こんばんは!
本日、6/27午後にパブコメが出ましたね!
その提出期限は7/29です。
資料は全29ページで、これまでの記事でも繰り返し見てきた検討論点ごとに、
【我が国の現状等】
【考え方】
が対になって記載されています。
目次はこんな感じ↓
今回の記事では、今後の法改正の素となる【考え方】の部分にだけ焦点を当てて、ざっくり何が変わりそうか、継続して検討されていきそうか見ていきたいと思います。
なお、引用している【考え方】の出典は、個人情報保護法いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理となります。
「中間整理」における【考え方】
1. 個人の権利利益の実質的な保護の在り方
1)個人情報等の適正な取扱いに関する規律の在り方
ア 生体データ
・特に要保護性が高いと考えられる生体データについて、実効性ある規律を設ける方向
具体的には、
-利用目的をより具体的に特定
-(同意を必ずしも必須としないかわりに)生体データに関する通知または十分に周知、および、本人による事後的な利用停止を他の保有個人データ以上に柔軟に可能に
(現行法利用停止は、不適正な利用等の場合のみ)
memo: 規律を設ける生体データの具体の記載はありませんが、事例からすると顔識別カメラ画像の個人データ等を想定していそうです。
イ 不適正取得、不適正利用
・適用される範囲の具体化・類型化
→ 過去の問題事例をふまえて
(とすると、法改正ではなくGLレベル?)
・取得事業者と個人の間の(Noといえないような)関係において追加の考慮が必要か検討
・個人関連情報のうち、個人に連絡できるような情報については、不適正取得、不適正利用規範が適用されるかも?
memo: 個人関連情報については、第三者提供時、相手先で個人情報と紐付けする場合の規範しかありませんでしたが、これが追加されると、個人データの範囲のあるべき論の議論が盛り上がりそう…?
2) 第三者提供規制の在り方(オプトアウト等)
相次ぐ特殊詐欺や持ち出し事案のデータが、名簿屋に販売されていることを受け、
オプトアウト届出事業者向けのルール厳格化として、
・提供先の利用目的や身元の確認義務?
・取得元における取得の経緯や取得元の身元等の確認について、より高度の注意義務
個人の権利利益の保護をはかるための個人への措置として、(現在はどこに自分の個人データが売られているかわからず、オプトアウトのやりようがないという実態をふまえ)、
・本人のオプトアウト権行使の実効性を高めるための措置
があげられています。
3)こどもの個人情報等に関する規律の在り方
5論点と、気合が入っているこども。
要配慮個人情報として、取得時に同意が必要とすることはしない前提での案となっています。
ア 法定代理人の関与
16歳未満の場合、現行法の同意取得や通知の場面で、本人ではなく、法定代理人(親等)に同意、通知することの明確化
イ 利用停止等請求権の拡張
(不適正な場合に限らず)利用停止請求を認める方向
ウ 安全管理措置義務の強化
具体的にどう強化するかまでの言及はなし。
memo: 管理レベルを変える前提とすると、社内でこどものデータの分別が必要となりそう…?
エ 責務規定
事業者が留意すべき責務の明文化を予定
オ 年齢基準
現在のQA内容と同じ、16歳未満が基準に
4)個人の権利救済手段の在り方
適格消費者団体を念頭においた団体請求制度の論点、
⚫︎差止請求制度
・法に違反する不当な行為を対象行為とすることを検討すべき
としながらも、その実現には、受け皿となる適格消費者団体のパワーアップが不可欠として、継続検討となっています。
⚫︎被害回復制度
・更に慎重な検討が必要
として、まずは差止請求制度の実現の検討を優先とするような雰囲気を感じます。
2 実効性のある監視・監督の在り方
1)課徴金、勧告・命令等の行政上の監視・監督手段の在り方
ア 課徴金
何かと話題の課徴金。
意見の隔たりが大きいため、
・その導入の必要性を含めて検討
が、現時点の結論となりました!
イ 勧告・命令の在り方:
勧告・命令関係については、
・直ちに中止命令を出すことの必要性(勧告前置をmustとしない)
・関与する第三者に対しても行政上の措置をとることの必要性(第三者命令)
・個人の権利利益の保護に向けた措置を求めることの必要性の有無や手続保障などの検討
となっています。
memo: 確かに破産者マップ事案を見ていると、サイトを閉じさせたいのに、事業者がつかまらない。。ような場合には、関係する第三者に協力してもらう必要がある場合もありそうです。
が、過度にその範囲が広がらないよう、watchしていく必要もありそうですね。
1回目
2回目
2)刑事罰の在り方
前回、罰金額があがった刑事罰については、
・悪質事案を過不足なく対象としているか検証、処罰範囲、法定刑の適切性の検討
に加え、
・個人情報の詐取等の不正取得を直罰規定の対象に含めるべきか検討
となっています。
3)漏えい等報告・本人通知の在り方
ア 漏えい報告・本人通知の在り方
関心の高い漏えい報告等の緩和論点
・本人の数が1名の場合で、一定の適切な対処がなされている事業者は、
速報不要、確報を一定期間の取りまとめ報告を許容とするもの
この適切な対処の体制・手順の整備ができていることの確認方法の例しては、認定個人情報保護団体などの確認、が考えられるとしています。
また、もうひとつ要望の多い、外部からの不正アクセス等による
・「おそれ」については、個人の権利利益を害する可能性等を勘案してより合理的と考えられる場合に報告や本人通知を求めることが適当であるとも考えられると、一定の譲歩姿勢を示しつつ、
事業者の協力も得ながら、実態を明らかにした上で検討を行い、必要となる要件の明確化を行う
と、継続議論となりました。
memo: 具体は今後も議論はあると思いますが、部分的でも、本人への適切な対処は行いつつ、報告については、形式主義ではなく、合理的に柔軟に対応する方向となってきたことは良かったと思います。
イ 違法な第三者提供
こちらは漏えい報告対象が増えそうな話。
・違法に第三者に提供した場合、報告義務及び本人通知義務の必要性を検討
また、対象とする場合、
・報告等の対象となる範囲を検討
3.データ利活用に向けた取組に対する支援等の在り方
1)本人同意を要しないデータ利活用等の在り方
こちら、元の資料↑では「公益に資する」データ利活用〜と範囲が限定されているように読めたところ、冠が取れました!やったー
⚫︎本人の権利利益が適切に保護されることを担保する前提で、本人同意を要しないとする例外規定を設ける方向で検討
その例外の外縁としては、以下があげられています
・社会にとって有益であり、公益性が高いと考えられる技術やサービス
・医療機関等における研究活動等に係る利活用のニーズ
また、
・契約の履行に伴う個人情報等の提供
・不正防止目的などでの利活用
さらに、その検討においては、
・関係府省庁も含めた検討や意思決定
・ガイドラインの記載等についてステークホルダーと透明性のある形で議論する場の設定
memo: 開かれた検討の場が設けられていく気配があるのは朗報ですね!
2)民間における自主的な取組の促進
ア PIA
現行は望ましい対応レベルのPIA、
一旦は変わらず、
・民間における自主的な取組という現状の枠組みを維持
一方、
・一層の促進のため、データマッピングを活用
としています。
イ 責任者の設置:
現状は、安全管理措置(組織的安全管理の内数)として明確な義務がとまでなっていないところ、
・「組織体制の整備」を超えた措置の必要性の検討
として、もう一歩進んだ規範化検討のもよう
但し、
・義務とする対象事業者の範囲
・(責任者の)資格要件の要否
等の具体は、企業の現状ふまえて検討、となっています。
4 その他
また、これまでの検討論点に加え、以下がその他として、引き続き検討、および議論の場を作るとしています。
検討論点
・プロファイリング
・個人情報等に関する概念の整理
・プライバシー強化技術(「PETs」:Privacy Enhancing Technologies)の位置づけの整理
・金融機関の海外送金時における送金者への情報提供義務の在り方
・ゲノムデータに関する規律の在り方
・委員会から行政機関等への各種事例等の情報提供の充実
memo:うち、最初の3論点は追加の議論内容がとても楽しみです!特に、個人情報等の概念の整理は本質的な問題だけに、重要ですよねー
また、委員会が関係の深いステークホルダーと透明性のある形で継続的に議論する場についても、大いに期待したいところです!
・個人情報保護政策の方向性
・本人同意を要しないデータ利活用に関係するガイドライン等の見直しの在り方
以上が、論点別のサマリーでした!
以上、ぎりぎり6月最終週にはじまったパブコメ。
これまで、メディアや法律事務所などのニューズレターも動きは鈍かったですが、徐々に増えていくでしょうか?
引き続き、追いかけていきたいと思います。
それでは、また!
今日のDall-E3
中間整理関係note(こんなのも書いてます)
○で、現行法のどのあたりに影響がありそうか知りたい人向け
○論点ごとに有識者の意見の違いを見てみたい人向け
○これまでの検討を時系列に見てみたい人向け
○前回の3年見直しがどんなふうに進んだか見てみたい人向け