細野晴臣のライブの話。
2023年2月11日、有楽町のI’M A SHOWで細野晴臣氏出演のイベントがあった。
HARUOMI HOSONO「SAYONARA AMERICA」Cinema&Talk&Musicと題したイベントはその名の通り、映画とトークとライブのイベントだ。
400人程度が収容できる小さな劇場で、しかも一夜限りのイベントだった。申し込んで当選することさえも狭き門であったのだが、さらに幸運なことに最前列の席に座ることができたのだ。
ライブの直前はいつも緊張してしまう。もちろん僕は見ているだけなのだが、どういうわけか身構えてしまう。なんと言ってもこれから目の前に現れるのはあの細野晴臣なのだ。
僕の中でその存在は大きく、YMOはもちろん、はっぴいえんどのこともある。ソロ名義のアルバムも好きだ。最近では台湾のイラストレーターであり漫画家の高 妍さんの『緑の歌-収集群風-』にも登場していて、より一層好きになった。
イベント開始5分前に最後の場内アナウンスが流れていよいよ緊張はピークに達した。本当に細野さんに会えるんだという喜びと期待の頂点だった。
定刻の17時になり、細野さんが深夜に放送しているラジオ、Daisy Holidayお馴染みのオープニングと共にステージの袖からゆっくりと出てきた。
「どうも細野晴臣です」
続いて、ゲストにクラムボンの原田郁子さんと角銅真実のユニット、“くくく”も登場してラジオのようなトークが始まった。冗談を言ったり、真剣に音楽や国内外の文化について話したり、間にちょこっと演奏したり、大変充実した時間だった。
あの細野さんが目の前にいる。手を伸ばせば届きそうな距離に。(手の長さが5mなら)
先月、盟友の高橋幸宏さんの訃報があったから周りから心配されている、と話していたけれどもギターの弾き語りも軽やかでそれでいて力強く、まだまだ元気だという印象だった。
曲目
アーユルヴェーダ(細野さん、くくく)
銀河鉄道の夜(くくく)
終わりの季節(細野さん)
Stella(細野さん、くくく、ゲスト:高野寛さん)
トーク&ミュージックのあとは2019年にアメリカで行ったライブをまとめた映画「SAYONARA AMERICA」が上映された。細野晴臣という音楽家を語る上で欠かすことができないアメリカンミュージック。YMO、はっぴいえんどもの各所にも感じるルーツミュージックと言える。
ただ歳を重ねるだけではない、洗練されていく細野さんの音楽のセンス、アメリカでカバー曲や自身の曲をカントリー調にアレンジして演奏をして、現地のファンを大いに熱狂させた。改めて音楽には国境はない、と感じることさえ不自然に思えるような、オーディエンスにも最大限のリスペクトが込められている素晴らしいライブだった。
やりたいことを真っ直ぐにやる、映画の中でも今回のイベントでも、自由に演奏する細野晴臣スタイルがとても好きだ。
同行者も緑の歌で細野さんを知ったっぽいので、あまり詳しくはないと言っていたけれども、音楽の雰囲気であったり軽快なトークを楽しんでくれていたみたいでなによりだ。
次に行くライブも4月に来日するエリック・クラプトン。おじいちゃんのライブばかりチケット取ってごめんよ。
また細野さんのライブに行きたい。叶うなら、好きな曲『住所不定無職低収入』を聞きたい。
イベント後は新橋にあるMAN IN THE MOONへ。フィット&チップスとビールの美味しいお店。近くに行くとつい吸い寄せられてしまう。