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旅と病〜リバースカルチャーショック〜

こんばんは
みなさんは、リバースカルチャーショックという言葉を聞いたことはありますか?

いわゆるカルチャーショックとは、海外へ行った際に感じる葛藤やショックです。

リバース、つまり"逆"カルチャーショックとは、海外から自分の国へ帰国した際に感じる葛藤やショックのことです。

今回は、6年前に自分が経験したブータンの旅と帰国してからの心の葛藤の関係を”リバースカルチャーショック”という観点から書いていきたいと思います。

海外の文化や生活習慣に慣れた後、または海外に行ったことで、自分の中の考え方や価値観に変化が生じた状態で、自分の国へ戻った時に従来の現実に溶け込むことを難しく感じます。

リバースカルチャーショックになった場合、自分のアイデンティティを模索したり、今いる社会を受け入れ難く感じたりすることがあります。

旅先の国を好意的に感じる一方で、自分のいた社会に対して批判的なまなざしを向けてしまうことがあるかもしれません。

帰国後に再び普段の社会に戻ることで、旅先の国で感じた自身の国への思いや価値観の揺らぎは、現実との認識のずれを感じさせます。

私が初めての海外旅行でブータンという南アジアの国を訪れた時、日本とは全然違う世界があるんだと感動しました。

リバースカルチャーショックは、次の4つの段階に分けられます。

1.離脱
帰国に伴い、帰ってからのことや旅先で出会った人々との別れについて考え始める。旅先の国の文化を離れる心の準備をする段階で、帰国したくないと思う。

2.多幸感
期待感にあふれて帰国し、家族や友人との再会を喜び合う楽しい時間を過ごす。

3.リバースカルチャーショック
当初の幸福感は冷め、自分の国にいるのにまるで部外者のように感じることがある。自分の生まれ育った国や街が以前とは変わってしまったようにみえることもある。期待と現実のギャップで、不満や疎外感を感じたり、家族や友人と誤解し合うようなことが起きるかもしれない。


4.再適応
徐々に故郷の生活に再適応していく。友人、家族、様々な環境に溶け込む。二つの国の良い面と悪い面の両方を実感し、よりバランスの取れたものの見方ができるようになる。

ブータンの村に滞在している中で、「帰りたくないなぁ…」と感じました。

「先生!ずっとここで暮らしたいです!」
と同行していた大学の先生に話すと

「おいおい、ここの暮らしも決して楽じゃないぞ」
と諭されたのを覚えています。

一旦、適応した異文化から離脱する、また元いた社会に戻ることを考え始める、そんな段階です。

帰国して大学ある街に戻ってからは、猛烈な違和感を感じました。今までは当たり前だった風景が、別の国のように思えました。

妙な高揚感があり、不思議と街を歩いてなにかを確かめたいという気持ちがありました。

この違和感の正体はなんだろう、どうして当たり前の景色を目新しく感じるのだろう…

当時はそんなにすぐ答えの出るものではありませんでした。

社会への認識とアイデンティティの混乱の中にいたんじゃないかなと今では感じています。

自分の心の変化にもついていけず、自分の居場所が分からなくなっていました。

いろいろなことが起きるのが人生ですが、
この経験は、自分の中で大きな糧となっています。

自分に生じた大きな変化を受け入れつつ、
自分のいる社会とのバランスを少しづつでも取り戻していく。

それが再適応の過程でした。

自分の国と旅先の国、2つの国の社会と文化のあいだを一歩引いた視点から、バランスを取って考えることが大切なんだと思います。

多文化社会や比較文化を考える上で、リバースカルチャーショックの経験は、多くの学びを与えてくれました。

こんな経験、ある意味危機を感じたら、自分の思いを共有できる人をみつけて相談してみてください。

再適応へのヒントがみつかるかもしれません。

ありがとうございました。

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