DX推進に向け、情シスとして取り組んでいる「TOP3」とは?
企業のDX推進に情シスはどのように関与しているのでしょうか。今回は、アンケート結果をもとに、情シスのDX推進への取り組みについてご紹介します。
なお、このnoteは主に中堅・中小規模の企業の新任情シスや兼任情シス向けの内容です。
1.情シスのDX推進TOP3はクラウド・ペーパレス・セキュリティ対策
多くの企業が重要な取り組みとしてDX推進を掲げる現在。情シスももちろん、DX推進に関与していますが、具体的にはどのような業務に取り組んでいるのでしょうか。
DXへの取り組みについて情シスに聞いたアンケート結果(2023年度)※によると、1位が「クラウド化の推進(42.3%)」、2位が「ペーパレス(40.8%)」、3位が「セキュリティ対策の強化(38.0%)」でした。なお、4位に「情シスの継続的な学習」、5位に「データの一元管理・連携」と続きます。
実は、この結果は2022年度から2023年度にかけて、1年間で大きく変化しています。2022年度は社内・経営層、情シスの学習や教育への取り組みが上位にありましたが、2023年度には「社内・経営層へのDXの教育、認知向上」は7位まで下がりました。この結果から見ると、いよいよDXは具体的な取り組みに推移しているという実情がうかがえます。
▼情シスとしてDX 推進に取り組んでいること(2022年度および2023年度の上位5位を抽出)
ここでは、情シスの「DX推進に向けた取り組み」のうち、上位3位について、その理由や内容について考えます。
2.DX推進の取り組み1位「クラウド化」がもたらす様々なメリット
今回、DX推進の取り組みとして42.3%が「クラウド化の推進」を挙げました。クラウド化を進める理由としてはいくつか考えられます。
例えば、既存のアナログ業務をデジタル化(デジタイゼーション)する際の受け皿となるシステムとしてクラウドは様々なメリットがあります。例えば、初期費用やシステムに関する投資が抑えられること、運用しやすいこと、データの集約やリソースの拡張などが行いやすいことなどが挙げられます。
また、さらにデジタル化を進めてデータの利活用が進むほど、場所やデバイスを選ばないアクセスに向いていること、新たな技術やAIなどとの親和性が高いことなども挙げられます。事実、多くの企業ではクラウド化は年々、進められています。その背景にはDX推進に向けた企業の取り組みも含まれていることが考えられます。
3. DXの「最初の1歩」としてのペーパレス化
「ペーパレス」は従来の業務で用いていた紙資料、紙文書など印刷物の配布を減らす・廃止する、という意味あいもありますが、DXの文脈では「紙」や「押印」を用いる業務自体や、業務プロセスをデジタル化することによる効率化やデータの活用がその狙いとして挙げられます。まずは、電子ファイル化することがその第一歩ですが、さらに進めてシステム化することで、大きな効果が得られるようになることでしょう。ペーパレス化の対象となるのは、例えば、次のような業務が考えられます。
4. DX推進の際に、なぜセキュリティ対策を強化しなければならないか
2022・2023年度ともに3位となったのが「セキュリティ対策の強化」です。なぜ、DX推進とセキュリティ対策の強化が関係しているのか、その理由はいくつか考えられます。
●情報のあり方が変化している
これまで紙で保管していた重要な文書などをデジタル化することで、その管理の方法が変化します。例えば、社内の鍵のついたロッカーに保管していた書類が、クラウド上のシステムに保管されるようになると、そこには新たに「データを守るための」セキュリティ対策を考える必要があります。情報のあり方の変化にともない、守り方が変化しているということが挙げられます。
●働き方の変化と情報漏えい対策
ハイブリッドワークなど多様な働き方が進み、場所やデバイスを問わずに情報にアクセスできる環境が求められています。しかし、社外から機密情報などにアクセスできる環境は、情報漏えいのリスクとも背中合わせといえます。そこで、サイバー攻撃や不正アクセスなど、様々な脅威に備えるための、新たな時代に適したセキュリティ対策が必要となります。
●サイバー攻撃の高度化・巧妙化
サイバー攻撃は日々進化し、デジタル化を進める企業にとっては、常に脅威にさらされ続けることになります。また、DXに向けて新たな技術を用いる場合には、セキュリティに対する脆弱性を内包している危険性もあります。
このように考えると、DXを推進する際にセキュリティ対策は不可欠なものと言えます。DXによるメリットや効果を得るためにも欠かせない重要な視点です。
おわりに
今回は、情シスがDX推進に向けてどのような取り組みを行っているのか、アンケート結果を紹介するとともに、上位の取り組みについて解説しました。多くの企業が今、DX推進の実践段階に進んでいることと考えられますが、今後さらにDXを進めたいと考える企業は、この結果を参考にしてみてはいかがでしょうか。
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