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君は錆喰いビスコを知っているか。

妻の古い友人で、僕とも結構な付き合いになる友人がいる。ネット繋がりの友人なので実際に会う事は年単位ごとだったりするのだが、会えばデビルマンの話で盛り上がったりなんやりしていた。僕達界隈でも歳が下の方なので、精悍な見た目に似合わずみんなの弟のような、そんな人物。

ある時僕が東京に行った際、時間があったので彼と飲みに行った。彼はネオン煌びやかな池袋の路地を自分の家かのように進み、路地裏の小さく雑多で活気のある中華料理屋へ案内してくれた。そこで僕と彼は麻婆豆腐をつつきながら「真・女神転生2の最強の防具」の名前を自力で思い出そうとしていた。「ホゥアコンとタップスアンまではわかるんだけどな…」などと僕が頭を抱えている時、ふっと彼がつぶやいた。

「それはそうと、いま新人賞に応募する小説書いてるんですよ。出来上がったら一回読んでくれませんかね?」

二つ返事でオーケーした僕は再び防具の名前を思い出そうとした。カムライターオは彼が思い出したが、残りの一つは結局ググってしまった。パーホゥラット。判るか。

その後時は流れ、ある日彼からお手製のPDFが送られてきた。彼の小説を読むのはこれが初めてだった。後になって知った事だが妻によると昔から彼はパルプを書いていたそうだった。

錆に覆われて滅び、奇怪な生物が跋扈する未来の日本で逞しく生きる人達の物語がそこにはあった。羅刹のようなキノコ使いの少年がひとたび弓を放てば、射られた場所から巨大なエリンギが飛び出して、彼の相棒である巨大カニごと高い関所を飛び越えるのだ。めちゃくちゃだ。めちゃくちゃだが、とてつもない熱量を感じた。僕は文庫本ぐらいの分量があるそれを一気に読み、最高だったと感想を送った。彼の返信は心底嬉しそうだった。

結果、その作品は電撃大賞で銀賞を取り、彼は商業デビューを果たした。オンラインアワードでも月間総合1位をぶんどった。書籍になったあの作品はさらにパワーアップしていた。僕達界隈はみんな大喜びだった。僕達のこぶくんがついにやったぞ!と。映画「8マイル」を観た皆さん、あのMCバトルの最終決着シーンみたいなテンションをご想像に頂きたい。

そんな感じで終末冒険もの、バディもの、カニが大好き、キノコが大好きな方はきっと喜ぶのが錆喰いビスコだ。すごい。公式サイトに試し読みがあるのでなんかこうアッこれは層!ってなったら是非ご購入をば。

そんな錆喰いビスコ、2巻が夏の終わりに出るそうだ。

すごい!全然わからない!しかしこれが彼が彼のメキシコで生き抜くために選んだGUNなのだ。願わくばサボテンに刺される事なく、楽しい旅を続けて欲しいと思う。ちなみに副題は野沢雅子に叫んで欲しいそうだ。めっちゃわかる。

#日記 #ライトノベル #ラノベ #錆喰いビスコ #瘤久保慎司 #女神転生

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