こんばんは!
今日6/26の個人情報保護委員会での議事に「中間整理案」が入っていましたね!
資料は、後日掲載なのでまもなく、パブコメが始まると思われます。
は、6/27に始まりました!
今日は、前回のこれまでの各回の資料やnoteの集約から、有識者の意見に絞って、角度を変えて、その中身を見ていきたいと思います。
具体的には、Ⅰ. 有識者ヒアリング(全般)に登場された8名の有識者の意見を概観した上で、Ⅱ. パブコメの想定論点別に意見及び議事を見ていきます。
(なお、7/3、佐藤先生と高木先生の回の議事概要が公開されました。本日現在、議事は64名分しか公表されていないため、残りの24名分は追って追記予定です。)
Ⅰ . 8名の有識者の意見の特徴
今回ヒアリングが行われた有識者12名のうち、全般の意見ヒアリングの対象だったと思われる8名の方の意見の概要と特徴を見ていきます。
●曽我部真裕(京都大学大学院法学研究科教授)
個人情報保護法見直しに関するコメント(京都大学 曽我部教授) (PDF : 496KB)
→形式的ルールと実体的ルールとの切り口で、実体的側面の強化を打ち出し
c.f. この論点については、こちらの記事↓で深堀してみました。
個別論点については、以下のような論点で論じておられます。(太字は個人情報保護委員会論点)
●山本龍彦(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)
いわゆる3年ごと見直しに関する意見(慶應義塾大学 山本教授) (PDF : 443KB)
→
1.全体の問題意識 として、海外の法令もふまえた上で、プロファイリングの具体的な規律の必要性や、ダークパターンが不適正な取得に該当する可能性を論じられています。
また、事業者の意見のうち、経団連の意見の一部について、個別論点コメントを行なっています。(うち、太字が個人情報保護委員会の論点)
また、個人情報保護法の対象情報や、目的という法の骨格ともいえる部分への問題提起を行なっておられます。
●森亮二(英知法律事務所弁護士)
3年ごと見直しヒアリング2024(英知法律事務所 森弁護士) (PDF : 391KB
→あるべき改正の方向性として、以下の4点をあげた上で、
改正事項の提案として、9点。
(うち、太字が個人情報保護委員会の論点)
●宍戸常寿(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直しに関する意見(東京大学 宍戸教授) (PDF : 296KB)
→前回の3年見直しでの意見を再掲した上で、
2.個人情報保護法制の現状と課題として、今回の改正論点への言及は多くない一方、法をとりまく環境変化ふまえ、各種ドメインと個情法の関係整理、隣接規制との関連にも言及されています。
また、
として、個人情報保護委員会の在り方、内閣や関係省庁との関係等、政策立案、執行等の機能枠組みにも言及されています。
●佐藤一郎(国立情報学研究所教授)
個人情報保護委員会「いわゆる3年ごと見直し」ヒアリング(国立情報学研究所 佐藤教授) (PDF : 3092KB)
→3年ごと⾒直しにおいて検討すべきこと、として、以下の項目で、意見発表をされています。委員会の検討論点(太字筆者)に加え、仮名加工、データ類型、プロファイリング、AI等、技術系らしい論点が追加となっています。
また、プライバシーへの対応が企業の自主的な取り組みとなっていることをふまえ、プライバシーへの個人情報保護委員会の関与を求めておられます。(佐藤氏はプライバシーガバナンスガイドブック作成時の構成委員)
●高木浩光(産業技術総合研究所主任研究員)
個人情報保護法3年ごと見直し令和6年に対する意見(産業技術総合研究所 高木主任研究員) (PDF : 452KB)
→下図のように、主要意見、総論で、現在の個人情報保護法の本質的な課題(法目的等)をまず述べた上で、
各論として、個人情報保護委員会の検討論点(筆者太字)に加え、他有識者意見への見解も含む内容となっています。
●板倉陽一郎(ひかり総合法律事務所弁護士)
第二次いわゆる3年ごと見直しへのコメント(ひかり総合法律事務所 板倉弁護士) (PDF : 872KB)
→個人情報保護委員会の論点に沿った、網羅的な意見(1.2〜3.2)に加え、個人情報の規律範囲など法の骨組みとなる部分の提言や個人情報保護政策や3年ごと見直し等、委員会の在り方や、行政機関等の規律の在り方にも言及。
●鈴木正朝(新潟大学大学院現代社会文化研究科/法学部教授)
デジタル社会の個人情報保護法(新潟大学 鈴木教授) (PDF : 3126KB)
→表題「デジタル社会の個⼈情報保護法 ̶ なぜ現⾏個⼈情報保護法は デジタル社会に対応できないか︖」として、課題は、現実に起きているデジタル社会の個人データ処理と個情法のギャップ であるとして、(個人情報保護委員会の検討論点ではなく)、独自のストーリー構成となっています。
そして、その解決策としては、2022年12月にGLOCOM 六本木会議での「デジタル社会を駆動する「個人データ保護法制」にむけて」に記載の「3年後見直しで議論すべき事項」を紹介されています。
以上、8名の有識者の資料の紹介でした。
次に、このうち、今回の個人情報保護委員会の検討論点に絞って、論点ごとに意見や議事を見ていきます。
(注: なお、各有識者それぞれのストーリーある資料からの抜き出しのため、抜き出しモレ、識者の意図と異なるケースがもしかしたらあるかもしれません。その場合の責任は全て筆者にあります。)
Ⅱ 検討論点別の有識者意見とQA
検討論点は、個人情報保護委員会の検討項目(案)をベースに整理します。
1−1)個人情報等の適正な取扱いに関する規律の在り方
①生体データ:特にカメラ画像の顔識別情報等
・森弁護士資料
・佐藤教授意見
・高木主任研究員意見
・板倉弁護士意見
②不適正取得、不適正利用:
・板倉弁護士意見
③個人関連情報:
・板倉弁護士意見
(委員会検討資料と関連note)
1−2)第三者提供規制の在り方(オプトアウト等)
●オプトアウト制度
・曽我部教授意見
・板倉弁護士意見
(委員会検討資料と関連note)
1−3)こどもの個人情報等に関する規律の在り方
・曽我部教授意見
・曽我部教授質疑
・森弁護士資料
・森弁護士質疑
・佐藤教授意見
・佐藤教授質疑
・高木主任研究員意見
・板倉弁護士意見
(委員会検討資料と関連note)
1−4)個人の権利救済手段の在り方
●団体訴訟制度
・曽我部教授意見
・曽我部教授質疑
・山本教授意見
・森弁護士資料
・佐藤教授意見
・佐藤教授質疑
・高木主任研究員質疑
・板倉弁護士意見
2)実効性のある監視・監督の在り方
(全般)
・曽我部教授意見
・曽我部教授質疑
・板倉弁護士意見
2−1)課徴金、勧告・命令等の行政上の監視・監督手段の在り方
●課徴金:
・曽我部教授意見
・曽我部教授質疑
・山本教授意見
・森弁護士資料
・宍戸教授意見
・宍戸教授質疑
・佐藤教授意見
・佐藤教授質疑
・板倉弁護士意見
●勧告・命令の在り方(第三者命令)
・曽我部教授意見
・曽我部教授質疑
・板倉弁護士意見
(委員会検討資料と関連note)
2−2)刑事罰の在り方
・板倉弁護士意見
2−3)漏えい等報告・本人通知の在り方
①漏えい報告・本人通知の在り方:
・山本教授質疑
・森弁護士質疑
・宍戸教授意見
・宍戸教授質疑
・板倉弁護士意見
②第三者提供の違反時の報告義務
・板倉弁護士意見
3.データ利活用に向けた取組に対する支援等の在り方
(全般)
3−1)本人同意を要しない公益に資するデータ利活用等の在り方
●同意なしの第三者提供:
・曽我部教授意見
・曽我部教授質疑
・山本教授意見
・山本教授質疑
・森弁護士質疑
・宍戸教授意見
・板倉弁護士意見
(委員会検討資料と関連note)
3−2)民間における自主的な取組の促進
①PIA
②責任者の設置
・宍戸教授意見
・板倉弁護士意見
以上、まずは、個人情報保護委員会の検討論点ごとに分解して見てみました!
同じ論点ごとに見ると、モノの見方の違いが明確かつ、立体的に見えてきて、勉強になるなぁという印象です。
(でも、分解、再構成、結構タイヘンでした〜〜)
なお、今回の検討論点以外の、そもそも系の論点(法目的や情報範囲など)については、別の機会にじっくりみていこうと思います。
それでは、また!
今日のDall-E3