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大月桃太郎伝説④

 大月桃太郎伝説その④です。

 話が進んできましたので、今回は「大月桃太郎伝説」に登場する場所やいわれのあるモノについて紹介します。

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①桃が実った百蔵山(ももくらさん)
 「大月桃太郎伝説」では、この百蔵山で実った桃が川に流れて物語が始まります。

 かつては「桃倉山」と表記されていたとされますが、江戸時代の『甲斐国志』や「下和田村絵図」を見る限りそのような表記は確認できませんでした。

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②犬の出身地、犬目(いぬめ)
 かつてここには甲州街道の宿場、犬目宿がありました。

 「大月桃太郎伝説」では、この場所で犬を従えます。が、犬にちなむ何かを確認することはできません。

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③雉の出身地、鳥沢(とりさわ)
 「大月桃太郎伝説」では、この場所で雉を従えます。ですが、ここも鳥にちなむ何かがあるわけではありません。

 かつてここには甲州街道の宿場、鳥沢宿がありました。鳥沢宿は上鳥沢宿と下鳥沢宿の合宿で、月の15日毎に宿場経営を交代していました。

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④猿の出身地、猿橋
 「大月桃太郎伝説」では、この場所で猿を従えます。渓谷を渡る猿がヒントとなり、橋が架けられたという伝説をもつ猿橋(名勝)があります。

 かつてここには甲州街道の宿場、猿橋宿がありました。

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⑤鬼の棲む岩殿山
 山頂には戦国期の山城、岩殿城跡があり、山麓~中腹には本山派修験の寺院、円通寺跡があります。 

 「大月桃太郎伝説」では、この山に鬼が棲んでいたとし、桃太郎と鬼の戦いの場にもなっています。

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⑥鬼の棲家、鬼の岩屋
 ここは明治8年に廃寺になった円通寺の施設、新宮のあった場所です。雨天時もしくは雨天の翌日には写真のような滝が現れます。

 「大月桃太郎伝説」では、この場所に鬼が棲んでいたとされています。

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⑦鬼の投げた鬼の杖
 鬼が桃太郎に投げつけたとされる石杖です。左手で投げたため飛距離が伸びず、岩殿山の麓、賑岡町に落ちたのだとか。

 ちなみにこの付近は石動(いしどう)と呼ばれる地名ですが、この石杖が落ちたため、地面が揺れた=石が動いた=石動、という地名になったといわれています。

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⑧鬼の投げた鬼の立石
 鬼が桃太郎に投げつけたとされる2本目の石杖です。こちらは右手で投げたため飛距離が伸びすぎ、ここ笹子町まで飛んだといわれています。
 
 なんという腕力だ…。テニスボールを風船のように膨らませる肺活量を持ち合わせているかもしれない。

 笹子町では、この鬼の立石は、鬼が投げた石杖ではなく、山姥の持っていた石杖として伝わっています。

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⑨鬼の血が染み込んだ鬼の血
 「大月桃太郎伝説」では、死んだ鬼の血が染み込んだため、この付近の土は赤くなったとされています。
 
 確かに赤い土、あります。なぜかは分かりません。ただ、この神社の赤い土を見ようといろんな人が掘ってしまうので、境内の地面を砕石にしたと聞きました。が、今は砕石ごと掘って赤い土を見ようとする人たちがいるそうです。

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⑩鬼が酒を飲んだ鬼の盃
 鬼が夜な夜なこれで酒盛りをしたという、円通寺跡にある鬼の盃。
 …これは間違いなく明治8年に廃寺になった円通寺の手水鉢ですね。


 ここからは最近になって追加されたものを紹介します。

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桃太郎神社
 ここは厄王山(やくおうさん)とか厄王山大権現と呼ばれている神社です。神社について詳しいことは分からなかったですが、本宮と呼ばれる社が鳥居の向いている方角の山の山頂にあるようです。厄王山という名前からして修験的なイメージを受ける神社ですが、近年「桃太郎神社」という名前も使い始めました。

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桃石
 境内にある桃石。触ると良いことがあるようです。

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談合坂
 江戸時代の絵図に「団子坂」と表記されていることから、桃太郎はここで団子を渡されたのだとか。

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桃太郎地蔵(?)
 左手にある宝珠を桃とし、舟に乗っていることから、桃+舟=桃が川を流れる=桃太郎、と解釈されたのでしょうか。岩船地蔵ですね、これは。

 さて、いかがだったでしょうか。こういった地名やいわれをもつモノたちが絶妙に組合わさり、この地域と桃太郎を結びつけています。

 次回は、狂歌から物語へ変化した「大月桃太郎伝説」について考えてみたいと思います。

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