未知の領域

深呼吸をして目を閉じてみると、意識が朦朧としてくる。

やがて己は、まどろみに入る。

そこは、未知の領域である。

世界は、「自分だけは確かに存在する」と認識するところから始まるらしい。

その認識が揺らいでいく意識、それは未知の領域である。

やがて未知の領域を通過した意識、つまり夢の中では、「自分は確かに存在している」と認識できるだろうか?

夢は、不可思議な領域だ。

現実ではあり得ないはずのことが、まるで現実に起こったかのような領域。

それは悪夢かもしれないし、幸福な夢かもしれない。

いずれにせよ、生き物はいつか、その不可思議な領域から一気に「現実」という世界へと引き戻される。

それは、おそらく死ぬ時も同様である。

生きているものは、死んだ世界を夢見れない。

ある意味、完全に不可思議な領域と言える。

その「完全なる不可思議な領域」から引き戻された瞬間に、もう一度新たなる「生」が始まると考えたら、どうだろうか?

死は、まるで未知への冒険のようなものかもしれない。

そう考えたら、少しだけ今が楽になる気がした。


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