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Windows 11移行をきっかけに、情シス業務とPC運用管理のアウトソースを考え直す!
多くの企業が今、Windows 11 への移行を進めています。この移行は単なるOSのアップデートにとどまらず、PC運用全体の見直しを必要とする重要な転換点です。このnoteでは、情シス業務もまた”アップデート”するために、Windows 11への移行に伴う情シス業務のポイントや、アウトソースの活用方法について解説します。
なお、このnoteは主に中堅・中小企業の新任情シスや兼任情シスの方に向けの内容です。
1. Windows 11 移行のタイミングは「情シス業務の整理」の絶好の機会
Windows 11 という新たなOSは、クラウド連携やゼロトラストセキュリティなど、最新のデジタル環境に適した設計のもと提供されています。この変化は、PC運用を大きく変革する可能性を秘めているもので、運用の効率化やセキュリティ強化を進めるためにも絶好のチャンスが到来していると言っても良いでしょう。
1-1 Windows 11 への移行でPC運用管理が"進化”する?…PC運用管理のモダナイズ
これまでのPC運用管理はオンプレミス型ともいうべきもので、情シスがPCがあるその場でキッティングから保守・サポートを行うという、物理的な制約があるものでした。
それが Windows 11 ではクラウド型での運用管理が実現できる環境が整ってきました。それはハイブリッドワーク環境の普及なども背景にあると考えられますが、オンプレミスではなくクラウド経由で場所を選ばずにPC運用管理ができる環境が整ってきています。このような、クラウドサービスや自動化ツールを活用した運用管理の変革は、PC運用管理のモダナイズ(モダナイゼーション)と呼ばれて、大きな業務効率化につながることが期待されています。
2. 情シス業務の「現状と理想」を整理しよう
Windows 11 環境でPC運用管理のモダナイズを実現することで、情シスの業務への負荷は大きく軽減できることでしょう。しかし、移行期間中には Windows 10 と Windows 11 とが混在していることで業務が煩雑になってしまうかもしれません。
情シスの業務でPC運用管理は欠かせませんが、そのほかにもヘルプデスク業務、障害対応、システム運用管理、セキュリティ対策、さらにはIT戦略への関与、DX推進など、すべき業務が山積みです。PC運用管理のモダナイズ実現は理想的ですが、そこにたどり着くのは困難なのが現実です。
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そこで考えたいのが、情シス業務を改めて整理することです。この広範囲にわたる情シス業務の棚卸しを行い、業務を「コア業務」と「ノンコア業務」に分けて整理することからスタートします。
コア業務
ここでは、コア業務とは、「バリューアップ」領域の業務であり、「攻めの業務」とも呼ばれる企業のビジネスを促進する業務を指しています。主に IT戦略策定支援、ITシステム・インフラ計画策定、DX推進、セキュリティ戦略、コンプライアンス対策、BCP対策などがその例として挙げられます。
なお「バリューアップ」領域の業務とは、経済産業省『DXレポート』に登場する語で、ビジネス価値向上のためのIT業務を指しています。ここでは、コア業務とほぼ同義で用いています。
ノンコア業務
ここでは、ノンコア業務とは「ラン・ザ・ビジネス」や「守りの業務」とも呼ばれる領域の業務を指します。主に、日常的なシステム運用管理、問い合わせ対応業務、ヘルプデスク、社内システム運用管理、PC管理、システム監視などセキュリティ対策の実務、障害対応などがその例として挙げられれます。
なお「ラン・ザ・ビジネス」領域の業務とは、経済産業省『DXレポート』に登場する語で、現行ビジネスを維持・運営するためのIT 業務を指します。ここでは、ノンコア業務とほぼ同義で用いています。
では、コア業務とノンコア業務を分けるとどのようになるでしょうか。下図ではコア業務とノンコア業務を分類した例を挙げています。
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このように業務整理を行うことが、現実から理想に近づくための第一歩となります。これから、どのように理想的な環境に近づいていくのかを考えてみましょう。
3. PC運用を効率化するためにアウトソースは採用すべきか?
いま、多くの企業では情シスの人的リソースが不足しており、情シス担当者は日々の業務に追われている実情があります。
自社内における情シス業務の整理、優先順位付けを考える必要があり、これからの情シスは、いかにコア業務に集中すること上位に入ることでしょう。
一方で、ノンコア業務については、情シスがコア業務に集中できるように、可能な限り効率化する方法を考える必要があります。業務効率化の方法としては、
①アウトソーシングとリソースの再配分
②業務プロセスの標準化・自動化
③クラウド活用やシステムの可視化
④情シス/ユーザのスキル向上
などが考えられます。
このうち、社内だけでは十分に対応できない場合、ノンコア業務を外部に依頼することは効果的な選択肢です。その過程で、外部に依頼する際に業務プロセスの標準化や自動化、さらには効果的なシステムを採用するといったことを検討する必要が生じます。
「アウトソース」という選択肢を考えた時に、経営層や上司がアウトソースに対してあまり良い印象を持っていないのではないか、という心配もあるかもしれません。
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しかし、これは誤解であり、情シスがアウトソースするのは、コア業務に集中して自社ビジネスにITを活用することにより価値を提供するからです。ある企業では、アウトソーシングにより下図のような改善サイクルを取り組む体制作りを進めました。
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Windows 11 の運用管理の例で当てはめると、Windows 11 の移行計画や運用計画の策定は「コア業務」と言えるもので、自社の中で行う必要があることでしょう。しかし、その後の移行に関する作業(PC入れ替えやキッティング)、運用しやすいITインフラの構築、そして継続的な運用はすべて「ノンコア業務」としてアウトソースすることで効率化が可能です。またその際に、PC運用管理の仕組みとしてMicrosoft 365(Microsoft Entra ID / Microsoft Intune)を採用した環境を構築すれば、安全かつ柔軟なPC運用管理が実現できるとともに、自社のPC環境も可視化することができます。つまり、PC運用管理のモダナイズが実現しやすいということになります。
このように、情シス業務を効率化するためにも、まずはコア業務とノンコア業務を分類し、自社内外での業務を上手に整理してみてはいかがでしょうか。
4. おわりに
今回は、Windows 11 への移行を機に、情シス業務の整理と効率化を進める方法について考えました。コア業務とノンコア業務を分類するとともに、改めて人的リソースの再配置やアウトソースの活用、クラウドや自動化ツールの導入などを検討し、リソースの最適化を図ってみてはいかがでしょうか。
<参考記事>
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