#ヴァイオレット・エヴァーガーデン
今で良かった。
今観て良かった。
昨年観ていたら、エモーショナルになり過ぎていただろうな。
でも、今観たから出てくるエモーションもある。
過去作をすべて観ただけなので(インタビューや作品紹介は読んでいない)、これが完結編とか分からないけど、作品の集大成となる、ファンは号泣必至!
不意を突かれてしまった。
見覚えのあるバルコニー。
おばあちゃんの残した手紙。
冒頭から涙が出てきてしまった。
暁佳奈原作、架空の世界を描きつつ、地球上で起こった大戦後の世界観を描き出し、優しく寄り添ってくれる、そんなシリーズ。
テレビ版が1話約23分×13話、4話と5話の間にスペシャルが挟まり、2019年に映画で外伝が、2020年に新作が公開されたという流れ。
今回の劇場版は、これまでのエピソードから50〜60年くらい経った(ストーリー上の)現在の話、手紙を書いてほしいと連絡してきた子供(ユリス)の話、そして、ギルベルトが生きていた話と3つのストーリーが絡み合って、、という感じ。
正直、アニメはそれほど見ないし、少女マンガのような絵も得意ではないので観てなかった。でも、映画を薦められ、できればテレビ版を観てから映画を観た方が良いと言われたので、Netflixで一気見。
。。素晴らしいですね、この作品w
一気に二度見ちゃった。1日でw
(結局、1ヶ月弱で7周くらい観ている)
売り切れていたパンフレットは、送料かけて購入したし、3000円するストーリーボードも買った。
完全にファン!
さて、本作は今までのエピソードと違う点がある。
それが時間の使い方。間をしっかりとっていること。
これまでのエピソードは、時間は短いけど過不足ない、よく練られた作品だと思うけど、今作は違う。
140分。数字だけ見ると、長い。
でも、それは一切(思わ)ない。どっぷり話に浸かれて、あっという間!
この時間の使い方こそ映画的であり、シリーズの集大成として相応しい。
そして、その時間がファンには贅沢でかけがえのない時間だったと思う。
大きなスクリーンで、ヴァイオレット・エヴァーガーデンの世界観を体感できることもうれしい。
(過去作はノートパソコンで観たので、、)
特に、エカルテ島の海!
あの海の表情を観るだけでも、この映画を大きなスクリーンで観る理由がある。
人物と風景(海)の描き方のコントラストとか、アニメ的な表現も堪能できる。
後ろ姿(後頭部)で感情を伝える、というのも面白い。
お祭りを後にするシーン、1人で郵便社に戻るシーン、病院のシーンetc...。
これまでのエピソードでも同じようなシーンはあったけど、映画館で観ると余計に印象に残る。
顔を見せれば分かる表現を(できないわけがないし)、あえて後頭部だけというのは表現に自信がある(とかプロに言っては失礼だけど)のはもちろん、あえて観る者に想像させるという、余白を持った表現。
そう、以前大ヒットしたアニメ作品を薦められ、良いなとは思ったけど、そこまでのめり込めなかった。
すべて答えを提示しちゃってて、最後の方は答え合わせを観てる気になった。そういうこともあって、アニメはそこまで観てきてない。
作品において観客に委ねる部分があるかは、人気の継続という意味で、非常に重要な要素だと思う。
エヴァンゲリオンがあんなに受けているのは、答えが分からないところがたくさんあって、観る者に入り込む余地がたくさんあるからだと思っている。
そして、この作品は、十二分に話へ没入でき、見る者の想像力をかき立ててくれる。
音を体感することも、今作の大事の要素になっている。
静かなシーンから、爆発音で場面が変わるあたりは特に。
あとはオーケストラの音楽!
クライマックスシーンの「みちしるべ」とか最高じゃないッスか!
印象的なエンディングテーマとして、テレビシリーズから流れているけど、今回この曲がかかるシーンが、、すべてがここに帰結するための曲だったと思える。
泣くしかないw
。。と色々書いてきたけど、ファンにとっての一番のプレゼントは、テレビシリーズと外伝の全15作品を踏まえ、さりげなく散りばめられたシーンの数々だろう。
まず、今作の幹になっているテレビシリーズ第10話。
死期が間近な婦人が一人娘のために50年分の手紙を残す話は、今作における遠い未来から描かれたエピソードにおいて、婦人のひ孫、デイジー・マグノリアがヴァイオレットの足跡を辿るきっかけになっている。
(やっぱり、テレビシリーズ、観なきゃダメ!)
そして、ヴァイオレット。
エピソードの中で頂いたものを身につけたり、持ち歩き続けている。
エヴァーガーデン家の奥方から頂いた手袋。
(正確には、テレビシリーズ最終回で捨てざるを得なかったけど、同色を使い続けている)
カトレアから結んでもらったリボン。(服もだよね?)
ヴァイオレットのトラベルバッグのグリップに挟んである日傘。(テレビ版第7話の空飛んじゃうやつ)
この3アイテムは、今作のエンドロール前でも、ヴァイオレットの後ろ姿とともに描かれている。
傭兵だった彼女が、「『愛してる』を知りたい」という気持ちからドール(自動手記人形)を始め、人の心を理解し、気持ちをほぐすような手紙を書いて人気のドールになっていく過程で、大切なものが増えていった。そして、大切にし続けている。この設定だけでも飯3杯いける!
(あ、ブローチ!、、は最後の場面には出てこないか)
そうそう、エリカのちょい役出演もうれしい。
夢への一歩を歩み出したことをCH郵便社のみんなに報告する冒頭。ここで、この話が数週間から2ヶ月弱のスパンであることが分かる。
そして、ラストの花火シーン。彼女が見せた2度目の涙で、ヴァイオレットの願いが叶ったことを知ることができる。
(「みちしるべ」はエリカ役の茅原実里が歌ってるから、エリカは重要!!)
他にも、細かいところで過去作の要素がたくさん入っている。
ヴァイオレットが書いた海の賛歌を渡したのは、スペシャルで登場したオペラ歌手のイルマだったし、デイジーが訪れたCH郵便社の記念館にある写真には、昨年の映画版(外伝)で登場したテイラーも写っている。
レストランでのシーンでは、彼女のテーブルマナーが、というよりも、女性として、人として成長したことを教えてくれる(そりゃそうだ、昨年の映画版では、令嬢にマナーを教えているわけだし)。
。。おそらく、気付いていないところもあるはず。
こんな具合に、細かいところにまで気を遣って、丁寧に作っていることがうれしい。
そして、作り手の愛情がこれほどまでに伝わってくるのが、観てるこちらにとっても本当にうれしい。
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この作品は今回で最後なんだろうな(パンフレットなど、まったく読まずにいたから真相は分からない)。
でも、ヴァイオレットがCH郵便社にいた4年間の出来事を外伝という形で描いてくれてもいいんじゃない?と言いたくなる。
平日午後に、シリーズをごちゃまぜで再放送している「相棒」みたいにw
きっと、提示すべき題材があれば、その外伝は制作されるはず。
そういう意味では、まだ余白を持った作品だろうな。
と思ってたら、3回目を観に行った先日、公開2週間後から入場者に配布され始めた短編(「ギルベルト・ブーゲンビリアと儚い夢」)を読んだら、その後のストーリーが少し書かれていた。
まだ終わってないんだよね。会えたけど、これからだって。
彼女がエカルテ島へ行った後のストーリーがないし、切手になる人望って何よ!w
(そして、CH郵便記念財団の切手という設定!)
こうして、観た者に色々な想像を、にやつかせてくれる時間をくれるのは、良い作品の証拠。
これからも、この作品、そして京都アニメーションには期待せずにはいられない。
と、見始めてから1ヶ月も経たない自分がここまで入れ込んでるんだから、観て損なし!
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