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ウズベキスタン旅行の基本情報

ネットを中心に今流行のウズベキスタン。出入国や支払い事情など、事前にしていた準備と実際行ってみてどうだったかについてのまとめです。ここでは実用情報にフォーカスしたいと思います。ウズベキスタンへの突っ込みや感想などは別記事にまとめる予定です。


この記事はりんのテュルク旅シリーズの一部です。ウズベキスタンやカザフスタン、中央アジアの寝台列車に興味がある人はリンクをポチッと。

【出入国】

日本パスポートの場合、30日以内の滞在ならビザ免除。出国時にパスポートの期限が3カ月以上、査証欄が2ページ以上残っていること。ESTAのような事前登録も必要なし。日本のパスポートで一般的な旅行であればサクッと行ける条件になっています。
今回は空路で入国、陸路で出国でしたが、パスポートコントロールではいずれの場合も何も聞かれず。ウズベキスタンに来る前直近の出国スタンプがなかったので(長期滞在許可保持者がシェンゲンから出国する場合は基本的に出国スタンプが押されない。ワシはドイツに住んでいるので出国スタンプがなかった。)やたらとページをめくりまくってましたが、この旨伝えたところ、ああそういうことかと終了でした。

【滞在登録】

旧ソ連の残滓・外国人追跡システム。幸い外国人旅行者本人がする手続きはなし。宿泊施設などの受け入れ側がネットで登録する方式で、これは受け入れ側の義務。とはいっても、登録がされていないことが発覚すると、旅行者本人も出国時に困ることになります。というのも、泊る宿ごとに「登録しました」の控えを貰って出国時に見せるというクエストなのです。夜行列車の場合は切符がその代わりになります。

「登録しました」の控え。印刷してくれなくて、画面の写真撮ってってという宿もある。

このシステムについてググると、実際出国時に控えを見せろと言われることは稀、見せろと言われてもし欠けている日があっても1-2日なら見逃してもらえる、そもそも見せろと言われて見せたところで大してちゃんと見てない、などなどいろいろな話が。ちなみにワシは何もいわれませんでした(もしかしたらオンラインシステムでパスポート番号とかを使って参照できたりするからなのかもしれないけれど)。でも一応規則として存在しているので、不備があると困る。ということで、確実に回収しましょう。ホテルやゲストハウスなど業者としてやっているところはほぼ問題ないと思うのですが、問題はAirBnBや友人宅など個人がホストの場合。外国人登録のシステム自体分かってない人もいるうえに、登録するのにも物件の所有者(賃貸の場合は大家)の個人情報が必要とか何とかでサクッとできるわけではないらしい。あとビジネスを始めたばかりだとまだ体制が整っていなかったり。ということで、宿の予約時に滞在登録をしてくれるかきいておくのが安全策です。

【持ち込み・持ち出しの規制】

持ち込みで気をつけるのは多額の現金(といっても8000米ドル相当とかなので、まあ引っかからないかと)と貴金属品。それとお薬関係。抗うつ剤など依存の危険性の高いものを中心に持ち込みが厳しく、医者の診断書などで必要性を証明する必要があるようです。驚きなのがコデイン。ドイツでは処方箋なしで買える咳止め薬なんかにも入っている。これもダメ。
入国の時は何もきかれなかったものの、ウズベキスタン出国時になぜかウズベキスタン側の税関職員に薬チェックされました。薬を持っているかときかれ、鎮痛剤、抗アレルギー剤、ピルを披露。もちろん大丈夫なお薬たちばかりなので問題になることはありませんでした。でもなぜ出ていくときにこんなにしっかり見たのかは謎。入るときのほうが大事なのでは…?一般的に言われる陸路のほうが厳しめというのは本当なのかも。
持ち出しで気をつけるのは骨とう品や民芸品。よくいわれるのが古いスザニや絨毯。50年以内のものなら問題ないというものの、どうやってそれを証明するのかは不明。それに「民芸品」の定義も曖昧。なんかこの展開どこかで見たぞ(トルコだ)。実際この規制に引っかかることは一般的な旅行者ならほぼなさそうな気もするのですが、お土産屋さんで買うような明らかに大丈夫でしょうというもの以外は気をつけてください。

【通貨と支払い】

ウズベキスタンの通貨はウズベキスタン・スムです。が、米ドルが幅を利かせています。お土産屋さんや宿、ツアーでは米ドル支払いOKだったり、それどころか米ドル払い指定のところもあります。カードが使えないところも多いので、米ドル現金しか支払い方法がない場合もあります……。
それだけならまだいいのですが、「米ドル現金」は一般的な基準で破れていたりしない大丈夫な紙幣ではなく、ピン札レベルを要求されます。ほんのちょっぴりでも破損・汚損があるとウズベキスタンの銀行が両替に応じてくれないらしいのです。
カードが使えないことが多いとなると現金を多めに持ち歩くことになります。スリや盗難、強盗が怖かったのですが、サマルカンドもヒヴァもタシケントものんびりしていていらぬ心配でした。もちろん気をつけなくていいというわけではありませんが、神経質になる必要はないと思います。
ちなみに決済手段でユーロがあがることはありませんでした。きいてみればユーロでもいいよとなりそうではあるけれど。ユーロ価格併記だったりユーロで支払いだったりするイスタンブルとは違うなあと。

【物価とスムの桁数多すぎ問題】

とにかく安い!インフレ物価高のドイツから来ると何もかも格安で、大丈夫?値段間違ってない?ワシ聞き間違ってる?と何度思ったことか。以下大体の相場を挙げておきます。
・商店のミネラルウォーター(1-1,5L)                      5,000
・公衆トイレ                                                                         3,000
・ローカル食堂のプロフやラグマン+お茶                         50,000
・YandexGO(サマルカンド空港→レギスタン広場近く)26,000
・タシケントの地下鉄1回乗車                        2,000
・バザールのナッツミックス(750mlくらい?)              40,000

みなさんも思ったことでしょう。ケタ多すぎ
実際値段をきくと、40,000スムの意味で「40」と返ってきます。「5」といわれたら5,000スム。ちなみに1,000スムで0,07ユーロ(日本円だと12円)とかでした。ワシが経験した限りではどこでも支払いは1000スム単位でした。

新旧札入り乱れるうえに、桁数が増えると一発で認識できなくて下3桁を指で隠したり、慣れるまでに時間がかかりました。100000ではなく100,000と表示するかデノミしてほしい。
これは10枚ごとにまとめられてしまった100スム硬貨たち。こういう姿でタシケント地下鉄の切符窓口でお釣り用にいくつもスタンバイしてた(そしてこれで払ってる客もいた)。最初、ソ連風のトークン方式が生きていたのかと勘違いし興奮した。

【Yandex】

Google is your friend(ググレカス)なんて言ったりしますが、ウズベキスタンはYandexのほうが頼りになります。旅行でお世話になるのは主にYandex MapとYandex Goかと。後者は配車アプリですね。
Google Mapだと全然出てこない公共交通機関の路線もYandexならバッチリ。経路検索から直接Yandex GOに飛んでタクシーを呼ぶこともできます。言葉の壁もボッタクリも一撃なので超絶楽です。ローカル食堂を検索したいときはcanteenとかстоловаяで検索すればモリモリ出てきます。
一つ気をつけなければいけないのは、Yandex GOの利用にはSMSによる認証が必要なこと。ですが番号がウズベキスタンのものである必要はないので、出発前に居住地の番号で認証を済ませておけば大丈夫です。ウズベキスタンで番号のないeSIMでローミングしている場合、事前にやっとかないと認証できなくてYandex GOの恩恵を受けられなくなります…。

【気候】

10月上旬の滞在でしたが、ちょうど秋が深まっていくタイミングでした。サマルカンドとヒヴァはまだ日中温かく、薄手の長袖にカーゴパンツでちょうどいい気候(暑がりのワシは歩くと薄っすら汗をかく程度)でした。毎日晴天で太陽が照り付けていたのでビジュアル的には暑そうに見えたのですが、意外と涼しかったです。とはいっても(ドイツではすでにどんより曇りと雨のシーズンが始まっていたせいか)とんでもなく明るいのでサングラスを荷物に詰めていた出発前の自分に感謝でした。
酷暑の夏が終わったのに毎日朝から晩までずっと晴れてるもんだから雨降らなくて大丈夫なのかと心配になるレベル。サマルカンドの観光案内所のガイドさんに聞いたところ、「寒くなると雨降るよ、そろそろ雨の季節が来る」と。そしてタシケントに着くころには冷え込みも強くなってきて、雨!降りました!
秋とは言え雨が降るまでは日差しと乾燥が厳しかったですね。秋でも日焼け止め、サングラスと保湿ケア用品を持って行くことをお勧めします。あとサマルカンドとヒヴァは空気がかなり砂っぽかったです。雨降ってなかったらタシケントもそうだったのかも。イチャン・カラなんて半日歩いて帰ると砂まみれで運動会の後みたいになってました。頭に布巻いてると髪の毛が砂でギッシギシになるのを避けれるので、現地のおばちゃんたちみたいにヒジャブ巻いて歩くのをお勧めします、個人的には。

【服装】

イスラム教徒が多い国ですが、服装に制限とかはないです。現地のおばちゃんはゆったりワンピースに巻き巻き系スタイルのヒジャブの人が多いですが、若い人は普通に洋服だったり。ヒジャブしている人もいればしない人も。男性は年配の人たちはウズベク帽被ってる人が多いですね。イスタンブルと違って、ヒジャブしていなくてもナンパ・セクハラをかまされるということもなく。
例外はモスクや霊廟など。男女ともに露出はさけ、女性は頭部を覆うことになっているはず、一応。注意書きがあったりチケットチェックの人が指導している場面もありましたが、大体の場所では誰もチェックしてないし、全然守っていない人も多く……。緩いみたいですが、宗教施設を見学するなら準備していきましょう。

【ロシア語が話せると便利】

宿や観光地、お土産屋さんなど観光客をよく相手にする人たちなら英語がそれなりに通じます。それか話せないなりに慣れた対応をしてくれます(ジェスチャー、金額は電卓に打って見せる、スマホ出してグーグル翻訳、など)。一番流暢だったのはホテル・ウズベキスタンのスタッフさんたちとレギスタン広場のお土産屋さんでした。言葉の壁が立ちはだかっても邪険にされたりにっちもさっちもいかないということはあまりなさそう。
「あまりなさそう」というのも、英語が通じないときはロシア語に切り替えていたため、英語だけだと実際どうなのかは不明。旧ソ連だし今も学校ではロシア語の授業があることもあって、ロシア語話せる人は英語話せる人に比べて格段に多かったです。まあワシのロシア語はサバイバルレベルのショボいものなのですが、それでも買い物やATM・トイレ探し、宿の人に「水が出ません」などいろいろな場面で役に立ちました。ロシア語を勉強するまではいかなくても、旅の指差しロシア語的なモノは味方になってくれると思います。Waterが通じなくてもводаは通じる。

【まとめ】

宿泊登録が必要だったり、GoogleよりYandexだったり、英語よりロシア語だったり、かつてカーテンの向こうにいた国、CISの一国という感じはありますが、大きな注意点や不便もなく旅行できるかと思います。制度面よりもきれいな米ドル現金が一番の要準備ポイントかもしれませんね。


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