動画配信webサービス・エンジニアより(ビジョンを考えた話)


エンジニアより第4回! 菊地です。
と言っても今回は、エンジニアリングからは少し離れた話になります。

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既に告知しました通り、今週金曜日の10/30にauditoriumがリニューアルされます。TOPページが大幅に変わっているのですが、主に初めてauditoriumを見た方々に
・auditoriumがどんなサイトなのか?
・どんなことをしたいのか? 何を実現したいのか?
を伝えることを目的としてデザインされています。

これらはスタートアップ(始めたばかり)の企業では、よくビジョンとして掲げるものなのですが、いざauditoriumで考えてみると、パッと浮かばないという状態でした。

(コロナ禍で演奏ができない状況に対抗すべく、ネット上で演奏を公開することを目的としていましたが、いざそこで何を表現したいか、何を提示するか、と考えるとなかなか難しい…)

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さて、リニューアルしたデザインを詳しく見ていただくと分かるのですが、最終的なビジョンとして

『ここから、「わからない」を旅しよう。』

というものを掲げました。パッと見ても何だ? と思う方がほとんどだと思いますが、これに至るまでに様々な議論がありました。順を追って見ていきたいと思います。

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最初に、今あるauditoriumの良さが何かを考えました。

まず、知らない音楽と出会えることが上げられます。既存のあまり演奏されないような曲もさることながら、auditoriumで発表することを前提に新たに作曲された作品も公開されています。

また、知らない楽器との出会いもあります。

聴いたことがあるような曲でも、解説やインタビューを通じてさらに深めることができます。

auditoriumは、こうした「知らない曲」「知らない楽器」「知らない曲の背景」「知らない様式」「知らないアーティスト」…を取り上げ、新しい何かを知る喜びを提供できるプラットフォームとして機能しているのではないか。そしてそうした活動を今後もしていきたい、という話に落ち着きました。

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さて、Youtubeなどで知らない曲に出くわしたとき、皆さんはどうするでしょうか? 最初の数秒で興味を引かれなければ、次の動画へ移ってしまうのではないでしょうか?

この状況は、音楽業界において重大な課題として捉えられています。利用者は数秒でその曲を聴くかどうかを決めてしまう。そのために、イントロを魅力的にしよう、サビを最初に持ってきてしまおう…と音楽を一定の様式に限定するような形で、再生数を稼ごうとする動きすらあります。

(私の会社は音楽マネジメント業務を行っているため、こうした情報がたまに入ってきます)

Youtubeの性質上、再生数に応じてランキング処理やレコメンドが行われるため、一般層(非クラシックリスナーを含む)にも「分かる」曲は拡がったとしても、独自の世界を展開する現代音楽などが拡がることはなかなかないでしょう。

つまり、auditoriumのような「知らない音楽」を届けるサイトというのは、実はかなり需要があるのではないか? と考えています。

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「知らない音楽」に触れたとき、そして聴いてみてもそれがすんなり理解できなかった時、どう感じるでしょうか。

私たちは「わからなくても良い」と考えています。むしろ「わからない」ながらも、音楽から感じ取ったものをそのまま受け止め、感覚として染み込ませていく、という経験には大きな価値があるのではないでしょうか。

このサイトは当初から「美術館での体験」を手がかりにしています。私事ですが、先日閉幕した「ヨコハマトリエンナーレ2020」に出向いた際、分からないけど考えさせられる、という体験を何度もしました。電子機器を規則的に、もしくは不規則に並べた平面作品。明滅する電球に照らされる、一直線に並べられた四角い鉄の板。これらには何らかのテーマがあるのかどうかすら「分からない」状態でしたが、そこに展示されることによって確かに何かを感じさせられました。

Youtubeとこうした美術館の大きな違いは、そこにキュレーターがいるかどうかです(キュレーターとは、作品を選定し、どこに配置するかを決める人のことを指します)。私たちは、キュレーターと作者によって、その場に何かがもたらされているはずだと信じることで、展示から何かを感じ取ろうとします。

幸いなことにauditoriumは、当初から柳嶋さんと谷さんの両名がキュレーターを担当しています(今後、別の方にキュレーターをお願いすることも検討されています)。これによって、Youtubeにはない「作品をじっくり聴く安心感」を提供できるのはないか、と考えています。

ぜひ安心して、『「わからない」を旅して』いただければと思います。

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と、このような流れで、冒頭に記載した

『ここから、「わからない」を旅しよう。』

というビジョンに辿り着きました。

auditoriumを通じて、知らない何かと出会い、じっくりその音楽を味わい、そして解説などから音楽を深めていただければ幸いです。

それでは、また次回!

#initium_auditorium


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initium ; auditorium / イニツィウム・オーディトリウム
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