カタルシス 13-14-15
2006年くらいから。
わたしはずっと、自分で選んでホメオパシーのネイチュミュアを飲んでいた。
固まった塩のレメディ。
わたしのレメディ。
忘れられるはずもない、わたしの身体いっぱいに詰まった塩の味。
直前にしんだ時の状況は、けっこう今生に影響する。身体は記憶をひきづりやすい。
魂の方が先だから、宿ると転写してしまうのだ。
その頃わたしは冬になると、咳がとまらなくなっていた。いつも肺が苦しくて、夜も横になれないほどだった。
分裂したならなおさらだ。
わたしは当時も、海の底にいる時間が長かった。
"わたしの心は海の底
救われるのを待っている"
高校生の頃に繰り返し書いていた言葉と絵。何重にも深い底なしの湖のような海に沈んでいる、目を開けない青い女。
幼少期、わたしはよくお風呂で泣いていた。泣くというか叫んでいた。
幾つかの時空が重なりあって、「熱い」と「寒い」をわからなくする感覚が、あの日の場面に繋がって、リフレインが襲うのだ。
ある日テレビに映った『スケバン刑事』で、
あ、わたし水で死んだ
気がついた。
三姉妹にさつじん予告が届き、次女が浴槽で水死する回だった。
それまでは、自分の記憶の鮮明さに、身体に残る苦しみに、わけもわからず泣き叫ぶことしかできなかったのだ。幼くて。
小学校に入学すると、プールの授業で わたしだけが顔に水を付けられず、担任の先生の命令で、車で30分の場所にあるスイミングスクールに入れられた。
それがどれほどのことだったか。
週に2回のその時間、探されないよう外靴を玄関に置いたまま、息をとめては裸足で逃げた。
いやだ。いやだ。しぬなんていやだ。
そうでしょう?
戻れないことはわかったよ
もう無理だっていうことは
(だってパリンと割れてしまった)
飽和するようなこのかんじ
飽和じゃない 飽和じゃないけど言葉がない
だって 知ってる あらわせないよ
(ここでの言葉の制限は おなじく身体の制限だから)
宇宙は拡大し続けている
あのとき ね
わたしは宇宙で
宇宙はわたし
まったくイコールだったんだ
だからわたし
宇宙が拡大している気持ちがわかる
その感覚が さみしさが
拡大するってさみしいことよ
宇宙は拡大し続けている
それがさみしいということよ
Truth,
I knew I couldn't go back. It's impossible anymore. At that time, I was the universe itself. Do you remember this feeling? If you could put it into words now.
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