012 カテゴリーエントリーポイント(CEP)
デジタル技術が発展し、ECサイトもグローバル化が進み、国内だけでなく海外の商品も容易に入手できるようになりました。検索すれば、玉石混交でいくつもの商品が表示されます。その中で自社ブランドが選ばれる必要があります。
カテゴリーエントリーポイントとは
カテゴリーエントリーポイント(Category Entry Points, CEP)とは、消費者が特定の状況においてブランド・商品・サービスを想起する、思い浮かべるきっかけのことです。
なぜCEPが重要か?
例えば、「ビジネスシーンで使える革靴と言えば?」で思い浮かべるブランドは何でしょうか?
「放課後に友達と飲む炭酸飲料と言えば?」で思い浮かべるブランドは?
潜在的な顧客となる人々が自社のブランド・商品・サービスを思い浮かべる状況をしっかりと作ることで、その実顧客になる可能性が生まれます。何人にもアンケートを取れば、当然回答は割れますが、自社のものが想起される割合を高めることで競争に勝つことができます。
CEP(s)を考えるためのフレームワーク
CEPとなるカテゴリー(状況)は複数想定されるため複数形で CEPsと表現されることがあります。CEPsを考えるフレームワークとして、以下のものがあります。(カッコ内はシューズの例)
目的・理由は?(ジムで運動するためのシューズは?登山のシューズは?仕事のシューズは?)
いつ?(取引先とのオフィシャルな会議では?一人で休日出勤の時は?職場のレクで球技するなら?)
どこ?(取引先オフィスでは?自社オフィスでは?レクをやる体育館なら?)
誰と?(取引先の役員と、一人で、自社の同僚たちと)
何と一緒に?(パリッとしたスーツ、休出のデニム、レクでジャージ)
自社ブランドが選ばれるために
自社が、ビジネスシーンでスーツに合う革靴を売っている場合に、以下の2つの条件をクリアする必要があります。
カテゴリ(サブカテゴリ)が選ばれる:「取引先に合うときにはスーツ着用」というカテゴリが選ばれると、スーツにあう革靴が選ばれる可能性は高まります。一方でビジネスシーンでもカジュアル化が進みスニーカーが許される割合が高まると、革靴の需要は減ってしまいます。
自社ブランドが思い浮かべられる:「ビジネスの革靴と言えば、自社ブランド」というように他者と差別化を図り、消費者が想起できる状態を作る必要があります。
自社ブランドが購入される:「靴屋に行って自社ブランドの靴を購入」という、実際のアクションです。
メンタルアベイラビリティとフィジカルアベイラビリティ
「ブランディングの科学 新市場開拓篇」では、自社ブランドが選ばれ・購入されるまでに、メンタルアベイラビリティとフィジカルアベイラビリティの大切さに触れられています。
メンタルアベイラビリティ (Mental Availability)
消費者の自社ブランドに関するすべての記憶です。ブランドの名前、ロゴマーク、ブランドカラー、サウンドロゴなども含み、消費者が想起するトリガーとなる記憶が多く、新鮮であれば、自社ブランドが選ばれる可能性が高まります。
フィジカルアベイラビリティ (Physical Availability)
自社ブランドの購入に繋げるには、そのブランドの浸透に従い、消費者に幅広く購入機会を提供することが重要です。実際の店舗や ECサイトで、自社ブランドが見つけられなかったり、品切れであれば購入に繋がりません。店舗で競合ブランドが、より目立つところに展示されると、折角想起された自社ブランドが上書かれてしまいます。
自社の商品・サービスが存在感を持ち、目立っていて、買いやすい状態を作るように努めなければなりません。