シダネルとマルタン展に行ってきた話。
西新宿のSOMPO美術館で開かれていた「シダネルとマルタン展」に行ってきました。
なお、このnoteは美術館巡りが趣味のアート素人が書いているので、若干の解釈の違いがあるかと思います。備忘録や感想的なものであると了承していただけると幸いです。
さて、今までにも僕はアンリ・ル・シダネル(HENRI LE SIDANER)の絵を見たことがある。特に覚えているのは横浜のSOGO美術館で開かれていた「ミレーから印象派への流れ展」で見た。『日曜日』という作品だ。
白く淡い光の中に修道女たちが日曜日の礼拝に集まった場面を描いたであろう本作は、温かみを第一に感じた。
また同展ではアンリ・マルタン(HENRI MARTIN)の作品も見たがそのときには特に大きな印象には残っていない。海岸の岩を描いた『ブルターニュの海』である。どうやらマルタンはこの場所の風景画を何点か書いているようである。
印象派の画家といえば、まずモネやゴッホ、次にルノワールやピサロを僕は思い浮かべる。
シダネルとマルタンはともに、印象派の流れで後期を代表する画家であると言える。しかしながら、この二人にクローズアップした展覧会はなかったそうだ。
たしかに、僕が過去に行った企画展でもシダネルとマルタンは印象派のグループを説明する"材料"として、それぞれ1枚ないし2枚が紹介されるだけだった。
シダネルとマルタンの二人は密接な交流があり、点描画の手法の点から見ても、お互いが刺激し合っていた事は想像に難くない。そういったことから考えても、今回の展覧会におけるシダネルとマルタンを同立に挙げて語ることはとても自然なことだと言える。
まず展示の導入部分ではシダネルとマルタンがランダムに飾られていた。
シダネル シダネル マルタン シダネル ……
マルタン マルタン シダネル マルタン シダネル ……
(権藤権藤雨権藤、雨雨権藤雨権藤みたいな)
まぁ、どっちがどっちだかパッと見るだけでは判別できなかった。1枚の絵の前に立って、しばらく「どっちの絵でしょうか」と考えて、「シダネル!」と答えを出してはみたものの、タイトルを見るとマルタンの絵だったりした。
しっかりと美術の基本を学んだ人であればすぐに見分けが付くのだろうか、と気になった。
一度にこれだけの量のシダネルとマルタンを見ると、いくら素人の僕でも見分けが付くようになってきた。解説も丁寧で、どこに注目をすればより楽しめるかよく考えられていた。
僕なりにシダネルとマルタンを見分ける方法を書き留めておく、もちろん正解ではない。
シダネルはあまり人物画は書かない。正確には前期にはモチーフに選んでいたが、後期に進むに連れて、人物を絵の中に描くことは少なくなった。ただし、食器や家具などを配置して人の痕跡を残す絵は多い。また親族など親しい人の肖像画などは書いていたようである。
マルタンは人物画については、シダネルのように極端に少なくなった時期はない。絵の具の量は多めで、筆跡が濃く残っていて立体的である。自宅の場所も関係してか、海沿いの風景画が多い。
それぞれ例外はあるものの、点描画の技法を用いるという共通点を持ちながらマルタンとシダネルに明確な違いを感じた。
シダネルは寒色系の色を用いており、マルタンは暖色系の色を多く用いている、ということに気がついた。
まあ、しかし「この絵がどちらの画家が書いた絵か分かりますか?」と聞かれたら僕はこう答えるだろう「アンリ(HENRI)」と。
今回の展覧会で特に印象に残ったのはマルタンが描いた、シダネル本人とシダネル夫人の肖像画だ。この2つの肖像画は習作でありながら、マルタンが素晴らしい友人とその妻を描いたときの温かみをその表情に感じた。
他にも今回展示されていた絵画の多くは個人で所蔵している物が多く、それらが一度に集まっていた事は大変貴重に感じた。
個人像の絵画も何枚かはポストカードなっていたのはありがたい。
最後に……
SOMPO美術館へ行ったら絶対に見逃せない絵画が1枚だけある。
フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Willem van Gogh)の『ひまわり』だ。
なんでこんなところに、と僕も初めて見たときは驚いたがSOMPOが創立100周年の機会に購入したそうだ。そして、撮影とSNSへの掲載が改変禁止など条件付き(それはそう)で許可されている。
美術館が許可をしているのだから個人の自由ではあるが僕は、なんとなくこの『ひまわり』を撮影しようとは思わない。それは僕が新宿へ比較的アクセスが良いから気軽に見にこれるからというのもある。それと実際に見たときのサイズ感や細かな筆の跡など写真からはわからない事がたくさんある。
このnoteには『ひまわり』の写真は載せないでおく。気になった方はぜひ、実際にSOMPO美術館を訪れてみると良い。その時の第一印象はきっと素晴らしい物になるだろう。入館料もだいたい1500円前後なので気軽に見に行ける点も良い。
せめて、入り口の複製画を貼らせてください。
ではまた。