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1978回想録

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死んで生まれた1978年からの回想録。
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#小学生

回想録 9才臍の緒

9才 学校の授業で使うから持ってくるように言われた臍の緒を、父は頑なに「ない」って言った。 それが嘘だということは、もちろんビュンっと伝わった。 瞬間。それは瞬間。 4.5畳を占領している桐タンス。その二重になっている扉。造りが精巧すぎて開け閉めに空気の重さを感じるそこに、それはある。 だよね。あるよね。 そんなの後で、父がいない時に自分で取るし。 だけどもなぜそんなに頑なさを?わざわざこんなに出動させる?不自然でしかないこわばり。絶対に明かさないというガードがす

回想録 10才ロールシャッハテスト

幼い頃からよく病院に連れて行かれた。 肉体との不調和には多くのエネルギーがとられたし、いつも体調は悪かった。 (寝かせておいてくれたらいいのに) 母はそれを許さなかった。  そこしれず感じているわたしへの気持ち悪さや違和感を、権威ある誰かにはっきりと認めてもらいたかったんだ。 耐えがたいよね、そうだよね。その気持ちは理解できる。 具合のわるい身体で連れまわされるのは辛かった。後になってわかったことだが、わたしは重度の薬剤アレルギーで、飲まされる薬でまた、何度でものたう