カタルシス 11-12
ゲリーは言う
・・・
子どもが運転できるような小型のボート。速度の出る電気モーターがついている。
その日あなたはいつものように、それに乗って沖に出た。
何人かで乗ることもあったけど、その日はひとりだったんだ。
16才になったばかり・・・いや。その直前だ。誕生日の数日前。あなたの部屋にはプレゼントが積み重なって、そこで行われるはずのパーティを、とても楽しみにしてたんだけど。
それはほんの少しのことで。
すごくわずかなことだった。
運転を誤ってしまったんだね。ちょっとスピードを出しすぎていた。
それくらいのことはこれまでも何度かあったようだけど、このときばかりはリカバリーすることができなかった。
必死でハンドルを取ろうとしたけど、投げ出されて。
なんとか自力で帰ろうと頑張って泳いだね、途中で力尽きてしまったけれど。
あなたが最後に味わったのは、鼻から肺いっぱいに吸い込んだ、痛く辛い塩の味。口からもいっぱい飲んだから。
その味を覚えているでしょう?
陸では空のボードだけが戻ってきて、あなたがいないと大変な騒ぎだったようですよ。
lights!!lights!!lights!!
太陽と月のトラベル
ここを通って急いで来た
ここは子宮で産道で
すごいワープで次元降下
生命の時間はぐんぐん進み
とまらない流れに乗っていく
北緯41度地点
海で繋がる一本道
最短距離で繋がって
それしかみてはいなかった
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